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53話 楽しい遠足です

すごく短い息抜き回です。  

入学してから1 ヶ月と2週間。


2週間前くらいから企画されていた、1年1組の『クラゲの巣窟』という魔境への4日間のフィールドワーク初日だ。

他の組はもっと難易度が低い魔境へ行くらしいが、1組なら大丈夫だと皆も先生も判断したらしい。


前回の実技試験の結果で上位6人をリーダーとして6つ班を作って行動するらしい。1つの班に6人か7人。一応、引率の教師はいるが、命の危険がない限りは介入しないと言う。


リーダーの仕事は主に2つ。魔物との戦闘の時のチームへの指示と、脅威度5以上の魔物の討伐。


10台の馬車で40人と教師7人、魔境まで移動する。

その間の馬車の護衛は生徒がやる。魔物や盗賊に襲われたときには護衛を担当している班が撃退することになっている。


点呼をして学院を出発した。


護衛を担当するのはアーノル班、ルナ班、サルト班、ミロク班、セロ班、ソーナ班の順番で護衛をすることになった。

シエラはうちの班に入ってくれた。本当に助かる。シエラがいなかったら班員とのコミュニケーションが滞りそうだから。

シエラ以外にも入ってくれた人が4人いた。うちの班に入りたがる人がいなくて、人数が足りなくなるのではないかと心配したがそれで少し安心した。


「アリソンです。水と火と風と土属性の魔術はだいたい使えます。」

「リズベルトです。得意属性は闇属性です。」

「マヤルです。料理魔術や収納魔術、掃除魔術など、日常生活で使えたら便利な魔術と最低限の火魔術が使えます。」

「ヘレネです。探索魔術が得意です。一応水魔術も使えますが、威力は弱いです。」


アリソン以外は女子だ。

シエラとうちも軽く自己紹介をして一時的にパーティーを組む上での合図などを決めていった。


みんなの実技試験の成績はクラス内順位で、

ミロク 1位

リズベルト 13位

シエラ 14位

アリソン 16位

ヘレネ 37位

マヤル 40位


この4人も伊達に1組の生徒をやっているわけではなく、相当強い。マヤルは実技試験40位で1組で最弱と呼ばれているが、筆記試験が良かったこともあり、戦闘以外において役に立つとされて、1組にいる。



この5人ならうちがいなくてもだいたいのことはできるな。

移動し始めてから30分くらいだったとき、護衛の順番が回ってきた。うちは基本的には上空からパーティーメンバーを見守ってあげたらいいっぽい。タクシーに乗って5人の様子を見守る。


見事に連係が取れていた。シエラの魔鉄行による監視と、ヘレネの探索魔術で、馬車に近づいてくる魔物を見つけて、すぐに残りの3人が撃退する。


「こりゃうちの出る幕はねえな。」


順調に馬車の護衛をこなしていって、次のセロ班の番になるときにうちが交代の伝達をしにいった。


セロは金色のメッシュが入った真っ黒な髪、うちより15cmくらい高い身長。

教室で何回か見かけたことがあるけど気にしたことがなかった。背中にはうちの身長くらいある大剣を背負っていた。デカい。力も強そう。


「君が実技試験1位のミロクだな。よろしく。俺はアーノルたちと違ってあんたに勝負を申し込むような愚かなことはしない。」

「よろしく。うちは強いけど、魔術無しでの勝負だとセロに勝てそうにないや。」

「俺に勝ったアーノルを下したんだミロクは俺より強いだろう。」

「それは相性の問題だと思うよ。うちはアーノルほどのスピードはないし、セロほどの一撃は出せないと思うよ。」

「なるほど、気が向いたら1試合頼むかもな。護衛、ご苦労。ここからは俺たちに任せろ。」


そこからは完全数で、班員の回復を行って、『クラゲの巣窟』まで馬車に乗っていた。

20分くらいたった頃、馬車が止まった。

『クラゲの巣窟』までついたらしい。


魔境内には馬車では入れないらしい。理由は魔境を見れば分かる。見た目はただの湖。琵琶湖くらいの広さはあると思う。海とつながっている汽水湖で、一番の特徴は肺呼吸の生物でも魔境内で呼吸ができるという点だ。ただ、水の抵抗は受けるからいつもより動きが制限される。

