第十六話
遅くなりました…元ネタから大分書き直しているので時間かかってます。読んでいてくれる方、大変申し訳ないです。
今回ちょっと血が出ます。大したことないと思いますが、保険かけときます。
16.
「全く、先祖返りが笑わせるわよ」
相変わらず人様に迷惑をかけるところは変わらないんだから、と皮肉ってやる。
強運なことも相変わらずだ。
「感謝してよね」
私に、と言うよりは少々短絡的ではあったが魔女の根城に乗り込んできた忠実な太陽に。
眠るセルから目線を外し、部屋に広がる黒い靄を睨みつけた。
払っても揺らめきもしなかった黒い靄が渦巻くのを感じた。
「ちょっと何を!」
この魔女に任せることが間違いだった…!
「煩い。集中したいんだから黙ってて」
バッサリと切り捨てられ邪魔者扱いを受ける。普段ならありえない状況だが、自分には打つ手がない。それを震わせる彼女に賭けるしか無いのも分かってる。
「殿下に何かあったら許さないわよ」
悔し紛れに言ったそれに、
「絶対死なせやしないから安心して頂戴」
強い声が聞こえた。
その途端、座り込んでしまう。
渦を巻いた場所に靄が集まり、色が濃くなる…すると、そこには黒いガラス片が現れた。
その周りに赤い渦ができたかと思えばそこにも同じような形の赤いガラス片が現れ、星のように輝く。
幻想的な世界に状況を忘れ、見惚れた。
その中に人形のように動かない魔女がどんな表情をしているかは分からない。
静寂は予告も無く崩され、黒いガラス片が意志をもったかのように震え、金属音を響かせ、形状を変え出した。
「!」
殺意を持ったかのように矢に姿を変えたそれは風を切り、魔女に向かい始めた。
数百の矢が突き刺さるその寸前で矢は赤い膜に阻まれ、シャボン玉に包まれる。
「舐めんじゃないわよ、魔術の欠片も知らない素人風情が呪おうなんて」
どうやら面倒なことに首を突っ込んだらしい。
呪い返しが一番楽なのだが、後々問題になるため却下。
だが、何も手を打たなければ調子に乗るのは間違いない。今度は殺される。
「とりあえず、強制退去してもらうわ」
突っぱねようとしたのが伝わったのだろう、一番離れた場所に力が集まる。
見た目はナイフ程度だが、あんなものが突き刺さったら毒に侵される。しかも、狙いは私じゃない。
ザクッ
肉を切る音がした。じきに痛みが来るだろう。
冷静な自分がそこにはいた。
「よかった」
パリン
息を吹きかければナイフは砕け散った。欠片はシャボン玉に取り込まれ、シャボン玉は床に落ちた。
シャボン玉はだいたいビー玉サイズに縮小され、黒い破片は赤いガラスのような膜に閉じ込められていた。
開かれた窓から慣れ親しんだ黒猫が翼と言うオプション付きで現れた。
「もったいない」
「いいわよ、媒体に使うから」
庇った右手には穴が開いていた。
「へぇ、アレやるんだ」
興味津津なその様子に後から何を言われるか分かってるから物凄く嫌だが仕方ない。
「 風、この地に吹き込む
水、洗い流す
不浄、去りぬ
命、呼吸す 」
前に突き出した両手から数え切れないほどの青い陣が溢れる。
四方に広がるそれを見届け、詠唱を続ける。
「 不浄、この地を避け
命の揺り籠、主を守らん
邪念通じず、安息を与う 」
壁に陣が定着したのを確認し、いくらか落ち着いた傷跡を抉る。
「 我が力に、祝福を 」
陣同士が鼓動を刻むように明滅するのを見つめ、全てに光が満ちるのを待つ。
淡く発光し始めた部屋の中心…私の足元には複雑な陣が出来上がっていた。
「 我が命が眠るまで 」
足元の陣が一瞬強い光を放ち、消えた時には終わっていた。
とりあえず、今回は此処までにしようかと。
春月の魔女っぽいとこが書けたかな…拙い文章のせいで伝わらないかもしれませんが。
今回も読んで下さりありがとうございました!
次回も頑張りますのでよろしくお願いします。




