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第12話 月と地球の邂逅


「そうじゃな。先ずは流から説明しようか」


「流れ、ですか?」


「と言うても、今迄言うたそのままじゃよ。初期に壱弐の惑星が出来、かなり長期間安定しておった。そこには様々な生物も生まれ共存しておったが、その後一方に大災厄が起きた。それが今中空にある月が近付いた為じゃの。環境も重力も豹変してしまい、月は空っぽの衛星となり、地球もぱっくり割れて膨らんでしもうた。この為、月は死の星となり、地球もほぼ絶滅に近い影響を受けたんじゃよ」

 かみさまの横に月と地球が現れ、その横に殆ど同じ大きさの白っぽい星が現れた。


「こちらが今の状態で、こっちが昔の状態。同じ様に白く見えるじゃろうが、片方は厚い大気で、片方は氷の表面となっておる。それぞれが全く別の変遷を辿った所為で、今の重力基本の科学は根源から狂いが発生してしまったのを、説明しやすい月の方から解説していこうかの」

 白い方の星2つが目の前に来て、断面がパッと見えるようになった。大きい方は、真ん中に小さい球、水色の層、灰色の層、赤い層、灰色の層の順で、薄い白い層が一番外にあった。小さい方は、真ん中に水色の球、灰色の層、赤い層、灰色の層があって、その表殻は非常に薄く見えた。


「この2つの星が接近してしまった1万5千年ほど前、とある現象が起きなければ通過するだけじゃったんじゃが、前に言うた電束の強い時期と重なった為、強い電流が2つの星に流れてしもうた」

 上下にあった2つの星に円筒状?の様な白い光が上下に走った。


「それはオーロラみたいな電気の流れですか?」


「おお、場所的には正にそのラインじゃが、オーロラの様な現象では無く、直流電流の雷が筒状に表殻を融解させてしまう程の、文字通りの大厄災を引き起こしたのが事の発端じゃな」

 下の方にあった月の断面に、半円筒形の白い光が打ち込まれ、それが月の直径の3分の1ほどの大きさで表殻が熱水の部分まで繋がった。


「無論、表殻を奇麗に切断した訳では無く、巨大な穴や断続的な穴が半円を多少オーバーするくらいの範囲で収まった。これは、距離が離れた為に岩盤の蒸発に足るエネルギーが供給されなくなった所為じゃが、内部の熱水や溶岩が噴出するのには十分な穴が何カ所も開いた事になる」

 下の月の断面の上側に空いた穴は2か所で、そこから水色の液体が噴き出してきた。


「当たり前の話じゃが、圧の高い内部の熱水は基本的に数百度ある。故に圧が抜けると即気体に変わる。この膨張圧力は極めて高く、膨大な熱水が宇宙に放出された」

 液体の噴出で中心部分に白い球体が出来、強い噴出が続くと急激に球体が大きくなっていった。


「この膨大な噴出で幾つかの出来事が起きた。1つは噴出の勢いを受けて通り過ぎる筈だった月が減速し地球の重力圏に捕まった事。それと、内部の岩石層が噴出の勢いで外部の岩石層にぶち当たり変形させてしまった事。それから、噴出のある程度進んだ後に溶岩部分が噴出口に集積されかなりの溶岩が表面に押し出された事。そして、溶岩が冷え固まる前にかなりの噴出物が月に引き戻されて落ちてきた為、溶岩の跡地以外ではクレーターばかりになってしまった、と言った感じじゃろうか」

 上に地球があって、横を通り抜けようとした月からジェット噴射の様な現象が起きると、月が地球の横に留まった。断面を見ると、穴の反対側、つまり下側に岩石層がくっ付いていて、上の穴から赤い流体が出て来て広がっていくのが見えた。最終的に赤茶色の固体に固まったが、下側には赤茶色の部分が無かった。


「つまり、ぬしゃらの言う海とやらは、かなり重い部類の重金属を含んだ溶岩の広まった跡地という事じゃの。そして、溶岩部分は内圧に押されてしもうて殆どが穴が開いた場所付近に集約されたので、いま見えている表側とやらは、裏側より遥かに重くなっておる。ゆえに、起き上がり小法師の如く、月は重い方しか見えんようになっとる訳じゃ」

 地球と横並びになっていた月の内部で、赤い部分が内部の変動で片方に寄って吹き出し固体化すると、赤茶色になった部分が地球の方向を向き始めた。そのまま、振り子の様に揺れながら横向きになって止まった。


「月の方のおおまかな流れは以上じゃの。何ぞ聞きたい事はあるかえ?」


「かみさま?」


「なんじゃ」


「そういう予測があったのは知ってましたけど、月って本当にすっからかんなんですか?」


「いや、すっからかんと言う程では無いが、熱水と言うか液体部分は無くなってしもうたのは事実じゃの」


「そー言えば、兄さん」


「なんだひかる」


「月内部を撮ったって人の写真があったんだけど、この断面図から推測できるいかにもな形が撮れてたの思い出した」


「なんだそれ。聞いた事無いぞ?眉唾物じゃないのか?」


「僕もそう思ってたんだけどね」


「写真と言うのは、これかえ?」

 かみさまが変な写真を2枚映し出した。どっちも遠景の写真だが、どうも広々とした洞窟の中にある大量の建物がある風景に見える。確かに、何かの内部に居る様な感じのする写真だった。


