-地下大進行-
「そこそこでかい地下通路だ、奇襲は探知があるから効かないが罠が把握しきれない可能性もある、だからここからは慎重に進むぞ」
「おいおい主よ、ここまでド派手にやって慎重もなにもないだろうて」
「……ん…」
まさかのこの女性にまで頷かれてしまっただと?でも確かに二階層ぶち抜いて今更、慎重も糞もないか。
「確かにそうだな、じゃあ計画変更だ!突撃し殲滅するぞ!まずはこの先の通路を進んで突き当りを右に行くぞ」
指をさし道を教えて歩き出し、突き当りに差し掛かった所で怠惰が口を開いた。
「うむぅ…主はなぜこの人間の女にそんなに入れ込むんじゃ?あのログニーだかっていうカエルは魔族としての力量は皆無だが、金の力で成り上がったこの街の権力者なのだろう?」
「そんなことが気になるのか?ただ奴がこの人にしたことが気に食わなかった…ただそれだけだ」
「なに!?それだけの理由でこんな無謀を犯してるのか!?お主からしても人間は食い物じゃろう?なのになぜじゃ?」
「あれ?言ってなかったっけ?俺ってハーフヴァンパイアなんだ俺に吸収されたときに気が付かなかったか?父さんは正真正銘の吸血鬼だけど母さんが純粋な人間なんだ」
「ハーフヴァンパイア!?じゃから最初に争った時に魔族にしては旨そうな匂いがしたわけじゃな?ん?じゃが待て…母上が人間といったな?」
怠惰が急に深刻な顔をし始めた。どうしたんだ?
「どうしたんだ?」
「母上が人間で父上があの力量の吸血鬼じゃと?まさかあの…じゃがこんな辺境の地に…」
「なにブツブツ言ってるんだ?」
「まさか主の親父ど…」
そこで俺の探知に映っていたログニー付近に居た何匹かの魔族が急速に近づいてくる。
「おい怠惰!一気に四匹来るぞ!気を抜くなよ!?」
「ぬぅ…小賢しい奴らよ、高々でかいカエルの分際で!八つ裂きにして腹の足しにしてくれるわ!!久し振りの戦で滾るのう!!」
やる気満々なのは結構だがログニーの奴だって腐っても金持ちだ、金に物を言わせてそれなりの用心棒を雇って居るはずだから油断は禁物だ。
「油断するなよ?進化して以前より格段に強いと言っても相手もどんなのが来るかわかんないんだからな?」
「因みに主よ、どのような奴等が近付いてきてきておるのだ?」
改めて敵影の確認をするが、あれはなんだ?見てはいるが一向に向かってくる四匹が「~~!!」と表現できない。
しいて言うなら背の高い筋肉隆々の人型のカエル…自分で言っててなにそれ、冗談抜きでマジでキモイ…だが本当に探知に映っている影の特徴を言葉にするならそれしかないのだしょうがない。
「俺より背が高くて…筋肉ムッキムキの、人型のカエルだ…」
「ん?なんじゃそいつらは、魔族か?そんな種族聞いたこともないぞ?」
「俺も聞いたことも見たこともない…だがその得体のしれないキモガエル共が来てるんだ軽くひねってやろうぜ?」
そうは言ったものの俺たちより遥かに格上だと勝利するのは数でも劣って居る俺たちが圧倒的に不利、なにか策が…いや、俺の力と能力ならなんとかなる!
「おい怠惰!策がある俺の言うとおりに動いてくれ!!」
「なんじゃ、面白そうじゃのう」
俺は急いで怠惰に俺の作戦と今後の動きを教える。
それからすぐに奴らが来た。
「やぁ皆さんお急ぎでどうなさいました?」
「貴様が侵入者か?ただの優男ではないか、ログニー様の館に忍び込むとは命知らずな者も居たものだな」
「その優男に今からお前たちは喰われるんだ、血から魂までな、でも気持ち悪いから直接血を吸うのは遠慮させてもらうわ」
「っく!バカにしやがって」
後ろのキモカエルBの反感を買ってしまったようだ。ちなみにこいつの種族はなんだ?こんな気持ち悪い魔族知らんぞ。
《大蛙族の異種です、原種からの進化ではなく細胞に手が加えられた痕跡が見受けられます》
どうりであの従者とかのカエルたちとは似ても似つかない筈だ。だが何のために?ログニーが自分のボディーガードを作り上げるためか?それは本人に聞くとしよう。
「無駄話もこのくらいにして貴様にはここで消えてもらおうか?」
「でも一匹と餌一個か喰っていいとは言われたけど少ないな」
「なら早い者勝ちで総取りってのは!?それなら文句ないっしょ!?」
マッチョガエルB,C,Dがなにか相談をしているけど、なんかさすがに匹で勘定されるのも都合の良いことをゴチャゴチャ抜かされるのも気に食わないな。
「おいゴリラなんだかカエルなんだかわかんねー生き物がゴチャゴチャうるせーんだよ、そのご自慢の筋肉の力さっさと見せてみろよ?」
「貴様ぁぁぁ!!」
「兄ちゃんこんなのやっちゃおう!?」
「落ち着け、こいつの力もわからんのに」
「いやだね!こいつは俺の獲物だよ!!」
「まて!!抜け駆けはゆるさん!!」
挑発に反応して勝手に命名したマッチョガエルBとCが一直線に向かってくる。
でもありがとうよ、ここが真っ直ぐな通路で助かったよ。
「怠惰!今だ、喰い殺せっ!!!」
「なんだこれは!?っっぎゃ!?」
「兄ちゃんたす、っぎぇ!!!」
俺がそう叫ぶと向かってきていた、残り二メートルを切ったあたりの蛙の下に血が集まり隆起し、バカでかい熊の顔が現れ、その怠惰本来の物より巨大な顎と牙に抵抗する間もなく二匹は食らい付かれそのまま断末魔をまともにあげる暇もなく呑み込まれた。
「ごめん、これで2対2だな」
怠惰に飲み込まれた二匹の血が俺に流れ込む、悪くない。
こうした使い方でも血を吸収出来るのか、勉強になった。
「くっそぉぉ!!!よくも弟達を!!!殺してやる!!」
「お、おちつけ兄者!!」
一番上が静かだったのが弟を二匹殺されて逆上して冷静を欠いたか、これは勝ちは見えたもんだな。
そうしてると横で二匹を吸収し終えた怠惰が体を形成し現れた。
「お主の作戦がこうも簡単に嵌まるとは傑作よな!はっはっは!!」
「俺もここまで簡単に行くとは思わなかったよ、でもこっからが本番だ行くぞ怠惰」