故にハンターズギルドによって、Cランクハンター以上の資格を持つ者の同伴が必要なC級魔境に指定されている。出現する魔物もほとんどが脅威度4。行き道で倒したゴブリンやスモールリザードなどとは強さが違う。その上、環境が人間には不利すぎる。


課題は湖底に生息する薬草の採集とジェリーフィッシュキングとアリゲーターレックスの素材の持ち帰りだ。それぞれ脅威度5と6だ。タートルロードより強い。しかも水中だ。

うちだけだと無傷では厳しいかもしれん。あの時より強くなっているし、シエラたちがいる。何とかなるだろう。


制服だと水の抵抗を受けまくる。水着を持っている者はそれでいいのだが、うちは持っていないから学院に借りた。


借用の水着は普通の紺色のトランクスだった。

シエラは目の色と同じ深緑色の海パンを着ていた。

アリソンはいかにも南国風って感じの海パンを。

リズベルトは上下呂色のタンキニを。

マヤルは白背景のグレーの縞模様の大きな胸を強調するビキニを。

ヘレネは彼女の長いクリーム色の髪と合うパステルピンクのワンピースを着ている。


「入るぞ。」

「「「「「はい!」」」」」

「うちが先頭を行く。うちは攻撃と探索系の魔術があまり得意ではない、アリソンとリズベルト。攻撃は2人に頼みたい。探索魔術はヘレネに担当してもらいたい。シエラは魔鉄行で遠くの探索と攻撃組の支援を頼む。マヤルは取れた素材の収納を頼みたい。魔物を収納して後で先生に渡すとカレールがもらえるからね。容量を超えるようなことがあればすぐ報告しろ。そこからはうちの収納に入れる。防御と回復はうちがやる。死ななければ大丈夫だ。分かったね?」

「「「「「はい!」」」」」


そこからはうちを先頭に、湖底を目指した。


「9時の方向から敵接近中です。5匹のクラゲ型の魔物です。」


水中の音の伝わり方は空気中と違うから空気中と同じように聞こえるようにシエラが音魔術で調整してくれているらしい。

器用だよな。


数秒後、肉眼で見えるくらいに近づいてきた。


スティングジェリーフィッシュが2匹、フラッシュジェリーフィッシュが3匹。2種類とも脅威度3の雑魚だ。


「水の槍で我が前の敵を貫け、ウォータースピア!」

「闇の矢で我が前の敵を貫け、ダークアロー!」


2本の水の槍と3本の闇の槍が出てきた。

遅い。

ルナやソーナを基準にしてたからそう感じてしまったが。

射出速度も魔術発動も遅い。


だが移動の遅いこいつらを倒すには十分だ。それぞれが一匹ずつ貫いて殺した。すぐにマヤルが収納してまた湖底を目指した。


泳ぎながら魔物を狩っていくこと1時間。ついに湖底についた。そこからは薬草とジェリーフィッシュキングとアリゲーターレックスを探す。


道中の戦闘や、魔物の素材の質、薬草の量、ジェリーフィッシュキングとアリゲーターレックスを持ち帰るまでにかかった時間などが評価されるらしい。

結局、今日はジェリーフィッシュキングにもアリゲーターレックスにも出会えなかった。湖底で採った薬草と道中で倒したクラゲたち10匹を提出して、それぞれの班で分かれて決められた場所にテントを張った。遮音・遮光結界をシエラが張って、うちがヘミスフィアで障壁を張った。これで安心して寝れる。


うちは普段から他より睡眠時間が長い。テントに入って即寝た。

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