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第3話「ヒロインが来るって。」

「次の授業だるいなぁ。」

「そうだなぁ。」

昼休みにリョウとの何気ない会話。

鬼王との対決から少し経った。鬼王を倒したと噂が広まり、よくワンダー勝負を挑まれるようになったんだ。

俺は...迷ってる。あの対決でまた踏み出したはいいけど、まだ少し怖い。俺が復帰するということは日本一をまた目指すと言うことになるから。


「カケル!俺と勝負しろ!」

「やだ。」

「なんでぇ!!鬼王ぶっ飛ばした時あんなにかっこよかったのに!」

今話しかけている彼は鬼王に絡まれていたクラスメイトだ。何やら俺に憧れを持ってしまったらしい。

俺はやめとけって。

「リョウに頼めよ。お前助けたのあいつだろ?」

「あいつもおんなじこと言うんだよ!カケルに頼めって。」

「俺はやんねっつの!」


廊下に飛び出す。走る。ふと窓の外を走る車を見た。よそ見なんかするからからああなるんだ。

「きゃぁ!」

「うぉっ!」

角から曲がる生徒に激突してしまった。やっちまった...

「ごめんっ!怪我ない?」

「だ、だいじょうぶ...」

俺のせいで痛い思いをする人が。反省。

ぶつかったのは女の子。赤い綺麗な瞳で黒い髪。右と左にぴょこっと癖っ毛のようなものがある。

赤い瞳に懐かしさを感じる。「あいす」もおんなじ色だったんだ。

「あの...」

「?」

「恥ずかしいからあんまり見ないで...」

「わっ!ごめん!」

そんなこんなで昼休みが終わった。女の子は少し恥ずかしそうに、そそくさと俺のクラスの隣の教室に入っていった。

「隣のクラスだったんだ。」

「あいす」に重なっているのか、頭からあの子の瞳が離れない。


放課後。俺は日直の仕事で帰りが遅れてしまった。

「帰り際に仕事7つも増やすなよあの教師...。」

愚痴りながら教室を出ると昼休みのあの子とばったり遭遇。

「あっ、えっと...こんにちは...でいいのかな?」

「いいんじゃない...?」

沈黙。気まずさ。夕方の廊下を駆け巡っている。

足に湿布が貼ってあるのを見た。

「やっぱ怪我してたんじゃん!」

「あっ!」

申し訳ないな。なにかお詫びがしたいって言ってみた。遠慮されたけど、負けじと押し込む。

「なんか食べたいものとか。」

「じゃあ...」


やって来ましたアイスクリーム屋さん。アイスが食べたかったらしく、それを奢ることにした。

「好きなだけ食べていいから!」

「悪いよそんなの!」

「悪いの俺だからァ!!!」

彼女は遠慮しつつアイスをひとつ選んだ。俺も適当なアイスを選んで店を出た。

「美味しい...」

彼女は少し笑みを浮かべながらアイスを食べる。

その幸せそうな表情にを見て思った。

カワイイ。

「アイス好きなの?」

「う~ん...なんか君の顔見てたらアイス食べたくなっちゃった。」

なんだそれ。少し「あいす」を連想する。

ふと彼女の手首を見てみるとWリングがつけてあった。

「もしかしてワンダーやってるの?」

「たまにね。友達と。」

「強い?」

「負けたことは...ないかも...」

「!?」

なんだそれ。

「でも多分君の方が強いよ?あの怖い顔の先輩倒したんでしょ?」

「あれは...リョウと一緒だったからだし、偶然もあるよ...」

そういえば鬼王の名前ってなんなんだろう。みんな鬼王って呼ぶから全く知らないな。


「私とワンダーやってみる?」

「君怪我してんジャン。」

「私1歩も動かないから。」

彼女は挑戦的な目でこちらを見据える。

ここで逃げるのはさすがにダサい。

公園の少し広い場所でフィールドを開く。そのまま公園の広場を舞台にした。

ルールは手早く、先に一撃入れた方の勝ち。


「行くぞ!」

先手必勝。傘でぶっ飛ばしてやる。

彼女は手をこちらに向けてじっとしている。

殴りかかろうとした刹那、危機感を感じた。

「マジカル・ファイア!」

「うぉっ!!」

咄嗟に傘を開いて防御する。傘にエネルギーを込めるまでは間に合わず、少し燃えてしまった。

「やってくれるじゃん。」

「足怪我してるからって油断しちゃダメだよ?」

今度はいたずら的な目でこっちを見る。表情豊かなんだな。特に目が。

「こっちから行くよ!」

「!?」

「マジカル・ファイア!」

掌から炎が放たれる。すごい数が放たれる。それぞれの炎弾が変則的に動き、ジワジワと追い詰めてくる。弾速も早く避けるのも大変だ。

ハンデがあるのに強い。でも不思議と怖くない。俺の心は勝つための方法を考えていた。鬼王への一撃で俺の心にも火が灯っていたらしい。

「まだまだ行くよ!」

「どうすれば...勝てる...?」

そうだ。こっちから当ててしまえばいい。その隙を作れ。

炎でもう2回と防げない傘を開いて彼女へと突進する。

「もっかい!」

「それを待っていた!!」

やはり傘に向けて集中砲火した。

傘を囮に彼女の後ろへ素早く回る。

エネルギーを込め、すかさず、

「ストライク・レイジ!!!」

「きゃあ!!!」

彼女がぶっ飛ぶ。手にエネルギーを込め、足にダメージが行かないよう器用に受身をていた。

でも悔しそうな顔。

やっぱ俺はあの技を気に入ってるんだな。

こうして彼女との簡易的な対決が終わった。


「負けちゃったなぁ。」

「でもハンデ付きジャン。」

「次は負けないからね!」

彼女はニコッと笑う。色んな表情があるなぁ。

やっぱカワイイ。どうしよう俺の顔赤くなってたら。

「そういえばお互い名前知らないね。」

「そういえば。」

「私は夜谷ミヨ。」

「俺は空井カケル。」

ふとリングに表示される対戦履歴を見る。彼女の武器スロットには大剣。他にもスキルがあるらしい。まだまだ手数を残されているんだ。次は負けるかも。

なんて少し戦慄した。


なんだか濃い1日だった。

なんか俺の中で、少しづつ、少しづつ、またワンダーを本気でやってみてもいいのかもって、思い始めてた。


第3話「ヒロインが来るって。」 おわり

3話。ヒロインが出てきました。

うっひょー!!

.......

ちなみにストライク・レイジは腕にエネルギーを限界まで込めて放つ技。カケルが強くなればストライク・レイジの威力も増すいつまでも使える便利な技です。

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