第67章(賑やかな西井家に広がる笑顔)
芦屋の西井家は、二人の孫に恵まれ、由紀奈が幼児教育の塾を始めて盛況だった。
もとより部屋数も多く、広い庭にはスポーツ用具も完備されている。
3階部分は明菜のヒーリングルームとして活用されていた。 有名女優による治療は人気沸騰。
芦屋セレブが集まって、エネルギー療法やオルゴール療法を受けている。
ピラミッド型の窓から差し込む日差しに目を細めながら、親子でヨガ教室。
明菜のお腹には次の子がいる。 東京で一人暮らしをしていた母の静香も、孫のために借り出され、
芦屋に一緒に住んでいる。祖母も幼児教育の会社役員として奮闘している。
「家族が一気に増えて、夢みたい」 と由紀奈の母は呑気に喜んでいる。
「4人暮らしには広すぎる豪邸も、これだけ賑やかだと甲斐がある」 と由紀奈の父も満足そうだ。
芸能界にいた頃の映画やドラマも再放送され、明菜ブームが来ている。
しかし、決して芸能界に復帰するつもりはない。ただ、膨大な利権が涼の医療に役立っていることが
何より嬉しい。 涼もイギリスに行って、目に見えない不思議な力が不治の病を治している現場を見て、確信を高めたようだ。自分も治してもらった明菜の能力を将来活かして、
より多くの人を助けたいという夢を膨らませている。 剛の生まれ変わりの卓也は、
すべての記憶を失っているが、由紀奈になつき、片時も離れない。
大きな目も天然パーマの髪も、血がつながっているわけではないのに、なぜか剛に似ている。
剛の生まれ変わりだと誰もが確信する。剛の両親も頻繁に訪ねてくる。
由紀奈のことをママと呼び、明菜のことを「お母ちゃま」と呼ぶ。
ただ、ラグビーだけは反対され、西井家のみんなはテニスに興じている。
明菜は『お腹にいる次の子は、信彦兄貴の生まれ変わりかもしれない』と密かに楽しみにしている。
大好きな由紀奈とずっと一緒にいたい。憧れの涼の近くだったら、どんな悲しいことが起こっても、
喜びの涙に変えることができる気がする。 だって、二人の胸には、あのティアドロップの首飾りが、
お守りのように輝いているのだから。




