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元賢者の娘 アルマ

「それでは行ってきます」


「おじいちゃん、おばあちゃん、行ってくるね」


「気をつけて」


「診療が終わったら商会に行くからローゼスに言っといてくれ」

 

「分かったわ」


「お母さん早く!」


私はお母さんの腕を引っ張り外に出る。

今日を楽しみにしていたから仕方ないよね。


半年振りにアスタ姉さんとラルクに逢える。

ラルクは私の従姉妹。

単なる従姉妹じゃない、お父さんは同じ人だから姉弟でもある。


「ラルク大きくなったかな?」


「アルマの背を抜いたかもね」


「それは嫌だな、可愛いラルクの方がいいもん」

 

会話を楽しみながら広場に向かう。 

普段は忙しいお母さんとゆっくり過ごせる今日は本当に楽しい。


「お母さん、ラルクだよ!」


広場で待っていると笑顔の2人がやって来た。


アスタお姉ちゃんと息子のラルク君。

本当は伯母さんなんだけど可愛い笑顔のアスタお姉ちゃんを見てると伯母さんとは言えない。


「アルマ、走って転ばないでね」


「はーい」


お母さんは過保護だ、私だって賢者の娘だよ。(引退して元賢者だけどね)


お母さんはアスタお姉ちゃんと2年かけて魔王討伐を果たした。

勇者も居たらしいがお母さんが言うことには『そんな奴は居ない』って言ってた。(冷えきった目が怖かった)


討伐は苛酷を極め、お母さんの体には今も沢山の傷跡が残されている。

痛々しく私が見ると、

『これは愛する人を救った証、誇りなの』って笑った。


討伐後も5年間アスタ姉さんとお母さんは世界中を巡り治安回復に尽力した。

お母さんは[血塗れ(ブラッデイー)賢者(ワイズマン)]と盗賊達から恐れられた。


私が出来た事で賢者を引退したお母さんは新しく[学者]という神託を受けた。


『もう誰も傷つけたくない、神託なんかどうでもいい』


お母さんは教会でそう言って、神官を困らせたそうだ。


今はアルク商会の研究機関で働くお母さん、専門は神託で受けるスキルの研究だって。

難しい事は分からない。


「アルマ姉ちゃん!」


「ラルク!」


手を振りながらラルクが駆けて来る。

私達は噴水の前で抱き合い、半年振りの再会を喜び合う。


良かった、ラルクはまだ私より背が低い。

私が1歳年上だからかな?

でも来年には抜かれそうだ。


「姉さんお帰り」


「ただいまフレア」


お母さんもアスタ姉さんとしっかり握手、本当は私達みたいに抱き合いたいけど我慢してるんだよね。

こんなに仲良しのお母さん達だけど昔仲違いしていた時があるんだって。


「大きくなったわね」


お母さんがラルクの頭を優しく撫でる。


「ありがとうございます」


少し顔を赤くしながら嬉しそうなラルク、私のお母さんも好きなんだよね。


「ますます似てきたわね...」


「でしょ、でしょ?」


アスタ姉さんが嬉しそうな顔で微笑む。

確かにラルクはお父さんによく似てる。

茶色の髪、大きな瞳、少し小柄な体格、お母さんに似ている私と全然違う。


「さあ行きましょう」


お母さんはラルクの手を握り歩き出す。

私はラルクの反対の手を握る。

行き先はもちろんアルク商会、お父さんの所。


「ローゼス様は?」


「昨日王都から戻ったわ」


「アレも?」


「もちろん持って来た、商会の地下室に放り込んであるわ」


そう話すお母さんとアスタ姉さんの表情が一変する。

凄く怖い、冷えきった雰囲気に私とラルクは震えてしまう。


「ごめんね」


「ごめんなさい」


「...うん」


「...怖いよお母さん達」


ラルクは完全に怯えてしまった。


『アレ』って何だろう?

半年に一度ローゼス様が王都から持ってくる鉛の大きな箱、中身は分からないがきっと禍々しい物なんだろう。


「ローゼスおば...様とアルフィーネ姉様だ!」


商会の玄関に佇む2人の人影を見たラルクが叫ぶ。

そこには満面の笑みでラルクを迎えるローゼス様と、ローゼス様の娘アルフィーネ姉様が待っていた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] アレか。 [一言] まだ完全には無理だったんですね。25歳までは捜索2人でして、その後は部分的に目覚める彼と子供作りとかしつつも、姉が責任取って捜索継続か。 しかし、最初に子供出来たのロー…
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