第九話
9.
「おはよう。喉が乾いてるんじゃない?」
こくりと頷く少年に果実水を渡す。
「喋れそう?」
果実水をゆっくりと飲みほした彼はぎこちなく笑った。
「名前、聞いてもいいかな?」
「榊-サカキ-」
神木の名を身に受け、大切に育てられた筈なのに…。
「榊、君は自分が魔女だってことは理解してる?」
魔女とはいっても女性だけが魔女と呼ばれるわけではない。男性でも魔女という。魔術師は君主に仕える者…その為、ダレス国には魔術師は存在しない。魔術師という言葉もない。
「わかる」
「君はこれからどうしたい?できるだけ力になるよ」
いつもの手順通りに話を進める。
「あなたも魔女なの?」
同族に嘘は必要ないだろうと考え、素直に話す。
「そうだよ。君と同じ、ダレス国出身の魔女」
「『流された』の?」
「そうよ。あれは10年前の話になるわ」
「!」
年齢が合わないと思ったのだろう。
「私は訳あって、姿を偽ってるの。実際は17歳になるわ」
「この森にいちゃ駄目なの?」
いつものパターンだ。できるなら、そうしてやりたいのだが。
「私は今でも命を狙われているわ。だから、この森にはおいてあげられない」
あいつは私が生きていることを知っている…何処にいるか分かってはいないのだろうけれど。
「君の力はかなり強いみたい。おすすめなのはきちんとした魔女、または魔術師の弟子となり、力を制御できるようになること」
昨日考えたのは、ふたつ。
ひとつ目は私の身内の魔女に頼むこと。これなら、間違った方へ進むことは無い。けれど、一度入ったが最後、掟の中で生きなくてはならなくなる。
ふたつ目は隣の国のオウセラ国の宮廷にいる統括魔術師に弟子入りすること。知り合いと言えば知り合いなのだが、長いこと会ってない。つまり、連絡の取りようがない、というか取りたくない。けれど、この子を縛ることはないだろう。
「選択肢はふたつ。大陸を渡るか、隣の国のオウセラ国に移住するかなのよ」
魔術を封印することもできなくないが、封印なんてものは不確かすぎる。それなら、制御した方がいいに決まってる。
「時間はあるわ。ゆっくり考えていいからね」
「おはよう」
「あぁ、今日は来れたのか」
昨日の今日だから黒猫が来ると思っていたのだが、目が覚めていたのは春月だった。
「大方、理由はシェリフから聞いたんじゃない?」
「子供を看病してたんだろう?」
やはり知っていた。彼はお喋りでいけない。…考えがあって話してるのだろうけれど、私の都合の悪い話までしてしまうから問題なのだ。
「多分、後から来るわ」
これは予知されたこと。それにあの子は不安定な状態だ…同族と知ったあの子がとる行動は読めてくる。
「セル、お願いがあるの」
「…お願い?」
繋ぐ為にはこの人に間に入って貰う必要がある。
「私と取引してくれない?」
お疲れさまでした!!今回も退屈だったかな…ごめんなさい、精進いたします。
この取引にセルが頷くか頷かないかで話は変わってくるんですけど。とりあえず次回をお待ちください!!
今回も読んでいただいてありがとうございました。次回もよろしくお願いします。