「あ、そうですそれです。コッチの奥まった感じなんか、岩石層の隙間みたいな風景じゃない?」


「うーん。まあ、そう見えなくもないけど、そもそも誰が撮ったんだよ。月に行った宇宙飛行士の行動記録とか全部わかってるだろう?こんな記録、見た事も聞いた事も無いぞ?」


「それはそうだよ。だって行った人死んだ事になってるし、国も無くなっちゃってるから記録としては存在しない事になってるもん」


「だったら尚更どうやってこの記録をお前が見れたんだ?あれか?情報公開で出て来た内容か?」


「それで出てくるレベルの情報じゃ無いよ。国家機密の類いだよ?あっちの国の話とそっちの国の話はハッキングとか漏洩とかの外的干渉で出てくるから、オカルト雑誌のミステリー情報として公開こそされたけど、与太話としてしか扱われなかったしね」


「そりゃそうだ。と言うか、そっちの国って月に人送ってたのか?聞いた事が無いぞ」


「そりゃそうさ。なんせ失敗しちゃったからね。全部成功したら大々的に公開するつもりで、1人は何とか月まで送り出したんだけど、帰還用の後続のロケットが基地ごと消滅しちゃったから無かった事にされたんだよ。行った本人も死んだ事にされて、計画そのものが無かった事にされちゃったっていう顛末」


「あー、いかにもそっちの国っぽい話だな。あ?いやまてひかる。今の話だと帰還出来ない飛行士が写真撮っても、戻って来れ…()()()?飛行士は死んでない?それどころか、帰還して写真を持ち帰った?」


「そうだよー。噓八百の与太話にしか聞こえないと思うけど、月に居た人達、この場合は宇宙人か?まあ、月人にしとこう。彼らに助けられちゃって、1週間後、焼け野原の基地跡に降ろされたってさ」


「あー、一応11号とかの逸話ででかいマザーシップやらUFOやらの話は聞いた事あるが、ありゃ成功したから接触しなかっただけで、失敗したら助けてくれる月人が居たのか…なあ、ひかる?」


「何?」


「もしかしなくても、かぐや姫って本当に月が故郷で、お迎えが来たから帰っただけの、月人の記録が物語風になっただけとか?」


「あ。ああー。月からのお迎えってそういうこと?飛行士が見たのも東洋人だったって書いてあったから、何百年も昔から居た事になっちゃうのかな?まあ、彼の言い分だと母国語話してたみたいだから、相当驚いただろうね」


「そりゃそうだろう。ところで、何かあっさり流したけど、詰まる所それってどっちの国も半世紀以上前から宇宙人が居るのを正しく認識してたって事になるよな」


「まあ、そうだね。そしてどっちの国も公表しない事を国是としちゃって、極秘に協定でも結んだとかは有り得る気がしてる」


「つまり、多少公開されても公式には絶対否定される流れが出来る、と。そして、理論もミスリードしておけば、UFOとかの技術に到達する可能性が極めて低くなる。半世紀以上もやってるだけあって、相当手の込んだ隠蔽工作なんだろうな」


「まあ、その辺りにしておけ。個人でどうこう出来る話では無かったというだけじゃ」


「そうですね。それで、基本的な月の変動は解りましたし、中身ががらんどうなのも解りましたけど、それ以降の変動は無かったんですか?」


「大きな変動は起きておらん。膨大な噴出物が表面をクレーターだらけにしたが、黒い部分以外は大体が過去の氷殻や熱水の残滓で覆われておる」

 断面図がくるっと回って、月の表面が出て来た。そのままくるくると回っている。


「以前は熱水があった故、かなりの磁場を有しておったが、今は大部分を放出してしまって、残った分は全て凍結しておる。故に重力は相当に小さくなってしもうた。まあ、言うても半分程度じゃが」


「その状態で6分の1。以前は3分の1ぐらい?だとしても、外と中の岩盤、かなり薄かったよな。じゃあ、月って大部分が熱水だったんですか?」


「そうじゃの。さっきの断面の水色部分は全部熱水であった故に、無くなってしまえば使い勝手のイイ隠れ蓑となる」


「隠れ蓑。まあ、地球って未だに宇宙人を信じていない人が大部分を占めてるし、居るって分かったら間違いなくパニックになるだろうから隠れているのは正しいんだけど、そこに居るとは思わないよなぁ」


「僕も情報として持ってはいたけど、与太話と言うかミスリードと言うか絶対に使えない情報、という受け取り方しかしてなかったから、そう考えてもイイ隠れ家だよね」


「あ奴らの話はまた後でしてやろう。とりあえずそれ以後の変化は起きておらぬから、最後、ぬしゃらの星の説明といこうか」


「はーい」

「お願いします」




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