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近代乙女怪談物語集  作者: 白百合三咲
第2章 乙女人形物語
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百貨店のマネキン SideA 第2話

 奥から出てきたのは圭織お姉様でした。今年の3月に卒業し絵莉が入学する前に私のお姉様だった人です。

「久しぶりね、彩花ちゃん。」

「お久しぶりです。お姉様。」

「あら、今日は可愛い娘もいるのね。」

圭織お姉様は視線を絵莉に送ります。

「私の妹なんです。今日は夏祭りに着ていく浴衣を。」

「あの、こちら試着できますか?」

絵莉が圭織お姉様に浴衣を見せます。

「ええ、勿論ですわ。お姉様、先に試着室して下さい。」

「ありがとう。」

絵莉に先に勧められ私は先に桃色の花の浴衣と帯を手にして試着室に入ります。

カーテンを締めて袴を脱ぐと浴衣に浴衣を着て帯を締めます。着替えが終わると試着室のカーテンを開けます。

「絵莉、お姉様。」

私は浴衣で2人の前に出て来ました。

「お姉様、素敵です。やっぱりお姉様は淡い桃色が似合います。」

「ありがとう、絵莉。絵莉も試着してらっしゃい。」

今度は絵莉が試着室に入ります。店内には私とお姉様だけが残されました。

「あの娘、よく貴女の後着いてきた娘よね?」

お姉様が絵莉の事を尋ねます。

「はい、」

圭織お姉様がまだ在学していた頃、お昼休みになると中庭のテラスで昼食をとる事が多かったのです。まだ初等科にいた絵莉が私の事を探して来てよ3人で一緒に食べていたのです。

「あの娘大きくなったのね。」

「はい、今年高等科に入学したのです。」

「それで貴女の妹に?」

「はい。」

「ふふふ、やっぱりそうだと思ったわ。」

2人でたわいもない会話をしていた時です。


「あら、あの娘。」


その時他の店舗から赤いワンピースを着た女の子がこちらを歩いてくるのが見えました。絵莉が眺めていたマネキンが着ていたものと同じものです。

最初はマネキンと同じ服を買った娘が歩いているだけかと思いました。しかし歩き方が不自然な事に気付きました。


ポキッ ポキッ  ポキッ


歩く度関節部分が軋むような音がします。


「きゃっ!!」  


私は店頭の入り口まで来た彼女を見て思わずお姉様にしがみついてしまった。彼女はマネキンだったのです。

「どうしたの?」

「お姉様、あの娘。」


ポキッ ポキッ ポキッ


関節が揺れる音が次第に大きくなっていきます。マネキンがそこまで来てるのか。

私の肩に誰かの手があたりました。

「きゃっ!!」

私は無理矢理肩を引っ張られます。


「お姉様?!」


「絵莉?」

そこにいたのは絵莉でした。

「この娘なんでこんなところにいるのですか?」

絵莉の足元に先ほどのマネキンが転がっていました。



 圭織お姉様が言うには百貨店内でマネキンが誰かを探すように歩き回るという噂があり、特に私達のように女学生が来た時には所定じゃない場所に置かれてる事があるそうです。圭織お姉様は洋品店に戻しに行きました。私達帰りがてらに途中まで着いていく事にしました。


「お姉様」


マネキンを戻しに行った時絵莉に呼ばれたような気がしました。

「どうしたの?絵莉。」

「何ですか?」

「今私の事呼んだでしょ?」

「呼んでませんよ。」

私達はすぐに百貨店を後にしました。

次彩花視点の話はこれで終わりです。

次は絵莉視点の話です。

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