-お祝い-
俺は部屋に戻り着替えを済ませ、父さんのもとに行って。そこで森で有ったことの説明を父さんに行った。
「って…感じなんだけど…」
父さんは真剣に聞いていたのが急に打って変わり、大笑いをして俺の背中をバンバン叩くわ頭をこねくり回されるわ、むしろ俺が状況に付いていけてない。
「はっはっはっは!!そうかソーマ!その体であいつを倒したのか!!これは今日は祝わねばな!!!」
「ちょ!痛い!父さん!いったい!!なんだよ!」
俺があの熊を倒したのがそんなに嬉しいらしいが、話せなくなるくらいバンバン叩かんでも…
「いやーーー傑作だ!!こんな嬉しいことがあるか!?」
喋りながらもまだ手は俺のことを叩き回している、だがいい加減に説明を求めたいところだ。
「なんでそんな喜んでんのさ!!」
父さんの手を防ぎながら聞いてみる。
「あーすまんすまん!一から説明するか。まずあの熊が最近、裏の森に住みつきだしてな?本来この地域から少し離れた山にしか生息してなかった種なんだが、元の棲家で何かあったんだろう、しばらくは放置してたんだが…」
父さんはなにか言い淀んだ。
「なんかあったの?」
「あの巨躯で普通の奴らよりか気性が激しく荒くてな。だからすぐに森の主になったんだ、生態系に悪影響が及びだしてたんだ。だからそろそろ見過ごせなくなってきたと思ってた矢先に息子がそれを打ち取ってきたんだぞ!?流石は俺の子だ!あれをどう仕留めたか教えてくれ!!」
父さんがおもちゃを与えられた子供の様に目を輝かせて聞いてきた、こんなに人の目にハイライトってはいるのね。
仕方ないので俺は血液操作の応用で形成、凍結、爆発を駆使して奴を仕留めたことを説明した。
「ってな感じで父さんの書斎にあった本を読んでなきゃ本当に死んでたかもしんないわ」
そこで父さんが固まってることに気が付いた。
「あれ?父さん?」
つい不安になり呼びかけた、そこで父さんはびくっと体を震わせ意識を取り戻したように話し出した。
「す、すまん考え事をしていてな。だがソーマ本当に血液操作を使って奴を倒したんだな?それも血を凍らせたのと爆発させる技を使って」
聞き方が疑っているというより信じられないかのように聞いてくる、どこか震えているようにも見える。
「そうだけど…でもさすがに剣はダメだったよ全く毛皮すら切れなかったし、最初に八本で新毛の部分狙って串刺しにして、剣を爆発させても仕留めきれなかったから流石に焦ったけど」
だがそれを聞いて父さんが更に口を開けてポーンとしている。お父さん、王の威厳が消えてますよ?
そして我に戻ったかのように急に俺の肩をつかみ話しかけてきた。
「良く聞けソーマ…血液操作はな確かに我が種族の特殊能力だ、だがそれでも誰彼かまわずはい、使えます。と言うものではないんだ、ここまではわかるな?」
そうなのか。本にはそこまでのことは書いてなかったな、だけどなんでこんな改まっていうんだ?
「うん、それで?」
俺の返答を聞きまた父さんは話し始める。
「まず扱うのにはそれなりの訓練が必要なんだ、それに適正というか、才覚も要る。そして俺はその才能が数百年に一人と言われるほど種族内では類まれな存在だった、だがそんな俺でも発動するのに一年、操れるまでに三年、固体形成に二年、爆発や凍結などの変化には七年の間は絶え間なく訓練に明け暮れたんだ、だがこれでも段違いで早いんだ、普通の者でこれの三倍は軽くかかる」
驚愕した、才能があると言われてた父さんでその年月?そんなものを生後二日の俺が凌駕したってのか?無我夢中だったから感覚とかはあやふやだけど、今やっても多分出来ると思う。
だが驚いて今度は俺が言葉が出なくなった。そんな俺を見て父さんが続けた。
「ソーマ、オお前は俺なんかを遥かに超える天才だ、だがその能力を簡単に誰かに見せるんじゃないぞ?」
何か不都合があるんだろうか
「なんで?何か問題があるの?」
「あぁ、大いにある。マナ、魔力ともいうが簡単に言うならそれが多く、濃く強い魔力を持つものほど血を上手く操れるのだ。だからお前はその年で俺の比じゃ無いんだろうな」
数百年に一度の逸材だったって言う父さんより更に俺の方が才能があるのか?なんでそんな才能が?
