第21章(友人ができて豹変する高校時代)
明菜は高校を卒業したら上京して、モデル業に専念すると将来は決められていた。
それでも、大学だけは行きたいと思い、先生に相談したところ、
「成績優秀な人にだけ学費免除になる大学がある」と勧められ、勉強に励んでいた。
いい大学に行ったからといって、どれだけ勉強を頑張ったって、
将来役に立つかどうかはわからない。
手相を見てくれた男性が、「女があんまり頭がいいと、結婚が遠のくよ。だから、低学歴の男と高学歴の女は結婚できなくて困っているんだ。見た目も綺麗だし、女があんまり優秀で美人だと、男は恐れて近づかない。だから、せめて学歴ぐらいは普通か、普通以下の方がいいよ」とアドバイスしてくれた。
確かに美しい明菜を賞賛するものの、付き合いを求められたことは一度もない。
男たちは「高嶺の花だ」と言っているのは知っている。
「自分なんかが相手などされるはずがない」と思っているようだった。
友人も彼氏もいないまま、高校生になった。相変わらず成績優秀だったので、
特待生のまま授業料は免除された。どこにいても素晴らしいスタイルで目立っている。
なのに、いつも一人ぼっちで昼食のお弁当を食べていたし、通学も一人だった。
そんな明菜に、みんな興味津々なのに、声をかける勇気のある者はいなかったのだ。
なのに、高校一年生の時、同じクラスになった由紀奈は、
親しげに話しかけてくれたのだった。ピュアというか、
裏のない明るい性格で、クラスの人気者だった。
中学も一緒だったはずなのだが、印象にない。
どうも、レスリングに夢中で、プロの人たちと練習に明け暮れていたせいで、
中学時代、あまり学校に来ていなかったようだ。全国大会に出場したり、
オリンピック選手候補に選ばれて海外遠征に行ったりしていて、
学校に来る暇がなかったのだろう。しかし、さすがに高校生になると将来のことを考え、
勉強に勤しむようにとレスリングを辞め、受験勉強にベクトルを向けざるを得なくなったのだ。
華奢に見えるスリムな体も、ビキニ姿になると筋肉が割れていて、
アスリートそのもの。色気も何もない。男らしくさえあった。
すぐに腕の筋肉を自慢して、ポパイのようなポーズを取るので、思わず爆笑してしまう。
由紀奈に会うまで、明菜はこんなに笑ったことなどなかったような気がする。
綺麗な顔をしているのに、中身は大阪人。芦屋に住んでいるのだが、
一代で富を得た父親は、大阪船場の出だったせいかもしれない。
お笑い顔負けのボケとツッコミで、ズンズン心の深い所まで入って来る。
「結構、明菜って天然やね」と由紀奈は笑う。そしていつの間にか、
クラスメイトの利絵が仲間に入って賑やかだ。
他の学年の男子が見学に来るくらい、有名な美人トリオだと言われた。




