第二十話
20.
「悪いけど、頼まれてくれない?」
大きな鞄を背負い、しゃがみこむのは遠慮したいのだが、相手の身長に合わせるとしゃがんでも足りない位だ。
「なに?」
「どうしたの?」
「しゅんげつ、ひさしぶり!」
人間の言葉を解し、発音する小鳥たちが交渉相手だ。
「私はちょっとの間小屋をあけるから、私そっくりで黒い目の女の子が来るわ」
予知だからあまり過信しすぎる訳にはいかないが、
「その人を私の小屋で匿ってほしいの…姿を変えて」
頼むしか方法はない。
……目を開けば可愛らしい小人が7人。
「ありがとう」
「帰ってくるんだろう?」
思わず振り返る。
「…もちろんよ」
体格のいい猪は手渡した薬をしげしげと見つめる。
―春月、何しに来た?
「予知夢を見たから、忠告に」
―ほぅ?ちゃんと仕事をしてたんだな…メリア様の後を継ぐのか?
「…まだ分からないわ。それより、猟師がやってくる」
―何だと?私を狙って?
「本当は、白雪姫を殺せと命令されるのだけど…」
―代わりに私を撃つのか
「そうなるわ……その時に内臓を持って行かれるの」
―何だと!?それでは……再生は!
「不可能……だけど、内臓がふたつならば?」
―成る程
「打たれる前にこれを飲み込んで」
―分かった。恩に着る、何かあれば私に頼れ
木の葉に包んだ薬を渡し、王子達を待たせている小屋へ急ぐ。
私が愛してきた森は、創造主のメリア様と共に滅ぶ筈だった。
どのように道を辿ったのかは分からないが、小さな泉に迷い込んだ私はメリア様の最後の弟子となり、メリア様亡き後、代わりに私が魔力を注いで現在の状態を保っている。
「今は、私がこの森の魔女」
…だが、
「出ていかねばならないかもしれないね…」
それは愛する森と生物たちの消滅を意味していた。