《根源の叡知、王の資格による補助効果となります》
だからかーーー!全く頭の隅にすらそんなスキルの存在はなかったわ…
「ナンデソンナニサイノウアルンダロウネー、ハハハ…」
「一日で使いこなしてる才能を持ってるのに謙遜されると俺が悲しくなるぞソーマ…俺も700年以上生きて来たがここまでの使い手は居なかった、俺も親として鼻が高いぞ!」
そう言う父さんは本当に誇らしそうに俺を見つめてくれた。
後で母さんから聞いた話だがこのこの話を母さんにも伝えたらしく、二人で大いに俺の将来や才能はどっち似かなど盛り上がったそうだ。俺はこの話を母さんあから教えてもらったが父さんはあまりにはしゃいだのは俺には父親としての威厳が云々で内緒にしてほしいって言っていたらしいがつい母さんが暴露してしまったみたいだ。
そして俺はこの際だからと父さんにお願いすることにした。もっと強くなりたいし、才能を喜んでくれるなら俺はもっとそこを伸ばしていきたい。
俺の事ではしゃぐほど喜んで、きちんと俺の事を見て評価してくれる。
こんなに嬉しいことだなんて思わなくて、もっと父さんと母さんの喜ぶ顔が見たくなる。
「父さん、俺にもっと血液操作の仕方とか教えてほしい」
父さんがちょっと面食らって驚いた顔になってしまった。だが少し間をおいて答えてくれた。
「わかった…だが俺の扱きはきっついぞ?耐えれるのか?」
真剣な眼差しで俺に問うてくる。だがもう俺の答えも決まってるし。
「何があっても頑張る!それにカインズに体術っていうか、体の動かし方とかそういった技術を教えてもらおうと思ってるんだ」
「カインズにか…確かに戦闘の技術や知識ならあいつの方が俺より上かもしれんな。良いだろう、後でカインズに話を通しておこう」
父さんがカインズにも話を通してくれるというなら願ったり叶ったりだ。それは願ってもないことだ、、師匠が居るならありがたいな。
後は魔法関係で師事出来る人が欲しいところだけど…まぁ二人に教えを乞えるんだ贅沢は言うまい。
「ありがとう父さん!お礼とかじゃないけど今日の晩御飯は俺のとった鋼毛熊だから!たくさん食べてくれ!!」
「おぉ!それは楽しみにしてるよ、森の主だ、味もさぞ格別なのだろうな!」
スキルによって味まで変わるんだろうか?さすがにそれはないか。
「じゃあ俺は母さんに伝えてくるから、また後でね!」
俺はそれから母さんにも同じ説明をした、母さんには当然のように泣きそうなほど心配され。体をくまなく確認された、ちょっと過保護と思ったがそれも何だかんだ嬉しかったりもする。
そして安心した母さんに明日から父さんとカインズに訓練してもらうことも伝えたがそれに対して言われたのは。
「うんうん!男の子ですものね♪ただ怪我しないようにするんですよ?無理は禁物です!!」
そう言われ母さんにおでこを小突かれた。
父さんが惚れた理由が少しわかった気がした、まぁ馴れ初めとか一切知らないのだが…
「はーい、わかってるよ!無理はしない、約束するよ」
「なら良いのです!あまりお母さんに心配かけないでくださいね?さっきの話だって心臓が止まるかと思いましたよ?」
なるほど、子がそんな目に合うと親はそこまで心配なのか。たしかに俺も妹が学生の時に取っ組み合いの喧嘩したとか聞いたときはそんな感じだったな、少しは心配させないようにしよう。
「気を付けるよ…俺も心配させたくないしさ」
母さんは微笑みながら俺の頭を撫でてくれた。つい恥ずかしくなって駆けてドアのところに行き、晩御飯は俺が獲ったものだから楽しみにしててくれと伝えて部屋を急ぎ出てきてしまった。
そして俺はドアに持たれかかりながらつぶやく。
「嬉しいけどやっぱりまだ恥ずかしい…はぁー…」
深いため息を付きながらもう少し恥ずかしがらずに撫でて貰えば良かったと思いながら夕飯まで部屋で待つことにした。
しばらくしてからカインズが呼びに来て家族全員で夕飯をとる。そこで父さんは改めて俺の功績を褒め称えて酒が進むと飲みまくって母さんに怒られながらも早々に酔いつぶれてしまったり、母さんは早くも俺が強い子になってと喜んで軽く泣いたりバタついた夕食になった。
でも俺はこれが嬉しくて堪らなく幸せに感じた。みんなで笑って叫んで楽しく家族でご飯が食べれて。
他の人からしたら当たり前でも、俺には無かったあり得ない光景。
27年生きて、死んで。転生してこの二日間だけでその27年の間にしてもらえなかったことのほとんどをしてもらえた気分だ。
俺はこの時間が本当に楽しい。
そんな感情を噛み締めつつ俺の初狩猟記念の宴のような夕飯が終わり、明日から二人の訓練があると思うと楽しみで仕方がない。
傷ついて疲労した体で挑むのは二人に申し訳ない、今日は少しでも体を休めるために。
明日からの方が今日よりキツかったりして…な。




