第5章(神々からのメッセージ)
「明ちゃんは、ずっとずっと昔は卑弥呼だったんだって」と、まやかしがからかったことがあった。
「だから、この神社とは縁があるんだ。あのチカン野郎の大切なところに、
持っていた枝を突き立てたんだから、びっくりしたよ」と。
「あどけない少女の顔をして、夢見るような虚ろな目で、ぐさりと命中させるなんて、
剣のたしなみでもあるのかと思ったよ」と、くしゃくしゃの顔をした老人が笑いながら言う。
もちろん、この老人もこの世の人ではない。誰かが「七福神」と呼んでいた。
この神社には、さまざまな神を祀った祠があり、七福神を祀った社もあったことを思い出した。
人が願えば、神々さえも半透明で現れ、言葉をかけてくる。
まるで劇画のように、いつも突然現れては消えていく。
こちらが望むと望まないとにかかわらず、何の方程式もなく現れ、聞こえるように話しかけてくる。
「柿の木を切らないように言ってくれんかのう」と、白髪の老人が話しかけてくる。
「そうなんじゃ。あの柿の木を切った途端に、娘の命は消えてしまうんじゃ」と、
他の男性が懇願してきた。
「そんなことを頼まれても、いきなり家の人にこの話を告げたら、
頭のおかしい人だと思われてしまう」と困惑しながらも、あまりにもうるさく言うので面倒になり、
玄関から出てきた女性に告げた。すると、驚かれた。「やっぱり」と後悔しそうになっていたら、
女性の目から涙がこぼれた。
「娘が熱にうなされて、今、病院に行こうと思っていたところなんです。
そういえば、昨日枝を切ったら、植木屋さんの上に落ちてきて、作業が続けられなくなったんです。
きっと、柿の木の祟りだったんだわ」
そう言って庭に出ていき、謝っていた。あの白髪の老人が会釈をして、柿の木の中に消えていった。
木には、たわわに柿が実っていた。眩しい秋空を見上げると、うろこ雲が浮かんでいた。
そして、その雲がいきなり竜の姿になって、真っ直ぐ空高く昇っているように見えた。
こんな風景を目にすると、自然の驚異を感じずにはいられない。
しばらく眺めて帰ろうとしたら、さっきの女性が大きな紙袋を抱えて、明菜に差し出した。
「よかったら、お持ちになってください。おかげで娘の熱も下がりました。ありがとうございました」と言った。
紙袋の中には、大きな柿がたくさん入っていた。かなり重かったが、
立派な柿は祖母と母を笑顔にしてくれた。甘くてジューシーな味は、
きっと来年も、またその次の年も、多くの人の舌を喜ばせることだろう。




