第14章(明菜にとって、初めての親友)
高校時代に、親友ができた。初めて彼女と会った時の衝撃は、今でも忘れられない。
透けるような白い肌。大きな瞳はいつも笑っている。
肩まである黒髪は、さらさらと頬に揺れるようで、明菜はつい見とれてしまったほどだった。
西井由紀奈はクラスの人気者だった。活発で美人なのに、笑いのセンスは抜群で、
彼女の周囲はいつも笑顔で溢れていた。
どちらかというと陰キャラだった明菜には友人がいなかった。
仕事で学校を休むことが多いのも要因だった。なので、一人ぽつんといることが多かった。
それを寂しいとも孤独だとも思ったことはなかったのだが、
ある日、「一緒に帰らない?」と誘ってくれたのがきっかけで親しくなった。
「今日はテニス部、生理だからって、ずる休みしちゃった」
弾けるような満面の笑顔に誘われて、明菜の口元も自然とほころぶ。
『太陽のような人だなぁ』と、いつも眩しく思っていた。
「へぇ、モデルしてるん? 足長いし、顔も小さいし、ハーフなん?
綺麗な顔してるもんな」と、いつもあけすけに、ど真ん中の話題を嫌味もなく
ずんずん語りかけてくる。「お姉さんかと思ったら、お母さんやったん? めっちゃ細いやん。羨ましいわ。あんな風にお洋服を着こなしてみたいわ」と、
滅多に来ない学校に母が来た時、由紀奈は興奮してはしゃいでいた。
人間嫌いな母も思わず心を開き、食事に誘っていた。
由紀奈には、相手が安心できる温かいエネルギーのようなものがある。
「良いお友達に恵まれて良かったね」と、母も喜んでくれた。
母にもきっとオーラが見えている。一目で態度が変わり、嫌な人には一言も発さずに
無視してしまうのに、まるで相手の心を映す鏡のように、
相手によって顔つきまで変わってしまうのだ。
「優しそうな素敵なお母さんね」と由紀奈が言ってくれたのだが、
「それは、あなたの心を映しているからよ」と言ってあげたかった。
道に咲く花の美しさや、悠然とした自然の素晴らしさに感動できるのは、
それを感じられる心が美しいからだと、明菜は知っている。
母も、「娘の友人と、これほど心を割って話し合えるなんて」と驚いていた。




