61話 死ぬかと思いました
本日2作品目です。
フィールドワーク3日目です。
「おはよう、ミロク。」
昨日のようにシエラが起こしにきた。
マヤルが作ってくれた料理を食べて、集合場所に向かった。
「今日も昨日と同じようにいく。準備できてるか?」
「おう! 問題ねーぜ。」
「はい、大丈夫です。」
「今日もよろしくお願いします。」
「ん。」
「大丈夫です。」
『よし! それじゃあ、ダイヤ背中につかまって。湖底までとばすぞ!』
『『『『『おー!』』』』』
ダイヤのおかげで湖底までは30分もかからなかった。道中で魔物に遭遇することが減ったが。
湖底でアリゲーターレックスの捜索をしていると、ヘレネから突然焦ったような声で念話が送られてきた。
『後方からものすごいスピードで超大型の魔物が来ます! 大きさだいたい13m! このままなら10秒くらいで遭遇します!』
『とりあえず、ダイヤの背中に掴まれ! 逃げるぞ!』
13mの魔物はは明らかにやばいやつだ。ダイヤに乗ってからも、ヘレネによるとどんどん近づいてきてるらしい。
地球でもこの世界でもウミガメは泳ぎが速い。それを超えるとなると相当強い。
200mくらいまで奴が近づいてきたとき正体が分かった。
脅威度8のシャークロードだった。
いやいや。ちょっと待てこんなの倒せるわけないだろ。
1口で6人全員飲み込める口。1本50cmくらいの鋭い歯。
ダイヤが怖がってるのがわかる。タートルロードが怖がる敵って、うちらからしてみれば絶望でしかない。しかも水中で動きが制限されている状態だし、陸上でも倒せる自信ねー。
友愛数で懐かせることもできなくはないだろうが、魔力消費量が半端ないだろうし、つれてはいけない。あの分厚い皮膚だと鉄扇の攻撃は通らないだろう。スキルと新しく手に入れた魔術を使ってギリギリってとこだな。
命の危険があれば教師が介入するだろうから死ぬことはないだろうけど。とりあえず5人を逃がす方法を考えよう。
『こいつはうちが食い止める。5人はダイヤに乗ってゼノス先生に報告してこい。』
『大丈夫なのか?』
『ああ、見守りの教師もおるし、 倒せなくても、逃げることはできるだろう。』
『分かった。』
うちはダイヤを降りて、魔力を大量に込めた10m四方のスクエアを出した。みんながダイヤに乗って逃げ切れる時間だけでも稼がなければ。
ダイヤが全力で突進しても罅すら入らない強度があると思う。
これで10秒くらいは保つだろう。そう思っていたが、1度ぶつかっただけで小さな罅が入って、2回目の体当たりで大きな罅が入って、3回目には綺麗に割れていた。
5秒くらいしか時間を稼げてない。
「化け物だ。」
勿論スクエアの裏に隠れていたうちはシャークロードに食われそうになったところをギリギリで出したスクエアを蹴って食われるのは回避したが、下顎に当たってぶっ飛ばされた。しかもご丁寧に湖底に向かって。
もはや水の抵抗があるのにないように感じてしまうくらい速い。
咄嗟にスクエアをうちの飛ばされる先に出してトポロジーでトランポリンのような動きを再現して衝撃を吸収した。 結構、制御が難しくて使いにくいが、成功したらダメージはゼロだ。この技にはトポロジートランポリンという名前をつけよう。
シャークロードはうちなんか気にせず、みんなの方向に泳いで行った。人1 人より亀1 匹の方が美味しいのだろうか?
