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22/23

79話 12年ぶりの再会です

過去1長い1話になってしまいました。


最近、題名によって文系の方が呼んでくれないのではと思いまして、キーワードに『文系でも楽しめる』を入れてみました。効果があるかはわかりませんが。

今後とも『理系属性魔術で異世界に改革を!! 〜理系は異世界でも科学に真っ直ぐ〜』をよろしくお願いします。

「ミロク、今日は授業はないけど学院祭の説明を受けないといけないんだよ。起きて。」


フィールドワークの翌日、今日も今日とてシエラに起こされる。

制服に着替え、朝食を取る。


バス停へ向かい、バスに乗る。

校舎へ向かい、教室に入る。

席に向かい、机に突っ伏す。

寝る。

タイムテラーの鳴き声で起きた。


ちょうどゼノス先生が教室に入ってきた。


「知っての通り再来週には学院祭が待ち構えている。」


知らなかった。


「学院祭は第1学年から第5学年までの全てのクラスが出し物をする。コンテストもあるから頑張れ。部活が出し物をすることもあるな。それと、個別任意参加ではあるが、個人、またはグループで研究したことを披露する研究発表会、武器を使った勝負をトーナメント方式で行う武闘大会、飛行魔術を使った飛行レース、そして、毎年最も盛り上がる、魔術を使った勝負をする魔法戦大会などがある。それぞれ優勝者には例年、豪華な景品があるし、実績として将来、職に就くときに有利になるからやってみるのもありだと俺は思うぞ。」


ふーん。武闘大会と魔法戦大会は少し気になるな。


「先生、前年度の優勝者は誰だったんですか?」

「いい質問だ、アーノル。前年度の優勝者は研究発表会は、今はもう卒業したセンが率いるグループが、新魔法薬の開発をして優勝していた。武闘大会は、今は第5学年で、剣術部部長のルーが優勝。飛行レースは現在第4学年のテルシンが優勝。魔法戦大会は、個人の部では前生徒会長のフィレーナ、団体の部では現生徒会長のクスレをリーダーとした、セレント、エレント、ガナテルの4人グループが優勝した。」


ルー先輩、すごい人だったんだな。


「それでは、クラスの出し物を決めよう。例年は演劇、屋台、アートなどをやってきた。このクラスはどうしたい。何か案がある者はいるか?」


演劇か。中学1年生の文化祭の時に演者なんてできるわけがなく、裏方の音響を担当した。

食料品の取り扱いは禁止だったから屋台は出したことがないな。

アート作品は毎年美術部と書道部が協力して大きな作品を作ってたな。



クラスのみんなが決めた出し物にできる限りの協力をしようっと。


「メイド喫茶をしてみたい!」

「「「「メイド喫茶?」」」」


サルトが珍しく発言したと思えば、メイド喫茶か。

ん?

この世界にメイド喫茶の文化はないはず。たまたまだろうか。


「メイド服を着て客をもてなす喫茶店のことだよ。男性受けがいいし、男子が執事の服を着れば、女性受けも良くなると思うよ。コンテストで金賞、間違いなしだよ。」


メイド服か。可愛いよね。

うちもクラスの女子のメイド服姿を見てみたい!

誰よりもシエラのメイド服姿を見てみたいな。

絶対可愛い。


結局、他に有力な案が出なかったから1組はメイド喫茶をやることに決まった。


「個別競技に参加したい者は本日より1週間以内に教員室に申込書をもらいにきて記入したら参加できるぞ。」


「キョッキョッ、キョキョキョキョ」


1限の終わりを伝えるタイムテラーの鳴き声が学院に響いた。

それを聞いてゼノス先生は教室を出て行った。


今日はこれで自由時間だ。

何をしようか。


やっぱり魔術の練習かな?


(ユークリッド空間、xマイナス領域)


