第一九話
4か月も間が空いてしまいました、半放棄の中、お気に入り登録を解除せずにいてくださった皆さんに感謝を込めて、再開させて頂きます。
19.
昔々の話だ。
とある少女は、どんな仕打ちにも耐えた。
小さな窓と食事の時に開くだけの小さな食事受け、そして姉がこっそりと忍び込んでくる扉。
地震では開けられないそれらだけが、彼女を揺らす風の通り道。
どんなに嫌われていると分かっていても、父が大好きだった。
「君も飽きないねぇ…」
「シェリフか」
敷地内に入れずたたらを踏む王子に会いに行くのがここ数日のパターンだ。
「春月はどうしている?」
彼女は使い魔である自分にも会おうとはしない。
何を恐れているかを想像できてしまうから、こんな行動に驚くことは無いけれど。
「引き籠ってるよ」
昔に戻ったみたいだった。
眠った気配も無く、ただひたすらに力を循環させ、森と一体になる。
森を駆ける風ひとつさえも彼女の一部。
自分に干渉されるのを拒んでいるのだ。
「春月は憶病なんだ」
だから、正直いうと城に分身ではなく実体で行った事にも驚いた。
昔々の話だよ。
とある国は双子を神の使いとして信仰するんだ。
後に生まれた子は災厄を呼ぶ死神の使いとされる悪魔。
先に生まれた子は幸福を運ぶ神の使いとされる天使。
その国では二人目を生まれた直後に銀のナイフで息の根を止める。
一人目には幸福の印である丸いスプーンを送るんだ。
そんな国にだって双子は生まれるもんだろう?
そして、幸か不幸か…ある代の王の子は双子だったのさ。
王様は習わしどおり、殺そうとしたそうだよ。
壊したくなくて。
でも、私が手を伸ばすとそれらは壊れてしまうから、壊す前に消えてしまう。
毎日、森の外まで来ているのは知っていた。
このまま放っておいたらどうなるのかも視た。
「これも、呪いかな…」
全く、呪いの重ね掛けなんてついていない。
でも、殺せなかった。
だから、彼女が災厄を呼ばないように奥深くに閉じ込め、力を封じた。
もちろん、子供が双子だったことは宮殿の中枢の人間しか知らされなかった。
それだけじゃない。
彼女にはとある呪いが掛けられたんだ。
「そのとある呪いのせいでナーバスになっちゃったんだよね」
「だ・れ・が、ナーバスだって?」
また、ぺらぺらと人の過去を…全く何がしたいのやら。
「あれ、出て来たの?」
首の皮を掴んでひょいと顔の高さ前で持ち上げる。
「出て来たも何も、手伝ってもらおうと思ったのシェリフが来ないから余計な時間が掛っただけよ」
背中に背負った鞄を見せる。
「ほっとく訳にもいかないでしょ…、こう毎日毎日来られるんじゃ」
作者と共に主人公も復活です。
シェリフの言うように、過去の出来事が彼女の臆病さの原因になっていて、現在も変わらず…という感じですね。




