-街の支援者- 三部
「クソッ!取り敢えずいまはそれを預けておくがこの下賤な者どもめ!お、覚えておれ!!」
そう言いながらログニーはドスドス大きな足音を立てながら従者と共に逃げて行った。
「ふん…下級成金魔族如きが粋がりおって…」
「下級成金ってなんなの?」
「ソーマはまだ知らなかったか。魔族でもランク分けがされていてな下級はその種族でも最も下の部類に位置する、おなじ種族でも下位、中位、上位と区別され例外に更に上の位階も有るにはあるが…今はいい。
そして中位や上位のものは下位から稀に産まれ、そしてこれも稀に種族内で才覚があって進化するものに分かれていくんだが。
あいつは下位の中の下位だ、だが当時の戦争の際になにかで一儲けしたんだろう、ああいった類の魔物が多くなって全くもって嘆かわしい…魔族としての威厳も品位もあったもんじゃない」
父さんはなにか思う所があるのだろうか?なにか思い耽った顔をしている。
「そんな低級の魔族でも一儲けできたらそこそこの地位に付けるんだね」
「そうだな、戦争の時は力を持つものは戦功を立て栄光を知恵のあるものは才を活かし財を得た。あのときは誰も彼も必死だったのだろうな。それよりもソーマ、まずはこの人の手当てだ」
「そうだね、えっと。大丈夫ですか?」
「あ………ま……」
完全に舌が機能していないじゃないか…なんて惨いことを…
「父さん、この人をどうにか治せないの?」
「方法がない…訳ではないが…少し難易度が高いな、さっきの奴が持っていた誓約書、名前だけあって一度誓約がなされた場合、簡単には破棄できない、持ち主が破棄すると認めない限りはな」
「それじゃあ…あいつに無理矢理にでも破棄させるしか手段はないってこと?」
まじでか、なにか他に手段はないのか?
《誓約書による契約関係はあなたの父親が言った通りに契約破棄させる以外にはありません》
そうなのか…ならあの蛙にどうにか実力行使してでも破棄させるしかこの人を助ける手段はないのか…
でも傷は魔方とかで治せるのか?
《重度ではありますが、回復に特化した者であれば可能です。貴女でも可能ですがまだ回復魔法の熟練度が低いので失敗する可能性が高いです》
今の俺じゃまだ役不足なのか、そりゃ回復魔法なんて全然使ってないからそりゃ上がらないよな…
「あいつに破棄させるしかないだろうな、奴隷身分…本当に早く撤廃させねばなるまいな…」
「奴隷…この人はその誓約が破棄されたらもう奴隷じゃなく普通に生きていけるんだよね?」
「あぁそうだ、だがあの蛙が素直に頷くとは思えん…なにか策を考えねばな…」
「父さん、それは俺に任せてくれ。父さんは用事があるんでしょ?ならそれ済ませてきてよ」
これは俺が勝手に助けたいと思っているだけだ、それに父さんの手を煩わせる訳にはいかないよ。
「お前一人にか?うむ…だがなにかあったら直ぐにあの指輪を使うんだぞ?わかったな?」
「わかってるよ!怠惰も居るから大丈夫だよ!」
「わかった、なら私は先に用事を済ませてくる。無茶はするなよ?」
「だいじょーぶだっての!!息子を信じてよ!」
「あぁ…じゃあ行ってるぞ?もし終わったらあの館に来なさい」
父さんはそういって大通りを真っ直ぐ行った先にある管理者の館を指差した。
「うん、終わったらすぐに行くよ」
父さんは頷いて馬車に乗って行った。
「さて…怠惰ごめん、この女の人おぶってくれる?」
「俺がか?まぁいいが、ほれ」
背の刺を寝かし刺さらないようにしてくれたので女性を背に乗せる。
「じゃあまず君を助けるのにあの蛙の家が知りたいんだけど…道案内お願いできるかな?」
女性は静かに頷いた。
そこから俺たちは女性の無言の道案内を便りにログニーだかの館を探し到着した。
「金持ちだけあってでけぇな…」
「そうだな、あんな人語が話せるだけの下位魔族が街でこんな地位に居るとは…気に食わんな」
「あぁ、だから俺はぶちのめしに来たんだ。少しくらい暴れてやろう」
「お?親父殿に黙ってそんな勝手してよいのか?」
「きっと俺の顔を見て察してくれてるだろうからさ、それにあいつ。この人にここまでしたのを父さんも良くは思ってなかった、だがら許してくれるさ!」
「はっはっはっ!流石は俺の主になった小僧だ!!俺はお前に付いていくだけだ!思う存分やろうか!」
そうして俺たちはログニーの館の門を叩いた。