まずはヘミスフィアの耐久テストだ。


「ヘミスフィア」


エオリアさんと闘った時ぐらいの硬さヘミスフィアを40枚展開。


「ゴールドバッハ彗星」


これで30分くらい待つ。

その間は円周率の練習だ。

発射速度、操作性、鋭利さを重点的に練習する。


図形生成で作り出した的をぶった切ること約30分。

接近物感知に反応あり。来る。


ドーン


30枚破られた。

それなのに彗星にはほとんど傷がついていない。

威力が異常な上に硬さも異常だよ、これ。

やっぱりこの魔術は封印だな。


「円周率π」


全力の円周率でやっと切れた。

割栗石ぐらいの大きさに割って収納した。


そういえばスキルの練習はあんまりやってなかったな。

と言っても、今練習できるスキルなんてほとんどないけど。


「鉄扇術・刹那」


アーノルとやり合った時にやった鉄扇を開いて突く動きが流れるように自然に出た。


「鉄扇術・絶骨扇」


扇子の動きを補助するように風が起きてめっちゃ威力が上がった。名前の通り、余裕で骨を折るくらいの威力はあった。


「鉄扇術・鉄心捕縛」


今度は関節を()める技か。


「鉄扇術・飛燕蒼閃扇」


素早い動きで正確に首筋を狙う技。


すごい。スキルって面白い。


スキル練習をすること30分。


「スキル干渉権限のレベルが3に上がりました。SP(スキルポイント)とスキルの交換が可能になりました。」


また君か。

レベル3に上がったけど、まだ君が誰か教えてくれないの?


「スキル『アレフ0』の効果の1つで、とある理由でマスターの魔術脳に仮の自我が芽生えたものが私です。」


とある理由って何?


「マスターのスキル干渉権限は現在レベル3のため、その質問にはお答えしかねます。」


ダメか。

うーん、名前がなかったから困ってたんだよね。

これからはアレフさんと呼ぼう。

アレフさん、SPとスキルを交換できるってどう言うこと?


「スキルを使う度にスキル熟練度が上がります。このスキル熟練度を数値化したものがSPです。マスターの今のスキル熟練度は、


112SP / 1111SP


です。初級スキルなら6SP、中級スキルなら5000SP、上級スキルなら500000SP、帝級スキルなら30000000SP、神級スキルなら700000000000SPと交換が可能です。現在のマスターのSPでしたら初級スキルが18個まで習得可能です。ご要望はありますか。」


うーん、要望か。ていうかこの1111SPって何?


「スキル干渉権限のレベルアップに必要なSPの表示です。1111SP手に入るとスキル干渉権限のレベルが4に上がります。」


つまり、スキルを今取りまくったらスキル干渉権限のレベルアップが遠退くということか。


初級スキルって、例えば、何があるの?


「一覧を表示します。」


ゲームのステータス画面みたいなスクリーンが現れて一覧が現れた。

便利そうなスキルないかな〜。


・初級スキル『鑑定妨害』

・初級スキル『体力強化 Lv.1』

・初級スキル『疾駆 Lv.1』

・初級スキル『跳躍 Lv.1』

・初級スキル『魔力隠蔽 Lv.1』

・初級スキル『毒耐性 Lv.1』

・初級スキル『暑熱耐性 Lv.1』

・初級スキル『寒冷耐性 Lv.1』

・初級スキル『睡魔耐性 Lv.1』


とりあえず、54SPを消費して9個選ぶ。


『鑑定妨害』はその名の通り鑑定を妨害するスキル。ただし、相手の鑑定のレベルが高ければ看破されることがある。

『体力強化』も名前通り。

『疾駆』は走る速度が上がるスキル。

『跳躍』はより遠く、高く飛べるスキル。

『魔力隠蔽』は体内から放出する魔力が周りから隠すことで魔力感知や魔力探知などのスキルにによって見つからなくするスキル。これも相手のレベルによっては看破される可能性がある。

耐性系のスキルはそれぞれ、毒、暑熱、寒冷、睡魔に対するダメージを軽減するスキル。

特に睡魔耐性は今のうちにはぴったりなスキルだ。


「スキル『アレフ0』の権能、《統合》により、スキル『疾風』とスキル『跳躍』の統合を行い、中級スキル『縮地』の習得に成功しました。スキル『暑熱耐性』とスキル『寒冷耐性』とスキル『熱変動耐性』の統合を行い、中級スキル『寒暖耐性』の取得に成功しました。」


なんかスキルが統合されて強化された。

ラッキー!


「睡魔耐性により、マスターの魔力を消費して私がアクティブモードでいられる時間が延長されました。週に1日スリープモードに入れれば常時アクティブモードでいられます。」


つまりは、基本的に声をかけたら答えてくれるのね。


「いつでもお声掛けください。」






翌日。

サルトと勝負を控えたうちは、授業そっちのけで教室の窓の外を眺めていた。睡魔耐性のスキルのおかげで授業中でも全然眠くならない。魔力を消費続けるのは難点だけど。

今日は珍しく雨で、ジメジメしている。

この国は雨がほとんど降らない。2週間に一度とかいう頻度かな。雨が降らなくてもなんとかなってるのは、無から水を作り出せる魔術を大体の人が使えてしまうからだろう。うちも水魔術が使えないわけではない。詠唱したら水を生み出すことはできる。練習したら撃ち出すこともできるだろう。


サルトに関しては情報が皆無だ。ソーナとルナは得意属性くらいなら授業の合間の休憩時間に狸寝入りでクラスの女子の会話に聞き耳を立てていたから聞いたことはあった。


え?

