第六話
ちょっと残酷かもです。15Rほどじゃないかもですが。
6.
ちゃぽん
「来る」
誰かが生きようともがく声なき声がする。
今日は朝早くから小川の前に座り込んでいたせいで腰が痛い。けれど、そんな場合ではない。
小さな塊を抱え、その場から掻き消えた。
「おはよう」
「あぁ」
今日もいつものように『魔女の森』に昼寝に来ていた。いつもと変わらずあのマントをかけられていたし、春月が近くの木陰に…いなかった。
「悪いね、春月じゃなくて」
黒猫が、喋った。いや、普通の猫じゃないのは分かっているのだ。
「お前、春月の使い魔か」
そうでなければ春月の名をあげる筈がない。
「ん~、遠からずってとこかな」
それなら、とりあえず危険はないということだ。
「ま、ここにいるのは春月に頼まれたからってのもあるけど、一番は僕が興味があったからさ」
好奇心旺盛なその使い魔は5,6歳の少年の声をしていた。けれど、何か油断ならないような賢さを持つことが漆黒の瞳に現れている。
「春月はどうしたんだ?」
「野暮用があってね、今日は僕が春月の代りだよ」
どうしてもはぐらかす気らしい。春月に口止めされている可能性もある。
「なんだい、その目は?僕じゃ不満って顔だね」
黒猫は軽やかに木の枝から飛び降り、足元へやってきた。
「春月に何かあったのか?」
それくらいしか思いつかない。
「あぁ、春月のこと心配してくれてたんだ。まぁ、今は平気だろうね」
引っかかるもの言いに眉間に皺が寄る。
「どういう意味だ?」
「まぁ、今は森から出るのが先決だよ。僕は君を運ぶ気はないからね」
そう言って歩き始めた。
「春月はまだ子供だから、結構過去に囚われたりもするんだ」
歩き出してしばらく、沈黙に嫌気が差してきた頃になって唐突に猫は話し出した。
「今日の出来事もそのひとつ」
前を歩く猫の表情は分からないし、どうせ顔が見えても分からないだろうが、なんとなく心を痛めているようにも思えた。
「『今は』って言ったのは、今は治療中で他のことを考える余裕がないからだよ」
「治療?」
「そ。溺死しかけた子供のね」
…今何て言ったか?できし、デキシ、溺死って言わなかったか!?
「春月がちょっと前に予知してたから、上流で拾えたんだけどさ」
「ちょっと待て!その子供大丈夫なのか!?」
「まぁ、幸いなことに早めに見つかったから命に別状はないだろうし、春月の治療だから後遺症も残らないだろうね」
「保護者は分かるのか?」
親だって心配しているだろう。
「連絡先は分かってるのか?」
矢継ぎ早に聞く。よく遊んでやった下町の子供たちの姿が浮かんでしまうのだ。
「無駄だと思うよ、それは」
「ム、ダ…?」
どういう意味か分からない。
「その子の親が、直接流したんだ」
「まさか、」
その子供は、
「出身はダレス国」
…魔術嫌いで有名な国。
その地では魔女と判明したものは、
「発見された時は〈ハシマキ〉だった…つまり、その子供は魔女だったんだ」
とりあえずここで切ろうかと。この話はもうちょっと続くし、大きなネタをバラそうかと思うので…。
今回も読んでくださった方、ありがとうございます!!
次回もよろしくお願いします!!




