第十八話
18.
「駄目だよ、勝手にシナリオを変えちゃぁ」
あれだけ魔力を食らったくせに私の夢までも味見したらしい。
しかし譲るつもりもない。
「私は他に手を割くほど優しくは無いし、暇でもないのよ」
私が予知どおり動いた先にあるものは重すぎるだろう。
彼の意図を知るからこそ、私は振り切らなくてはならない。
「何でそこまでする?」
茶器を並べる手を止めた。
「何のことかしら?」
聞いてはいけない、その言葉は甘美な響き。
「何で自分を偽ってまでそんなことを言うんだ」
聞いてはいけない、その言葉は私を縛る。
「偽り?全て本当のことよ」
「全て?嘘だろう…お前は意固地になってるんじゃないのか」
聞いてはいけない、その言葉は私の心に傷を付ける。
「意固地?私は事実を言ってるのよ」
誰もが傷つかぬように。
何よりも、
「お前がダレス国王女だからか?それとも母親に命を狙われてるからか?」
「そこまで分かってるなら話は早いじゃないの」
「それを盾にこれから先、誰とも関わらないつもりか?」
聞いてはいけない、誰よりもその言葉は私を傷つける。
「それは逃げだ」
「なら、言わせてもらうけれど」
―貴方は無責任だわ。
「私は貴方に守って貰うつもりは毛頭ないわ」
-私を匿うつもりでしょう?
「そんなことをすれば、貴方の国は火の海でしょうね」
あの女はソレくらい何とも思わない。
そして私にはそれを跳ね返すくらい何て事は無いけれど。
「それを分かってやっているなら、貴方はキチガイよ」
パタン
ドアが閉じる音を聞いたかと思えば彼らは森の外に放り出されたらしい。
「あーあ、つまんないの」
黒猫は泣いた。
「今日は期待してたのにな」
何であんなに意地を張るんだろ。
黒猫は笑った。
「そろそろ幸せな夢が食べたいよね、メリア」