その割にルナとの魔法戦で最初に防げないと分かっていたのにスクエアを出したって?


あの時は、、、、忘れていたんだ。決して美少女に話しかけられたことにテンパって冷静な判断ができなかったわけではない、断じて違う。



4限の授業が終わるとサルトと落ち合った。もちろんシエラも一緒だ。サルトの連れは、サルトの薄桃色の髪とは少し色が違う、桜色の髪の女の子だった。そしてめっちゃギャルだった。


「よ、待たした? 待ったなら、ごめんチャ。てか初メンやね。シエラと実技主席さんの陰キャくんじゃん。あーし、サトっちに呼ばれてんけど、これ何すん? てか2人とも近くで見たらマジ、きゃわたんやん! 後でほっぺプニプニさして。ィッタ」


ギャルのおでこにデコピン炸裂。


「そこまで。ほら、ミロクが萎縮してシエラの後ろに隠れちゃったじゃん。あんたの猛攻は陰キャくんにはしんどいのよ。」

「はいはーい!」


彼女を止めてくれたのはいいものの酷い言いようだな。うちは話しかけてくれないと友達を作れない人見知りなのであって、陰キャではない。


「訓練場は借りなくていいって言ってたけど、どこでやるの?」

「あ、はい。えっと。ここです。」


そう言いながら3人も一緒に無詠唱でユークリッド空間のxマイナス領域に転送する。


「スゴすぎ! ヤバたんなんだけど! どここれ。ここで何すんの?」


はしゃぐギャル。

そういえば名前知らないな。1組じゃないし、多分。とりあえずはギャルAとしよう。


「確かにここなら訓練場の代わりになるわね。」

「うん。シエラ悪いけどまた審判やってもらっていい?」

「り!」


あ、シエラにギャル口調が移った。


「ギャビーは治癒魔術担当ね。いい?」

「ダチの頼みとあらば!」


「それでは審判は僕、シエラが担当する。ルールは特にないが、相手が死ぬような攻撃はしないこと。勝利条件は降参または僕が戦闘不能だと判断したとき。治癒魔術はギャビーに担当してもらいます。それでは試合開始!!」


「数学魔術・スクエア」


いつも通り様子見から。


「ファイアーランス」


サルトの火魔術。今までの生徒で1番威力が強い。だが、スクエアを破るには至らない。さて、どうくるか。


「サンドウォール」


はて。攻撃してないのに突然の防御魔術か。どうしたんだ。


「タービランス」


砂でできた壁を削るように気流が暴れ出した。

そのまま砂嵐のように風と砂が襲ってきた。


まずいと思った時には遅かった。ヘミスフィアを展開してもうちを囲うような砂嵐から守れないだろう。

幸い、まだ目眩し程度の効果しかない。


(接近物感知)


オンにしておいて損をすることはないだろう。

見たところ彼女は魔術を無詠唱で撃てない。うちと同じで、できるけどわざと発声しているしている可能性も無きにしも非ずだから警戒は怠れないが。


弓矢などの投擲物がこんな砂嵐の中、正確にうちを狙えるはずがない。となると、接近戦か。

鉄線を構えてどこから来てもいいように構える。


しばらく誰も話さずシーンと静まり返った時間が過ぎた。

なんか風が治まってきたなと思ったら、


キャンッ


嵐の向こうから高く、短く、澄んだ音が聞こえた。懐かしい音だ。前世で何度聞いたことか。

ここで第六感が働いて、

(縮地・3連)

先ほどいた場所から3mほど離れた場所に移動した。早過ぎて瞬間移動にしか見えんが、めっちゃ早く動いただけだ。


ヒュン


うちがいた場所を高速で何かが通過する。

射たれた矢が速度を落とし、地面に転がる。


正直、サルトのことを侮っていた。

実技試験は6位だし、目立った話もクラスでは出ていなかった。

矢を放つタイミング、弓の腕、風の魔術を弱めるタイミング、全てが完璧だった。

そんな彼女の戦闘センスに感心すると同時に、昨日からあった疑惑が確信に変わった。


彼女は転生者、または転生者を知る者だ。

メイド喫茶。この世界にあるはずのない、和弓。そして、弓道の所作。

うちも前世の姉の影響で弓道の道を歩んだ身。あの弦音を聞いた時にもう百発百中そうだと思った。


それならやることは1つだ。


こんにちは。うちは花(こんにちは。うちは花)野井智数と申します。(野井智数と申します。)あなたのお名前を(あなたのお名前を)教えていただけない(教えていただけない)でしょうか。(でしょうか。)


