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83話 初クエストと誘拐

ゴールデンウィーク始まったからずっと執筆を続けていたら何とか間に合いました。急いで書いているので、誤字脱字があるかもしれませんが、ご了承ください。


次回からは4週間に1度、4話を1日の0時、6時、12時、18時に分けて投稿してみようと思います。だいぶ投稿と投稿の間にブランクができてしまうのは申し訳ないのですが、この作品をより楽しめるように、そして、ストーリーとストーリーの繋がりを深めるためにこれが最適だと思いました。

10歳の時、前世の記憶を手に入れた。

日本という国の片親だが、極々普通の5人兄妹の長女で、花野井風化という名前の15歳だった。


この世界はでの名前はサルト。


両親とは離れ離れで暮らしている。


家は王都から少しだけ離れたセリンデル公爵家の領地に建つ大きめの邸宅だし、裕福な家庭に産まれたのは確かなんだけど。

毎日つけている金の糸が編み込まれた白いリボンは遠い昔、母親にもらったもんだってメイドから聴いている。

名前も顔も知らない人からお金が毎月送られてきて、メイドと執事は淡々と仕事をしてくれる。

家名がないから貴族ではないと思うけど。貴族からの平民落ち的な感じ?


異世界転生か。智数のヲタク話を聞かされていた時は、そんな壮大で現実的でないことに巻き込まれる訳がないと思ってた。

だから、実際に異世界に来て、魔術とかを目の当たりにしてしまうと、どうしても動揺と戸惑いを隠せないのよね。


この世界で前世の記憶を手に入れる前は何の違和感もなくやっていたことも、日本では非常識だってことなんてよくある話だし。逆ももちろん。



食事は日本食の方が美味しい。10年間何も知らずに食べ続けてきたからこんなものだと思っていたが、日本食の味を思い出してしまうと、どうしても見劣りしてしまう。カレー、食べたいな。


魔術の才能は、まあまああった。火・水・風・土の基本4属性が使えて、魔力の総量は少なくはないが多くもない。だが、魔力回復量上昇と、魔力回復速度上昇というスキルのおかげで魔力が尽きたことがない。


魔力石に触れたときは、

・現在保有魔力   1117

・魔力保有量上限  1117

・魔力使用量上限  602000000000000000000


あの時は驚いたよ。魔力の総量より使用量上限が高いなんてありえないと思ったからね。

今思えば、使用量上限がアボガドロ数の上三桁未満を四捨五入した値になっているのもびっくりだよね。



6歳の時、たまに家を出入りしていたハンターのお兄さんに剣術を教えてもらったけど、才能がなかったみたいで剣先が思い通りに動かせなかったから断念した。


そのハンターのお兄さんがよく連れてくるルイーザさんに弓の稽古を付けてもらった。弓の才能はあったみたいで短弓で20mくらいの距離の動かない的なら、走りながらでも射抜ける。弓術スキルによる補佐もあるけどね。

前世で弓道二段だったのもあって、長弓も使える。和弓とこの国の長弓は形が違うから微妙な力加減が違う。でも最長90mの直径1mの的を射れる程度には使いこなせている。これも弓術スキルによる恩恵もあってのことだけど。


弓に打ち込むあまり、7歳の時には『弓矢創造』と『弓矢収納』ってスキルが芽生えてしまって、今ではもうどこでもかしこも弓を射ることができる。

自分にあった弓がスキルで作れるようになって、戦闘の幅も広がった。


前世の記憶が生えてから数ヶ月たったある日、ルイーザさんにハンターのお仕事に連れていってもらった。ハンターのお兄さんにはすごく反対されたけど、薬草採取なら危険も少ないって説得したら、

「好きにしろ。」

って言われた。


そこからは、王都外れのE級魔境である『階段の樹林』に向かった。魔境の木々の高さが階段状に中央に向かうにつれて高くなっていき、雲を超える寸前でいきなり高さが揃って、平らになる形が、魔帝大国テリエンティエィにあるA級魔境の『魔界と展開を繋ぐ階段』の形に似ているからと、そう名付けられたらしい。


