第四話
今回からは今までできるだけ伏せてきたキャラクターの名前を出してきます!そんなに多くはないんですけど、分かりづらかったら言ってください。キャラクター紹介付けますから!!そんなこんなでこれからもよろしくお願いします。
4.
「…また昼寝してる」
思わずペンダントを服の上から握りしめる。すると、足元からにゃおーんと鳴き声がした。
「大丈夫よ、シェリフ」
マントを侵入者にかけて、近くの木陰に座る。…せっかくの昼寝の時間を邪魔するのは可哀想だ。
「ただ、懐かしくなっただけ」
陽の光に照らされて、麗しい侵入者は目を眇める。彼が寝入り始めたころにはあそこも木があり、木陰があった筈なのだが、すでにそこには木と呼べる背の高い植物はなかった。
「もう、誰もいないのね」
そうつぶやいた彼女の眼には涙が浮かぶことはないけれど、黒猫は少女の肩に飛び乗り、まるで慰めるかのように頬をなめた。
「ん」
「おはよう」
声がした?今日も脱走してきて、一人になれる場所を探し出して寝入った筈なのだが。アンリに見つかるなんて、もう少し奥に隠れるべきだったか。
「別に私は君の睡眠を邪魔しに来たんじゃないわよ」
どうやら人違いらしい。それならそれで、問題だ。
「…お前、誰だ?」
「名前を聞くのなら自分が名乗ってからにしたら?」
成る程、それはそうだ。…こいつが怪しいものでなければの話だが。
怪しい怪しくないと言えば、コイツは間違いなく怪しい。この容姿であれば自国の人間だ。…だが、俺のことを知らないらしい。普通ならありえないのだ。
「俺は結構顔は広いんだが、お前を見たことはない…名を教えることはできない」
一番の理由は、
「名前は力だものね」
名前を悪用すれば人を呪い殺すこともできてしまう。呪い殺されるわけにはいかないんでな。
私はこの人を知らない訳ではない。なら、何故名前を聞いたかって?私は彼に名前を教える気がなかったから。そして、彼は私に名前を明かすわけにはいかない事情があって、答えられないことを知っていたから聞いたの。
うまく変装して逃れてきたと思ってるんだろうけれど、私には姿を偽ることはできない。あなたも感づいてはいるんでしょうけど。魔術を制するのは魔女。その瞳の色を私に隠すことはできないのよ、昔も今も。
「もう日が暮れるわ。此処も時期に冬になる」
偶然か必然か、ここはあの頃と変わらない。
「それあげるから、今から森の外に出るわよ」
空を見上げると、白い氷の粒が落ちてきた。
「吹雪いてきたら一人じゃ帰れなくなるわ」
この森が魔術嫌いのダレス国に燃やされない理由はここにある。夜襲をかけようとも猛吹雪で近寄れないのだ。しかもこの森のほうが高度が高い。つまり、陽があるうちは軍隊でも連れようものなら、森から丸見え。身を守るものもなく、手を出せないって訳なのだ。反対側の国のこの人、セルには分かる筈もないが。
「それ着て、早く私に掴まる」
特別製のマントは保温効果抜群だ。とても重宝する。
意味が分かってないのだろうか、マントを着たものの動かない。ものすごくじれったい。
「行くわよ」
仕方ないので手を取り、歩き出す。歩くといっても景色は飛ぶように後ろに流れていくのだが。本当なら、一発で森の外に出してやりたいのだが、うまくいくか分からない。彼の特異体質がどこまで成長しているか分からないからだ。その分、『瞬歩』なら、私に掛ければ問題ない。流石に私自身を『無効化』できるとは思わないし。そのためのマントなのだ。
「ここなら、分かるでしょ?」
彼女の手が離れたのは、数分歩けば町に着く位置だった。分からない筈がない。
「あぁ、助かった」
実際に一人じゃ帰れなかっただろう。
「じゃ、私も帰るわ」
森の中に消えかける彼女の手を掴む。
「忘れ物だ」
借りていたマントに手をかけると、彼女は一瞬、眼を見開く。すぐ顔を伏せるとふるふると首を横に振る。
「あげるわ」
「貰えないだろ、こんなに大切にされているもの」
そりゃ、そうよね…と我に返る。
「今日初めて会った人間から貰えない」
そう。あれは、彼の中では無かったこと。
もう、私のことは『知らない人』なんだ。
この人の過去に私はいない。
私の中にはずっと居座ってる癖にね。
「そうね」
彼女の眼はこちらには向けられない。
何か、マズイことを言っただろうか。…でも、見知らぬ俺に親切にしてくれたんだし、御礼を言っても、何かしてもらうのは申し訳ないだろう。
それなら、
「俺の名前はセルだ」
弾かれる様に顔を上げた彼女は素直に驚いていた。きっと、俺が彼女が魔女だと気づいてるのを感づいていたからだろう。
「また来る」
親切には信頼で答えるべきだ。後ろを振り返らない彼女を見て、彼女の反応はなんとなくわかる気がした。
けど、
「私は春月よ」
彼女は変わっていた。
魔女にとっても名は大きな意味をもたらす筈だ。そんな重要事項を初めて会った人間に話すか、普通?てっきり、『もう来るな!』とでも言われそうだと思っていた。
彼女の性格上の話だ…って、なんで初めて会った人間にそんな風に思うんだ?
…まぁ、いいか。
とりあえず、彼女は面白い。また会えたらいいと思う。
「変わったのね、セルも」
私も大概変わったと思ったけれど、お互い成長したのだ。
噂は聞いている。町での人気を聞いて、あの頃の彼の面影が無くなっていくのが寂しくて堪らなかったものだけれど。
「変わらないところもあったのね」
親切には信頼で答える
彼の気配が見えなくなるまで背を向けていた。
そして、座り込む。
涙が頬を伝う。開かれた瞳は夕陽の色に輝いていた。
夢の中のお話が終わって、ようやく現実の現在に入れました!!とりあえず、ここがスタートです。夢の中の二人が誰だか分かって貰えたかなぁーと!ここではあえてぼかしてたんです。一人は覚えてないですし…
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これからも拙い文才ですが、頑張りますんで次回もよろしくです




