第66章(幸せいっぱいの涙の雫)
明菜は西井家に熱烈歓迎されて迎え入れられた。涼はティファニーの婚約指輪と結婚指輪を
明菜の指につけてくれた。もうすぐ出産だと言われたので、婚姻届だけ提出した。
結婚のお祝いは、あのランデブーグリルでしてくれた。この場所から始まったシンデレラストーリー。懐かしくも、胸が熱くなるあの日のプレゼント。ティファニーのティアドロップ(涙の雫)が
運んでくれた、喜びの涙が溢れる。 ずっと、西井家の一員になることが夢だった。
お腹が大きくてウエディングドレスが間に合わなかったが、あの日の水色のドレスは
少し大きめだったので、着ることができた。あの17歳の誕生日から、
長い長い夢を見ていた感覚がした。 マネージャーが 「子供が生まれたら正式に結婚式を挙げよう。
お母さんにも頼まれていたんだ。後悔は絶対にさせないから」 としつこく言ってきた。
子供のことは伏せて、「難病を治してくれた名医との運命的な結婚」と
いうタイトルが電車の中吊り広告でも華やかに躍っている。
結婚式は大阪中之島にあるロイヤルホテルで行われた。真っ赤なフカフカの絨毯。
明菜と由紀奈が学生時代、結婚式を挙げたいと話していた場所だ。
明菜は5回もお色直しをさせられた。その美しさに日本中の人がテレビに釘付けとなった。
ウエディングドレスの明菜をエスコートして涼のところまで連れて行く役目は、西井の父が頼まれた。 「もう本当の父親だけど、ずっと以前から、パパの理想像だったので、お願いします」 と
明菜が頼み込んだからだ。 ぎこちないが、本当の娘を嫁に行かせる父親の想いが募ってか、
目が潤んでいた。それを見た由紀奈がからかう。 「来月のウチの結婚式の練習やと思って、
もっと気を楽にしないと。本番が思いやられるわ」 と叱咤激励していた。
それを言われると、余計に感無量なのか、むせび泣いていた。 由紀奈も透との結婚を承諾して、
夏休みはダブル新婚旅行でハワイに行こうと算段していた。 明菜の結婚式でテレビ中継が入り、
放映権と有名タレントのご祝儀で多大なプラスが出た。
しかも、涼たちが試みている新しい病院の形態も紹介され、
販売する前にテナントも分譲住宅も売り切れになった。




