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第5話「炎は増す。」

作戦の通りに配置に着く。作戦とは蛇白が上に対する攻撃に弱いという情報を信じて上から攻撃を仕掛ける。地を這う攻撃は地上では厄介だが上に対する攻撃手段は乏しいらしい。

ミヨが上からフルパワーで攻撃、俺は蛇白を引きつける。

今回重要なのはEPの管理だ。毎度重要なことだが今回は特に気をつけた方がいい。リングを通せば通信ができる。エネルギーが尽きると通信が切れて合図ができないからだ。


「カケル君!あそこ!」

「いた...。」

1人だ。今なら不意打ちができる。

しかし問題がある。ヤツの相方のことだ。

体のでかい相方についての情報を何も得ることが出来なかった。学年、クラスすら。

周りにいる様子はないからひとまず気にしないことにした。

「くらえ!ストライク・アンブレラ!」

「ぐおっ!」

拳が入った。

「ミヨ!」

「マジカル・ファイアII!!」

速度の早い火球が蛇白に命中。

「糞ッ!!スネークロード!」

蛇を出す。近くにいた俺に向かってきた。大量のヘビを振り払う。ある程度薙ぎ払うが少し噛み付かれた。

「ぐっ...」

毒の影響で身体が重くなってきた。

「舐めやがって...噛み殺してや...ぐわぁ!」

俺はミヨに合図を出しておいた。炎が蛇を襲う。

1体1では強いみたいだが2対1とあらばそうもいかない。


「今だ!」

「このやろッ...!」

俺もすかさず攻撃を叩き込もうと接近したその時...

「うわぁ!」

「お前だけでも潰してやるよォ...」

蛇白が足に纏っていたエネルギーが蛇に変わる。

5匹は噛み付いていた。

毒で動けなくなった俺の首元にナイフが。

遠くから傘の射撃で撃てばこうはならなかった。

しかしそれが出来ない。俺は昔からエネルギーの使い方が下手で周りに誰もいない落ち着いた状況でないと射撃ができないんだ。

しかし蛇白がニヤついたその間に3回目の炎。

ニヤけ顔が「!?」な表情に変わるのは少し笑えた。

蛇白のエネルギーが尽きる。

今がチャンス。体の毒エネルギーを俺のエネルギーで相殺して無理やり動かせば...!

「ぶっ飛べ!!!」

渾身の一撃で思い切り蛇白を殴りHPを一気に削ってやった。蛇白は「2対1じゃなければ...」と、20m先の方で白目を向いて倒れていた。スカッとする。

「やったなミヨ!」

「作戦勝ちだね!」

2対1とはいえ勝ちは勝ちだ。二人でキャッキャと喜んだよ。

「そういえばなんで蛇白に絡まれてたんだ?」

「それは...これをカケル君に食べてもらおうと...」

ミヨのポーチから出てきたのは...クッキー。

余った手作りのものをおすそ分けしたかったのだと。

そしてふとよそ見をした時に蛇白にぶつかってしまい怒りを買ったらしい。

よそ見をするといいことがないのは俺と似てる。


「なんだ!?」

リングがアラートを鳴らす。高エネルギーを持つ何かが接近していると。

振り返った途端、ゾッとした。

蛇白の相方だ。アイツはおぞましい顔でこちらを睨む。その眼光、威圧感、熊の如し。

暗い色のエネルギーを全身に纏ってこっちに近づいて来ている。

汗が流れる。やばい。やばい。

「蛇白とやらも大したことは無いんだな...。」

「さんをつけ...」

蛇白は相方に睨まれ一瞬で竦んでしまう。

「強いと言うから慕っているフリをしてやっていたのに...」

蛇白の後輩...アイツ1年生かよ!あんな怖いのが同学年!?

「お前ら...」

「「!?」」

「俺の名は武藤ゴウタ...2人がかりでいい...俺を倒して見せろ...」

横をみると不安そうな顔のミヨ。

...やってやる。やってやるよ。

「分かった...でも俺一人でお前をKOしてやる!」

決めた。というか前から分かってた。

俺はワンダーをやりたい。リョウ、ミヨのお陰でようやく自覚を持てた。だからゴウタをぶっ飛ばして、、、 日本一を目指す!!!

「カケル君?1人でやるの?」

「ああ。」

「...何かあったら助けるから。」

「...頼むよ。」


「いくぜ!!」

集中...!思いっきり右ストレート!

「くだらん...!」

ゴウタの反撃。力強く腕で薙ぎ払う

「かかった!」

「!?」

右ストレートはフェイク。間一髪でゴウタの攻撃を避け、左にも込めておいたエネルギーを拳と共に腹に叩き込む...が、ビクともしない。

ヤツは俺の攻撃を見切って腹にエネルギーを集中させて完璧に防御したのだ。

「なかなかやるみたいだが...底が知れるな。」

「ヤバ…」

思い切り殴られる。拳が当たる瞬間スローに見えたよ。死にそうな時ってほんとにスローに見えるんだなって。

吹き飛んだ俺は遠くの民家の壁を突き破って瓦礫に埋もれていた。


あくまでフィールドだから本物の家ではないけど机とか椅子とかがボロボロになっているのを見ると心が痛む。

外を見る。すると、空を暗い色のエネルギー体がすごい速さでこっちに向かってくる。

「やばいやばい!!!うわぁぁぁぁ!!!」

間一髪で回避、だが負けは目に見えている。

カッコつけておいてもう負けそうなのかよ…

頭を掴まれ持ち上げられる。

「鬼を倒したという男も所詮はこの程度か…」

あれは二人で倒したんだよ。しかしそんな訂正をする余裕もない。ゴウタの手に力が入り俺のエネルギーが削られていく…

「は、離せよォ!!!!」

必死の抵抗で腕をぶち込む。今度は少し効いたみたいだ。少しよろめき俺の頭を離す。

このままいけるか…!?その途端、

「あっ…エネルギーが…!」

俺のエネルギーが尽きた。終わりだ。

HPがあるとはいえ、エネルギーを込めた攻撃ですぐにやられてしまうだろう。

ワンダーではエネルギーが尽きたら負けも同然だ。

昔の大会とかじゃエネルギー切れで逆転勝利したケースもあるみたいだがそんな力は俺には無い。

「残念だ…鬼狩りよ…」

なんだよ鬼狩りって…?カッコイイ名前デスネ。

こんなことなら素直にミヨと戦えばよかった。

勢いでカッコつけちまった。ダサい。


......嗚呼、空、青いな...


…そうだ!ミヨは!?

ゴウタの後ろに赤い炎が見える。

それはほんの少しの希望

「カケル君!!!」

ミヨは全身全霊の力で炎の体当たりをする。

本気のタックルで不意打ちを食らったゴウタの重い体は数メートル先に飛び、叩きつけられた。

「助けに来たよ...!」

その時のミヨの表情は恐怖と覚悟が混じった感じ。


その時の俺はとてつもなくミヨがかっこよく見えた。


第5話「炎は増す。」 おわり

ちょっと長くなってしまった...

次回は文字通り熱い展開があるのでお楽しみに!

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