第七話
7.
「…君が勘付いているように、そんなことは過去何回もあった」
確かに、不思議だった。この『魔女の森』から帰って来なかった人間はいなかった。しかし、存在しなかった人間が森から出てくることもあった。
「想像通り、全部に春月が関わってくる。パターンは同じさ」
「流される子供を予知し、拾って治療。…魔術に寛容なオウセレ国に移住させるってことか?」
黒猫は足を止めると振り返った。
「ご名答」
「何で傍に置いとかないんだ?」
彼女がそこまでやっておいてほっぽり出すとは考えにくいのだが。
「そりゃ、困るし?際限なく流されてくるんだよ?全員を面倒見れる訳ないじゃん、春月自体子供なんだし」
猫はその場に座り込み、話し続ける。
「…別に擁護してるわけじゃないよ?どうしても傍に置けない理由が春月にはあるんだってことは理解してほしいなってこと。でもさ、ただ送り出してるだけじゃないよ」
猫はくるくると俺を中心に円を描く。
「意識がはっきりした子にちゃんとこれからどうしたいか決めさせるからね。力になれるようにギリギリの線で頑張ってるんだよ。もちろん、ちゃんと君がその子たちの面倒を見てることも知ってるよ」
下町に現れる身元不明の子供…彼らは『森の子』と呼ばれる。
みんながみんな、どうして此処にいるのかが分からない。大半が魔力を宿しており、宮廷に入り、宮廷魔術師として働いている。全員が全員魔力を持たないことに決定打を打てなかったのだが…。
「中には『魔力』を取り除いてほしいという子もいる。迫害されて、実の両親に惨い目に遭わされたんだから分かるけどね。…疑問は解消された?」
「まだ聞きたいことはある。記憶喪失も春月が?」
「言っとくけど、子供たちが頼んでるんだよ?みんな忘れて、新しく生きていこうとするんだ…僕からしたら逃げでしかないけれどね」
だいたいの疑問は晴れた。…これは聞いていいのか分からないが、この猫なら話せない内容ならはぐらかすだろうと考え、口に出す。
「春月はどうしてここまでしてやるんだ?」
来ると思ったんだ。この男なら。だから、色々話したんだし。
「同族意識だと思うよ」
僕としては、この男に春月を助けてほしいと思ってる。自分に記憶を消し去ることは自殺行為…だから、未だに春月は苦しんでいる。何も、痛みを消す方法は記憶を弄ることだけじゃないのだ。
「春月はダレス国の出身者。『川流し』の最初の犠牲者なんだ」
春月の過去がちょっとでてきました。どんだけ過酷な運命を用意する気なんだ!!打ってるのは待雪ですけどね。なんかシリアスですが、もうちょっとこの話題が続きます。見捨てないでくださいね(怯え