クエスト内容はマナポーションの原料の1つであるマナオドソウの採取。

マナオドソウは魔力がよく解けている池の(ほとり)に生える植物で、生息地が限られているけど、付近の魔物を追っ払うように魔力を放っている。

だから簡単にできるクエストとして低ランクハンターに人気なんだって。


ルイーザさんの助けもあって、ホーンラビットや、スモールリザードなどの弱めの魔物を狩りながら、採取スポットにやってこれた。池というより水溜りだと言えるほど小さな水場だった。


マナオドソウの特徴はルイーザさんから聞いていたから、すぐに見つけられた。桜のようなピンク色の小さな花でどこにでもありそうな雑草に見える。が、魔力を持ってるからなのか、マナオドソウの周りだけ少しだけ暖かい。そこらの雑草に手をかざすだけでそこにあるかどうかわかる。


クエストで要求されている分だけ取って、その場を後にした。


要求されている量以上持って帰ったら他のマナオドソウの採取クエストを受けてその場で提出したら楽にクエストを受けれてお金も稼げるのでは、と聞いてみた。

そしたら、

「そんなことしたら他のハンターさんが困っちゃうでしょ。」

と答えられた。

今思えば、マナオドソウを必要以上に採取すると魔物の生息地域が変わって生態系に影響を与えてしまうんだろう。


ハンターズギルドで薬草を提出してクエスト達成の証明書と報酬を受け取った。その時、ルイーザさんが受付嬢とこそこそ話しをしていたのは少し気になった。


ギルドを出て家へ向かおうとしたその時、

「そこのお姉さん、妹さんも一緒に俺らといいことしない?」


()()()()主人公に絡んで返り討ちに合いそうな5人組のチンピラ集団がいた。全員男性の()()()()女を襲ってきたような見た目だった。


ていうか姉妹に見えるんだ。髪色が薄ピンク色と青緑色で真反対なのに。


「はぁ? いやですが。」


ルイーザさんが今まで聞いたことないほど低い声でそう返事した。

それなのに、


「いいじゃん、俺らと遊ぼうよ。お酒奢るよ!!」


ギルドの近くで、決して人通りの少ない道ではないのに、こいつら何でこんな堂々と女を誘えるのか。こいつらの気が知れないわ。

こんなチャラチャラした感じの男、前世で智数のことをいじめてた奴らを思い出すからムカつくんだよね。濃塩酸か発煙硝酸をかけてやりたくなる。

でも今、濃塩酸も発煙硝酸も持ってないし。ここは、ルイーザさんの後ろに隠れて弱い女の子を演じる。


「この女、連れないです。兄貴やっちゃってください!」

「そうだな。おい、女、俺様はCランクハンターのゴードンだぞ。不本意だが、素直についてこねえなら強行手段に出るぞ。」


そう言って手のひらから黒い炎を出した。

魔術ってすごい。

塩化ナトリウムにメタノールをかけて燃やした炎にナトリウムランプを当ててできる光の吸収による黒い炎は作ったことはあるけど、こんなパッて呼吸するように黒い炎を作り出せるなんて。


Cランクって、チンピラにしては強いのね。


「何度言えばいいのですか。お前らみたいな虎の威を借る狐を見てると反吐が出るし、ゴードンだっけ? お前みたいな強くもないのに強いふりしてるだけの臆病者には嫌気がさす。絶対に嫌です。」


その言葉にチンピラたちがブチギレる。


「この女、俺らを舐めてまっせ、兄貴。」

「もう、やっちゃってくださいよ兄貴。」

「そうだな、今更後悔しても知らんぞ。ダークフレアバインド!」


黒炎のロープのようなものが襲いかかっていくる。


「フレアシールド」


ルイーザさんの火炎魔術で全方向からの黒炎の攻撃が全て防がれた。火炎魔術にしては珍しく、オレンジではなく、白い炎の球体の盾に守られていた。


「ダークフレアアロー」


黒炎の矢を飛ばしてくるが、威力が弱くてルイーザさんの守りを破れない。


「フレアアロー」


白炎の矢が5人に刺さって吹っ飛ばした。


守りを解除して刺すような目で5人を見下し、ゴードンを蹴る。


「弓を使うまでもなかったわ。ゴードンよ、喧嘩を売る相手を間違えたようだね。私はルイーザ。万里鵬翼のルイーザって言ったらわかるかな。」


え。ルイーザさん、そんな二つ名あったの?