しょうがない、あまり使いたくなかったが、追いつくためには使うしかないな。
「数学魔術・タクシー数」
このタクシーの最高速度ならあいつに追いつける、と思う。
流石にまずい。
検証と練習はしてないから1発本番で、新しい魔術を使わなければならないのか。
シャークロードに追いついて、うちはタクシーから降りた。
「数学魔術・ゴールドバッハ彗星」
特に何も起きなかった。あれー。あの声の説明聞いて、てっきり巨大な魔法陣から彗星が出てくる感じだと思ってたのだが。魔力だけが減った。
まあ、いい。
次だ。
「数学魔術・円周率π」
あの声の説明通り、チャクラムのような光の輪が作れた。
鋭さ、大きさ、動き、速さが制御できるみたいで結構使いやすい。それに、これならあいつに多少なりとダメージが入るだろう。
「おりゃおりゃおりゃ!」
とりあえず、3つ奴に投げつけた。
「おお! 結構ダメージ入ってるじゃん。」
3枚ともシャークロードに深々と刺さっていた。血が吹き出してきてちょっと水が濁った。
加速に魔力を大量に使った。
階乗スキルの効果で魔力がほぼ無制限に使える今は痛くも痒くもないんだが、普段使いはまずいな。
皮膚だけを狙っていても致命傷にはならないだろう。確実に弱点を狙わなけば倒せねーだろうな。
シャークロードはそもそも珍しい魔物だ。弱点は図鑑には書かれていない。ただ、口の中は分厚い皮膚で守られていない。
狙うならそこだな。
今の攻撃で、ダイヤを追いかけるのをやめて、うちにヘイトが向けられた。
だが、まだうちごときに魔術を使う必要もないと判断したのか、口を開けてうちを食おうとして凄いスピードで襲ってきた。強いだけで脳みそが足りてないな。
「数学魔術・円周率π」
金色に光るチャクラムがシャークロードの喉を切り裂き、中の内臓まで切断した。強いが、所詮はサメ、再生せずにそのまま死んだ。
ふー。勝った。久しぶりの強敵、死ぬかと思った。
あれが魔術を使ってきたら、勝ちようがなかった。
運が良かったとしか言いようがない。
とりあえず収納してみんなを追いかけた。あの5人とダイヤなら、そこらの雑魚は大丈夫だろうが、やはり心配だ。
ゼノス先生がいる場所に行くと皆が待ってた。
「良かったよ~。」
戻ってきたらシエラに抱きつかれた。そんなに心配してくれたんだ。
うちが戻ってきて安心したのかシエラがそのあとすぐに寝た。
うちの膝の上で。
いつも、うちが先に寝るからシエラの寝顔を初めてみた。
めちゃくちゃかわいい!
黄緑色の髪をなでたくなる。本当、女の子みたい。
シエラを愛でながらゼノス先生に何が起きたか説明した。
ヒュードーンバシャーン
何か大きいものが湖に落ちた。
岸から600mくらい先のところだ。
って、あそこ、うちがシャークロードと闘ってた所らへんじゃね?
もしかして、あれが ゴールドバッハ彗星?
めっちゃ速かったし、直径40メートルくらいあったぞ!
いや、普通の彗星に比べたら小さいか。ていうか魔術発動から30分くらい経ってるぞ!
でも、あの威力ならシャークロードでも死んでたな。
うちも死んでいた可能性が高いしな。この魔術はよっぽどのことがない限り封印だな。
直径40メートルの巨大な岩が湖に落ちたら当然、津波が起きる。
その対処はゼノス先生がやってくた。しごできだね。
音でシエラが起きてしまった。残念。もうちょっと寝顔を見てたかったな。
「何が起きたの?」
「何よ、あれ。」
「世界の終わりだーー!!」
「皆、落ち着け!! それぞれの班で集まれ。安全確認をする。」
若干1名、過剰に焦っている人もいたが、さすがゼノス先生、津波は完全に防いでいた。
うちの班はみんな無事だ。ソーナとセロとルナのところも全員揃ってる。
アーノル班とサルト班が湖に潜ってるみたいだ。あの彗星で誰かが死んでたら嫌だな。
「2人の班を担当していた先生と連絡が取れた。両班とも無事らしい。今日は湖に入るな。各班はテントに戻ってろ。」
あいつらが無事で一安心だな。
テントに戻ったうちらはマヤルの料理を食べて、自由時間を満喫していた。うちはフートキューブで使って魔力を 補充していた。
ユークリッド空間の検証もしなきゃな。
また、後日でも良いかな。
やることがいっぱいだ。
シエラは魔道具に関する本を読んでた。
寝顔を見てからシエラがかわいく見えてしまう。猛烈に女装してるシエラが見たくなってきた。
マヤル、ヘレネ、リズベルトの3人はダイヤ相手に魔術の練習をして、アリソンはサメか、彗星かどちらかは知らんがよっぽど怖かったのか、寝袋から出てこなくなった。
こいつ案外、ビビりなんだな。
そこからは昨日と同じように過ごして、そのまま寝た。
舐められていたとはいえ脅威度8を単独討伐。
担当の生徒が危険な目に遭っているのに見守りの先生は何をしていたのか!?




