14.
セシリアたちは奈落の森で冒険者たちを助けた。
リーダーの男が深く頭を下げる。
「助かったよ。俺は冒険者パーティ【黄昏の竜】リーダーのケンだ」
「魔法使いのマコです! こちらは弓使いのアーチャー」
「…………」
三人組の冒険者パーティ、【黄昏の竜】の面々が揃って礼をした。
ケンは背の高い、爽やかな印象の青年。
マコはまだ年若く、笑顔の可愛らしい女性だ。
アーチャーは無口な少年だった。
(やはり冒険者だったか。三人組ということは……まだ歴がそれほど長くないのかもしれない)
冒険者の事情にさほど詳しくないセシリアが、勝手にそう解釈した。
真理も特に何も言ってこないので、ごく普通の冒険者パーティだと受け取った。
「ケンさん、マコさん、アーチャーさんですね。初めまして! 私はセシリア。こちらがレオニダスです。よろしくお願いします!」
レオニダスは余計なことを口にしないことにした。
(さっきの反応から察するに、俺の力は人間の域を超えているようだからな)
レオニダスが魔族であることは、セシリアだけの秘密だ。
互いに挨拶を済ませると、これからのことを話し合う。
「ケンさんは、これからどうなさるおつもりですか?」
「もう少し森に残るつもりだ。そもそもここへは調査依頼を受けてやってきた。まだ調査が終わっていないのでな」
(何の調査かはわからないけれど、この地にとどまるなら好都合!)
「よろしければ今日は一度探索を中断して、宿に泊まりにいらっしゃいませんか?」
「そういえば、さっきホテルのオーナーがどうとかおっしゃっていましたよね?」
マコの言葉に、セシリアがうなずく。
「奈落の森のすぐそばでやっているんです!」
「ふうん……何という宿ですか?」
(そ、そういえば一番大事なことを決めていなかった! 名前……どうしよう)
セシリアは内心で焦りまくった。
(名前もないんです、などと答えたら怪しまれてしまうし……ぱっと決めるぞ!)
ホテル魔王城、魔王城宿……次々と残念な名前が浮かんでは却下される。
そんなセシリアに、レオニダスが助け船を出した。
「我らの宿は、一度灯が消えた場所なのです。しかしこのセシリアが、もう一度灯をともしてくれたのですよ」
(灯をもう一度ともす……それだ!)
「リライト——ホテル・リライトです!」
「素敵な名前ですね。古民家をリノベしたような感じですか?」
「そう、まさにそんな感じなんです!」
マコが目を輝かせた。宿への興味が湧いてきたようだ。
ケンはしばらく考えてから口を開いた。
「そのリライトという宿に、連れていってもらえないか。正直なところ、もう体力の限界で……」
「もちろんです! こちらへどうぞ!」
(やった、お客様一号だ! 頑張るぞ!)
やがてたどり着いたのは、見上げるほどの城だった。
厳めしい外観。
どこからどう見ても、宿らしい佇まいとは程遠い。
「ようこそ、ホテル・リライトへ!」
「「「城じゃないですか……!」」」
冒険者たちは、声を揃えてそう突っ込んだのだった。