挨拶を試みてみる。もちろん日本語で。

そうするとサルトは、一瞬、「えっ」って表情をして、半泣きの笑顔で駆け寄ってきた。

そしてなんと抱きついてきた。


本当に久しぶりだね、(本当に久しぶりだね、)智数! 会いたかった(智数! 会いたかった)よ。生きてて本当に(よ。生きてて本当に)よかった。(よかった。)


うちの前世の名前を知っていて、弓道家、一人称が自分の名前、異常なほどの涙もろさ、懐かしい雰囲気。全部つながった。


もしかして風姉?(もしかして風姉?)

そうよ。智数の(そうよ。智数の)大好きなお姉ちゃんの(大好きなお姉ちゃんの)花野井風化だよ。(花野井風化だよ。)


クッ、シスコンなのは否定できない。

にしても前の世界でもこの世界でも風姉はかわいい。

でも、会えて本当に良かった。5兄妹の誰ひとりとして欠けてはいけない。


「あの〜2人はどういう関係? あと今の何語?」

「そーだよ。サトっち、この陰キャとどういう関係なの!?」


そうだった。この2人がいたんだった。

言い訳どうしよう。


「うーんとね、サルトとミロクは世界の全てが引き剥がそうとしても離れない、強くて深い絆で繋がれた関係だよ。」


どこの小説のくさいセリフだよってツッコミは抑える。

15年間、姉弟やってたから深い絆があるのは本当だが。


2人ともぽかんとした表情で立ち尽くした。

あ、うん。そうなるよね。


とりあえず、そういうことにしてなんとか誤魔化した。

サルトが風化姉さんだと分かったが、特に変わることはない。


「勝負の続きしますか?」

「そうしようか。」


全員、また定位置に戻る。


シエラの試合開始の号令で、また動き出す。


今度はうちも本気で行く。相手がうちと同じ転生者ならチートスキルがあってもおかしくない。


元々負けず嫌いなところはあったが、サルトが風姉だと分かったからには特に負けたくない。


今まで風姉には負けっぱなしだった。

年齢の差があるからしょうがないのだが、文字の完全記憶能力を持ってしても、数学以外の学問は勝てなかった。

うちには才能がなかったみたいで弓道でも常に負け続けてきた。

コミュ力もあって、友達0のうちとは比べられない程の人数の友達がいた。


子供の頃から、何でもできてうちの何倍も凄い。うちの憧れだった。

そんな風姉とはこっちの世界では同じ年齢で、同じように成長してきたんだ。もう風姉に頼り切っていたうちはもういないんだ。

負けてたまるか!



「元素生成・11・ソディウム・23.0、371、1156」

「数学魔術・円周率π、128個生成」

「ウォーターバレット」


何かはわからんが、金属の塊のようなものを何個か飛ばしてきて、それに纏わりつくように水の弾が放たれた。

よく分からんが、これはヤバい。あの「化学は爆発だ!」って言ってた風姉のことだ。絶対爆発する。


「元素生成・74・タングステン・183.8、3695、5828」

(ヘミスフィア)


嫌な予感は当たって、その金属が、大爆発。

即座に展開したヘミスフィアが破壊されて、爆風が飛んできた。

急いで再展開した。

円周率πで放った光の輪は今の爆発で全て消滅させられていた。


ナトリウム爆発だよ。(ナトリウム爆発だよ。)その厄介な防御を破る(その厄介な防御を破る)威力の攻撃ならこれで(威力の攻撃ならこれで)しょって思って。(しょって思って。)1kgでこの爆発。(1kgでこの爆発。)日本じゃ絶対できなか(日本じゃ絶対できなか)った実験だよ。(った実験だよ。)

うん、わざわざ解説(うん、わざわざ解説)ありがとう。(ありがとう。)


解説せれてもどうしようもないよな。例えナトリウム爆発を封じられたとしても他の攻撃方法なんてたくさんあるだろう。


「もういっちょ行くわよ。元素生成・11・ソディウム・23.0、371、1156。ウォーターバレット。」


とりあえず、何としてもこの攻撃を抑え込まねば。


(ヘミスフィア)


