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第8話 太陽って生みの親?


「内圧が抜けた、と言うのは、4つの惑星分の質量が外に飛び出していったから、ですか?」


「その通りじゃよ。体積で言えば1000分の1程度の量ではあるが、内部圧力を抜くには十分じゃったから、以後は黒点が出来る程度の噴火しかしておらん。最初に一番デカい塊、つまり木星を放り出し、順に土星、天王星、海王星を放り出して、後は小康状態。多少エネルギーの上下はあっても、全滅させるほどの事は無かろうよ」


「全滅が無い、とおっしゃいましたが、多少は減ったりする事もありますよね?と言うか、地球の歴史上、何度も絶滅の危機があったんですが、ソレはもしかしなくても太陽の変動の所為だったんですか?」


「あー…。ソレは太陽の変動の所為ではないが、他の惑星の影響があった事はある。その件は後で話すが、太陽の影響は活動が弱まった方が影響が大きかったと言えそうじゃ」


「弱まった。つまり、黒点が無い状態。という事は、氷河期が来た状態ですか?」


「うむ。最も電子流が弱い場所。つまりこの辺と、この辺じゃが、ここに至ると、長期間黒点が発生しない」

 言いつつ、かみさまは最初に出来た2つの円筒の外側を示した。


「この範囲であれば、太陽系周辺に電子流が存在せず、ただひたすら不活性の状態じゃ。そうなると、生活圏が激減し、人口は大きく減少する」


「ええと、ソレは江戸時代のマウンダー極小期とかダルトン極小期とかに当て嵌まりますか?」


「うん?ああ。確かに減ってはおるが、比較にはならんじゃろう。干ばつ程度の話ではなくて、平地に氷河が出来るほどの変化じゃと思え」


「それは、飢饉どころの話では無いですね」


「とは言え、星がぶっ壊れたり、地軸が狂ったり、丸ごと熱水が降って来るような大災厄に比べたら、気候の変化なぞ些細なコトよ」


「またそう言う聞きたくなる事をおっしゃいますが、とりあえず変動の因果関係はおおよそそう言うモンだと理解しました。なので先に、太陽の話だけ聞いてしまいたいので、先程の放り出したとかいう火山の話を聞かせて下さい」


「おお、火山の話に戻すか。そうじゃな、オカルト雑誌に載っていたのはこんな写真じゃったぞ」

 周りの図形が消失し、さっきの写真と、歪な黒い部分がある、山の様な写真が現れた。


「これがヴァルカヌス?とかいうらしい火山じゃ。黒い部分が塞がってしまった火口部分じゃな。この部分の最大幅が凡そ10万キロ、つまり直径の10分の1ほどある。これ以上大きな火山は存在しない」


「いや、そう言われましても、僕らが知っている最大の火山は火星のオリンポス山でして、裾野の直径で550キロ程度なんです。火口で10万キロって木星よりちょっと小さい位じゃ無いですか。想像が付きません」


「それはしょうがあるまい。とは言え、最初の火口は15万キロ近くあったんじゃが、塞がってしもうてな。今では所々で噴煙を上げておるに過ぎん」


「つまりアレですか?木星っていう巨大な14万キロの塊に始まって、土星、天王星、海王星。これらが全部ヴァルカヌス?とか言う火山から産み出された?そんな荒唐無稽な話を信じろと?」


「まあ、ぬしゃらの太陽系形成論とやらに、微塵も迎合せぬ内容だから信じたくないのは判るが、一番最初にぬしゃらの考えは狂っておると言ったであろう?あれの意味は即ちカルト宗教じゃ。自らの考え方が正しく正義だと言い放って、周りも全て洗脳していこうとする狂信者。ぬしゃらの科学は、聞けば聞く程狂信者共とたがわぬわ。ソレを心せよ」


「こっちの心情を一刀両断の下、糾弾しないで下さいよ。判りました。これからは出来るだけ、過去の知恵に引っ張られないようにします。でも、結構難しいんですよ?思考の基準と言うか、基礎の理論と言うか、相対性理論という根っこが蔓延はびこっている感じなので、修正が効かないんです」


「相対性…理論。光速に近付くと時間が遅れる?宇宙と地上で時間の進み方が違う?何じゃそれは。ふむ?原子時計とかいう超高速振動の計器?それの比較?これはアレか?振動を細かくすれば正確な時間が測定出来るから、ソレで比較した。という事かえ?」


「ええまあ、その通りです。今、気付きましたけど、もしかしなくてもニュートリノの振動幅が狭い地上と広い宇宙とでは、原子時計に影響して性能が変わる、とか在りそうですね」


