第15章(芦屋の豪邸)
「お母さんが、お仕事で忙しくしてらっしゃるなら、うちに遊びに来たらいいよ。
ウザい父と兄がいるけど、母の料理だけはバツグンだから。
お祖母ちゃんもお仕事でお忙しいんでしょう?
何なら、うちに泊まりがけで来てもいいよ。明菜ちゃんやったら、みんなに自慢できそう」
と熱心に誘ってくれるものだから、芦屋の家に行ったら、驚くことばかりだった。
トイレは金色の便器で、ドアを開けると便座の蓋が開く。
そして立ち上がると勝手に流れ、ドアを閉めると便座の蓋も自動的に閉まるのだ。
明菜は珍しくて、トイレのドアを開けたり閉めたり、
そっとドアの隙間から便座の蓋の開け閉めを観察してみたりした。
迷い込んだ部屋にはミラーボールとカラオケがあったり、
電動の麻雀台だけが置いてある豪華な部屋や、ゴルフ用品だけを置いている部屋などがあった。
ちょっとトイレに立って帰る途中にもたくさんのドアがあり、
慣れないと迷子になりそうだった。ゲストルームも、女の子が喜びそうなピンクの部屋があれば、
大人がくつろげるシックな部屋もあった。
マッサージチェアや本格的なエステサロンのような部屋もあり、洋服だけでいっぱいの部屋もあった。
「一体、何部屋あるの?」と聞くと、
数えたことないけど、二十部屋くらいじゃないのかなぁ?」と言っていた。
たまに両親が海外旅行に行く時の家政婦さんの部屋などは、明菜の部屋よりも広く贅沢だった。
三階建ての上にはピラミッド型のガラス窓があり、そこから光が入ってくるようになっている。
夜は、そこで瞑想するといいそうだ。
ピラミッドパワーで宇宙と繋がりやすいのだと言っていた。
昼間は、その下の部屋がヒーリングルームになっているらしい。
ヨガの先生が来て、身体のメンテナンスをしているという。
実際、明菜もこの場所が気に入っていた。東の壁には赤を基調にした絵が掛かっていて、
南側には黄色い花が植えられていた。風水にも凝っているらしい。
大きな窓からは神戸の夜景が見える。どこかのショールームのようなお洒落な空間に、
ドギマギしていた。