水に触れたナトリウムを包むように硬めのヘミスフィアを3重に展開。


さっきと同じように爆発が起こったが今度はヘミスフィアが押さえ込んで小規模な爆発で済んだ。


「あらら、もう対策されちゃったか。じゃあ、死なない程度に呼吸できなくしちゃうよ。ギブアップするなら今のうちだよ。モリキュールチェンジ・O2(オキシジェン)to(トゥー)O3(オゾン)!」

「ちょっと待っ、」


そう言われたのを聞き終わった時にはもう遅かった。濡れた金属のような匂いがしたと思えばクラッとして呼吸がしんどくなった。

まさかヘミスフィアで身を守っているのを逆手に取られるとは。

今更だが、

(ヘミスフィア解除)

立っているのもしんどくなって、ガタッと膝をついた。

また、負けるのか。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。


せめて一矢報いる。

(円周率π)

光の輪を飛ばしたが、タングステンの壁に阻まれて攻撃が止められた。

ふっ。

こっちの世界に来てからは師匠とサラ以来の完敗だ。

長男としての意地はこんなもんだったか。


そこまで考えてうちは意識が飛んだ。




目が覚めると、15年ぶりに膝枕をしてもらっていた。


風姉。(風姉。)


そんなうちの声を聞いたサルト(風姉)はうちの頭を撫でて、小さいころ寝かしてくれる時にいつも言ってくれていた、花野井家家訓を呟き始めた。それに応えるようにうちも呟く。


兄妹が困っていたら、(兄妹が困っていたら、)

できる限り助ける。(できる限り助ける。)

5人でできないことは(5人でできないことは)()

母さんを頼る。(母さんを頼る。)

兄妹喧嘩は、(兄弟喧嘩は)

お互いの好きな言葉(お高いの好きな言葉)を言って解決。(を言って解決。)

遠く離れた時も、(遠く離れた時も、)

心は近くにある。(心は近くにある。)


15年間、聞かされた言葉だ。忘れるはずもない。


うん。ちゃんと覚えて(うん。ちゃんと覚えて)いるようで何よりだよ(いるようで何よりだよ)。ついでに射法訓は(。ついでに射法訓は)覚えてる?(覚えてる?)

うちの記憶力を舐めてもらっちゃ困るよ。

射法は、弓を射ずし(射法は、弓を射ずし)て骨を射ること最も肝(て骨を射ること最も肝)要なり。 心を総体の(要なり。 心を総体の)・・・」




ヤバい、ダメにされる。こっちの世界に来て、何とか1人でも生きていけるくらいに強くなれたんだ。そして、長男としてみんなを探し出して守ってあげたいとも思った。それなのに、あんな強くてかっこいいところを見せられて、こんなに甘やかされちゃったら、これからも一生、花野井風化の弟をやめられなくなっちゃう。

今のうちはもう、花野井智数ではなくミロクで、風姉も、花野井風化ではなくサルトなんだ。

姉離れしなければ。


そう思い、起き上がってサルトの目を見てうちは宣言した。


うちは風姉に今まで(うちは風姉に今まで)たくさん頼ってきた。(たくさん頼ってきた。)これからもたくさん(これからもたくさん)頼る。でも今までと(頼る。でも今までと)違って、風姉に依存は(違って、風姉に依存は)しない。うちはもう(しない。うちはもう)風姉の知ってる弟(風姉の知ってる弟)じゃないんだから。(じゃないんだから。)だからね、これからも(だからね、これからも)よろしくね、サルト。(よろしくね、サルト。)

うん。(うん。)


そう返事したサルトは、涙を流しながら笑ってくれた。

その笑顔はこっちの世界に来てから見てきた笑顔で2番目に可愛かった。

全く同じ文字がルビとして振られているところは日本語で話しているところだと思ってください。


チートを超えてしまったチート。


ここからは余談ですが、ミロクは人の言葉を無意識的に脳内で文字化して記憶してしまう癖があります。

そんなミロクが女子の会話でルナの得意属性を忘れるはずがなくしっかりと記憶しています。


そして、作者設定で風化の弓道歴は5年で段位は二段となっています。ちなみに作者であるうちは現時点では弓道一級で、智数と同じです。


ついでに、テレビアニメ『クラスで2番目に可愛い女の子と友達になった』が現在放送中です。ラノベ原作の今イチ推しのアニメです。ぜひ見てみてください!

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