「その通りじゃよ」


「えっ」

「あー、やっぱりそうなんですか。えーと、つまり地上では振動幅が小さいから時計の振動への影響が少ない。宇宙では基準となる地上よりも振動への影響が大きく加速し易い。更に人工衛星なら、秒速数キロで動いているから偏った振動の影響で減速寄りの影響が発生する。時間は関係無くて、振動が関係しているだけ。そして、地上からの電波の反射は、経路が曲げられるから遅く到達する。」


「そう言う事じゃな」


「どこで、進む道を間違えたんでしょうね?ホントに」


「生存本能的な話で言えば間違ってはおらんのだがな」


「科学的に間違っているのに、間違っていないんですか?」


「それで食っていけたんじゃから、間違ってはおらん。生涯を間違いか否か突き詰める事に費やすのは、それが間違いであることを証明する為の一生であっただけで、食いっぱぐれが無ければ意味のある生涯じゃよ」


「そう言われれば救いはありますが、教えて頂いた理論は僕達が居た場所では絶対に誰も賛同しない理論ですよ?何らかの証明が出来ていれば別ですが、正しい理論の筈なのに、どうあがいても疑似科学の様な受け取り方をされるのであれば、正しい理論の追及をしていた人達は意味の無い生涯を送ったと言われませんか?」


「そうでもない。ヒカルの読んだという本には実験内容が載っておったそうじゃしな」


「あ、でも僕、ソコは読んで無い。嘘松~とか言って飛ばした」


「儂にも読めんからそうなんじゃろうが、証明方法はあったから意味が無いという事ではなかったと思っておけ。追及は出来んからな」


「分かりました。ソレで納得しておきます」



「それじゃあ、ちょっと気になったからかみさまに聞きたいんだけど」


「なんじゃヒカル」


「さっきの月と地球の回転速度で思ったんだけど、太陽の表面速度って秒速2キロだけど、惑星の公転速度って順番に、秒速47キロ、35キロ、30キロ、24キロって感じで減ってますよね。これって、太陽のバン・アレン帯みたいな場所でニュートリノの流れが加速されて速くなって、例えば秒速100キロくらいの流れが出来て、それが全部の惑星の公転速度を決めているって事になるの?」


「おお。引力と重力の関係では無く、別の要因で各惑星の公転速度が決まるのではないか?という疑問の答えを、さっきの対流図から捻り出したか。基本的にその通りじゃが、今、ヒカルが言うたバン・アレン帯。アレは、地球と太陽では別次元の構造をしておる」

 そう言うと、電子線をくっつけた太陽や円筒が消えた。

 そして、パッと太陽の写真が現れ、10センチほどになる。そこにさっきの電子線が、磁力線の様な形状で片方にだけ大量に現れた。そして、磁力線の間に、等高線の様な閉じたラインが現れ、幅の狭い太陽付近は沢山の線が何重も密に、遠方の間が離れた所では数本の線が、順に現れた


「地球と同じく、太陽にもバン・アレン帯の様な、電子が大量に流れる場所が存在するが、実の所何十カ所もの通り道が存在する」


「え。そんなにいっぱいあるんですか?」


「ある。じゃが、近い分には目立つようなことは起きぬ。しかし、ある程度の距離からは、電場を有するモノが内部に留まり易くなるんじゃよ」

 近くから順に、少し離れた場所を示している。


「ん?それって惑星ですよね。電場の形成って物理現象だから、流れる場所にも法則が存在する事になりますよね?」


「もしかしなくても、ティティウス・ボーデの法則か?」


「うん。ソレ思った。ってことは、引力とかの影響も有りはするけど、規則的に並ぶのは、電流の場所が法則的に決まっていて、ソコに納まるから規則的になるだけなのか」


「うむうむ。太陽が有する電場の影響と言うのは、とてつもなく強く、果てしなく遠くまで届くのじゃと知ればよい。そして、惑星の方も保有する電場が強ければ、ここの隙間に納まり切れずにどんどん外に弾かれて、入れる隙間になって漸く安定する。という流れになるんじゃ」


「うわあ。もう何か、法則が正しく揃っててその通りの出来事しか起きて無いのに、別の法則で解釈しようとすると、途端に明後日の方向を向いて解説していた感じに見える」


「なんとなく判るな、ソレ。道筋が1本しか無いのに、無理矢理横にずれて、別の道筋を討論していた感じだな」


「じゃあ、かみさまにもう一つ質問」


「なんじゃヒカル」


「最初に木星が出来たのって何億年くらい前の話なの?」


「ふふっ。これはまた解答不可能な質問が来たもんじゃ」


「えっ?かみさまでも判らないの?」


「年とは何じゃ?」


「あっ」

「ああー」


「解ったか?」


「あの、はい。すみません。基準になる地球が存在しないのに、地球基準の時間単位で質問をしたこと自体、間違いでした」


「そうじゃな。ぬしゃらの基準は、軸あってこそ。軸が無いのに、今の基準で長さや時間を測ろうとしても、測れぬのが道理じゃよ」



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