第47章(琵琶湖に咲く恋の花々)
浜辺には、ポツポツとカップルがいた。山野と利絵もいる。由紀奈と剛は林の方に行くのが見えた。
「湖でも波があるんだね。知らなかった」 と言うと、
「海にも連れて行ってあげるよ。次に関西に帰れそうな時には連絡してくれたら」 と涼が言う。
「まだ、見えてるの?」 と、遠慮がちに涼が聞いた。 「何を? ああ、もののけとか霊とか?」 と
笑いながら、 「この前も青森の温泉宿にたくさんいたよ。
ヤバいと思って部屋を変えてもらったけど、あかんかったわ。そのあたりは処刑場やってんて」 と、
これからが話の山場だというところで、涼は急いで 「エネルギー療法って何なん?」 と話題を変えた。 「怖い話が異常に苦手なのは兄貴なんやから」 と由紀奈が言っていたのを思い出して、
吹き出してしまう。 「その人のことを考えて念じるだけでも、エネルギー送ることできるから。
何か困った時には電話してくれたら飛ばしてあげるよ」 と言ってあげた。
「どんな感じなんやろう?」 と不思議そうに言うものだから、そっと背中に手を置いてあげる。
「何? 熱くなってきた。なんか気持ちいい」 と言うので、背中の手をずらす。
「腰、痛めてる?」 手が熱いし、痺れてくる。
「最近、コンピューターの作業が多くて、背中というか腰が痛くて。おっさんみたいやろ」 と
苦々しく言う。 「どう?」 と明菜が言うので動いてみる。
「本当だ。痛くなくなってる。凄いな」 と感動している。
「あれから、剛とネットでも色々調べたんやけど意味不明だし。
一度体験してみたかってん」 と腰を動かしている。
「誰でもできるんだから。ちょっとしたコツがわかればね」 こんなに不思議な世界のことを
自然に話せるなんて、どんな心境の変化なのだろう。
それでも、涼との距離がいきなり近づいて、夢のようだった。
キスをしようとしたので避けたら、おでこにそっとしてくれた。
そして、あの時のように髪を優しく撫でてくれた。
猫が喉をさすられると弱いように、明菜は頭を触られると溶けてしまいそうになるようだ。




