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第46章(ヨット部の合宿最後の夜)
最後の夜、湖畔に佇んでいると、 「元気にしてた?」 と涼に声をかけられた。
「友達や仲間たちに声をかけた責任があるから忙しくて、ゆっくり話もできないね。
東京はどう? 大学は楽しい? 友達はできた?」 と矢継ぎ早に質問され、首を傾げてばかりだった。
「彼氏はできた?」 という質問だけは、大きく首を振った。
「泣きたくなったら電話してよ」 と電話番号のメモをくれた。
「ティアドロップしてくれているんだね」 と胸元を指でつつく。
「もし三年後、お互いフリーだったら付き合ってくれないか?」 と涼が照れながら言った。
「何で三年後なんですか?」 と聞くと、 「国家試験に通ったらな。これから単位取るの、結構ヤバい。
女の子と付き合って遊んでいる場合じゃなさそうだ。これでも成績優秀だと要領かましてたんだけど、
やっぱり頭のいい奴ばっかで、バンドも当分自粛だよ。 明菜ちゃんも、女優の道が開けたんだろう?
ドラマや映画も決まってるって聞いたよ。だから、今はお互い考えられんと思うねん。
でも、ほら、何か目標というか、楽しみがあったら頑張れる気がせえへん?」 そう言って、
自分の着ていたヨットパーカーを羽織らせてくれた。 「夜は冷えるから」 と言って。
「たまに、電話してもいいん?」 と言うのがやっとだった。




