第26章(憧れの由紀奈の兄)
由紀奈の二歳年上の兄の涼は、京都大学の医学部を目指して猛勉強中だった。
すらりと背が高く、なかなかのハンサム。頭もいいので、学校では有名だった。
高校からは医学部専門の予備校にも通うようになったので、テニス部は辞めてしまったらしいが、
たまに仲間たちと芦屋のロイヤルテニスコートでテニスを楽しんでいた。
時々、由紀奈も利絵を誘って行っているらしい。
もちろん、明菜も誘われたが、テニスなど生まれてこの方、したことがないので断っていた。
涼の爽やかな笑顔と、洗練された会話。何よりテニスが上手かった。
幼い頃から、家族でテニスを楽しんでいたそうだ。ロイヤルテニスコートは、
芦屋市民なら格安でコートを使うことができるらしい。
常連さんばかりなので、たまに声をかけられ、ダブルスの試合をするそうだ。
芦屋川のほとりで、海も近いため風が心地よく、一日中楽しむことができた。
一見、老人かと思って侮っていたら、テニスの試合で負けることもある。
若者のようなスピーディーな動きはできないのに、ゲームに長けていて、
緩やかなボールなのに取れない。大きく天井高くボールを打ち上げたかと思うと、
前後に振られ、ケアレスミスで点を取られてしまう。
スマッシュやラリーの末での点ではないので、拍子抜けだ。テニスウェアも上質で、
きっとラケットも高級品なのだろう。とても馴染んでいる。
年配なのに、ラリーも負けてはいない。どこにそんな体力があるのかと思うくらい、
球に追いついてくる。夫婦仲良く、そんな年になっても一緒に
ゲームを楽しんでいる様子は微笑ましかった。
由紀奈の兄は、受験生とは思えないくらい、
友人とテニスやカラオケをよく楽しんでいた。
メリハリをつけているようで、ガリ勉とは違い、余裕すら感じさせた。




