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近代乙女怪談物語集  作者: 白百合三咲
第2章 乙女人形物語
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私の妹 第3話

 その夜美沙は寝間着代わりの浴衣に着替えると布団に入る。部屋にフランス人形の姿はない。

 

「という事は。」

昼間夏江の話が終わると3人はフランス人形に目を向ける。

「お姉様、それって持ち主がこの娘を探しに来てるって事ですよね?」

「今の話と同じならそういう事になるわね。」

「美沙さん、夢に出てきた女の子は何て言ってたの?」

「確か初日はギブバ マイ、その次の日はギブバック マイ そのまた次の日は ギブバック マイ シス」 

日を追うごとに何を言ってるかはっきり分かるようになった。しかし意味は分からない。

「美沙さん、ペンと紙あるかしら?」

美沙はみやこに言われ学習机の引き出しから紙を取り出し机の上のペンを持ってテーブルに戻る。みやこが美沙のペンで紙に英語を書く。Give back my sister. とみやこの家にはイギリス人の家庭教師がいるため英語は学年で1番だ。

「もしかしたら夢の中に出てきた女の子はこう言いたかったんじゃないかしら?」

「えっと、それって。」

美沙は英語が苦手なのか意味を理解していない。

「ギブバック マイ シスター。私の妹を返して。」

夏江の話と全く同じだ。

「という事はあの娘も私のところに来るの?」

「大丈夫、その娘はうちで預かってもらってお父様にお祓いしてもらうわ。」




 美沙はその夜安心して眠りについた。その夜夢の中では自分の部屋にいた。布団の中で眠って横になっていた。


ペタ ペタ ペタ ペタ 


廊下から足音が聞こえてきた。誰かが厠にでも起きたのか。


ペタ


足音は美沙の部屋の前で止まった。

「誰?」

襖がそっと開く。

「?!」

そこにはいつも夢に出てくる女の子がいた。 

「Give back, give back my sister!!」

女の子は美沙に近づいてくる。

美沙は怖いながらも女の子を見ながら枕の下から紙切れを取り出す。昼間にみやこが渡してくれたものだ。

「Your sister is not here.」

美沙は紙に書かれていた英文を読む。貴女の妹はここにはいないと。

「All right.」

女の子は動きを止め笑う。

「So, will you take her place to come with me?」

女の子は美沙の腕を掴む。


「きゃあ!!」

美沙は自分の部屋ではなく海の中にいた。なんとか顔だけを水面に出す。しかし何者かに足を引っ張られ海の中に引きずり込まれていく。

水中には先ほどの女の子がいた。

「It's dark ane cold here. I feel lonely.」

女の子は美沙の腕を引っ張ろうとする。


「美沙!!」

「美沙!!」


どこからか自分を呼ぶみやこと夏江の声がする。



 

 1週間後美沙はみやこと夏江と共に崖に来ていた。夏江の父が祝詞を上げ人形を海の中に投げる。

美沙は病院のベッドで意識を取り戻した。あの夜みやこと夏江の夢にもあの女の子が出てきたという。

「あの娘私の枕元で言ってた。I feel lonely. I need someone to come with me.って。」

「お父様が祈祷してる間にもずっと祭壇が揺れていて嫌な予感がしたのよ。」

2人はまさかと思い漁師に頼んで船に乗せてもらったのだ。

「あの娘船で難波してなくなった娘なのですか?」

美沙が夏江に尋ねる。

「きっとそうだと思う。でも人形が一緒なら寂しくないわね。きっと。」

祝詞が終わると3人はその場を後にしようとする。 

「Wait!!」

美沙の背後から少女の声がした。美沙が振り向うとするがみやこと夏江が手を握って止める。

「振り返っちゃ駄目。」

美沙は後ろを振り向かず黙って去る。

「Don't go !! I feel lonely in the dark and cold sea.」


FIN

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