ゴードンがみるみる青ざめていくから有名人だったんかな。


「あ、そうだった。サルトには言ったなかったね。私、万里鵬翼が二つ名のAランクハンターだよ。」


まさかのAランク。

Aランクハンターに喧嘩を売ったと知り、他4名のチンピラも青ざめる。


「サルトを家まで送らなければならんからな。いつもなら即ギルドに突き出すところだが、今は急いでるのだ。行っていいぞ。」


そう言われて逃げるように5人は逃げていった。


「あ、そうだ。ゴードン、Cランクハンターなら相手の力量を図れないと今後ハンター業界でやっていけねえぞ!」


逃げる背中にルイーザさんはそう叫んだ。

先輩としてどうしてもいいたかったんだろうな。


パチパチパチパチパチパチパチパチ


周りから拍手が聞こえた。

近くにあった鍛冶屋さん、肉屋さん、八百屋さんの店主がこっちに向かって歩いてきていた。


「いやあ。ありがとうございます。私たちは最近、あの5人に店を荒らされて大損失を受けまして。ギルドにクエスト申請に行こうとしましたが、生憎、お金がなくてですね。退治してくださってありがとうございます。これは少しでもという私たちの感謝の印です。」


そう言って、護身用にナイフ、オークの肉1切れ、そしてキャベツのような野菜をくれた。


「ありがたく受け取らせてもらいます。」




3人と別れ、帰路についた。

近くで止まっていたタクシーを拾い、家へ向かっていた。


、、、はずだったんだけど、なんか、違う方向に向かってる気がする。

ルイーザさんも気づいたみたいで、


「おい、どこへ向かっている。目的地はそっちではないはずだが。」


帽子を深くまで被って顔が見えないようにしていた運転手に、ルイーザさんが声をかけたら、


「気づかれましたか。ですがもう遅いですよ。お前らはもう俺の罠にハマってんだよ。」

「何を、」

「ハヴァグッドナイト」


へ!? 魔術?


「むにゃむにゃ。」


あれ、ルイーザさん寝てる。


「小娘。なぜお前に俺の魔術が効かん。」


なぜって言われても分からん。


「まあ良い。小娘ごときじゃ俺は倒せん。」


相手の強さもわからない上に、ルイーザさんが眠らされた今、戦うのは愚策だと思って、今は行儀良くしておく。


「今から俺の依頼主のいるところまで運ぶ。眠らないなら、これで腕を縛って、この布を猿轡にしてこれを被っておけ。」


縄とハンカチと麻袋を渡されたので素直に従っておく。

智数がいつしか拘束されてこちょこちょされたいって言ってきたから家にあった縄でガッチガチに拘束して、くすぐってやった。本当にMな弟を持つのは辛い。

自分で自分の腕を拘束するのって意外と難しいのね。



2時間くらい経っただろうか。ダクシーが止まって麻袋を取られて、

「出ろ。」

とだけ言われたから運転手、元い、誘拐犯に続いてタクシーを出た。ルイーザさんはまだ、寝てるみたいで、気づいたらいたもう1人の男の浮遊魔術で連れてこられてる。


連れてこられたのは何とも貴族のっぽい屋敷だった。



誘拐犯に引きずられるようにして3階の1室に連れてこられた。


こんこんこん


「失礼します。第2皇女を連れて参りました。」

「入れ。」


え、今、第2皇女って言った? 誰のこと?


扉を開けて入ったところには知らないおじさんとその付き添いの執事がいた。


「いらっしゃい。第2皇女。そこに座って。」


座ってって言われたけど、そこ床なんですけど。

それより、第2皇女ってどうゆうこと!?

なろう系のテンプレ展開、雑魚チンピラに喧嘩売られて、返り討ちにする。

1度は書いてみたかったんですよね。


ちなみに「皇女」と書いて「おうじょ」って読みます。


次回からも続くサルト編。

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