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祠が近くなってきました。奴の殺気が強すぎて倦怠感すら覚えます。ここまで来ると、夢喰はむしろ襲ってこないようです。周りにいる数はとてつもなく増えましたが、全ての夢喰が道端に沿うよう綺麗に整列しており、まるで私たちを祠まで誘う道標となっているようです。

「こりゃあ、とんだ歓迎会もいいことろだねぇ」

「気を引き締めてくださいね、もう少しで祠が見えてきます」

 いよいよって感じがします。今までの夢喰とはわけが違う。気合を入れなおしていかないと。

 突然、地面の割れる爆音がした。砂煙の奥から人がひとりと、着地によって抉れたと思われる地面。その人はこちらを見るなり不気味な笑顔を浮かべる。

「よーい...ドン」

 聞こえた瞬間、シルバーは吹き飛ばされていた。

「シルバー!!」

 飛ばされた先で意識を失って木にもたれ掛かっている。間髪入れずに振り向きざまの裏拳をもらい、私も吹き飛ばされる。

(なんてっ、重い一撃っ!)

 シルバーとは反対の方向へ飛ばされた私も、同じように木にもたれ掛かった。

「おほん、ごきげんようドリームキーパー。いやぁ君とははじめましてだね。君の遠い先祖にはお世話になったものだよ。あの時が懐かしい」

 何を言っているのか距離が遠すぎて聞こえないが、体は動く。やはり奥義解放、攻撃を受けた際はどうなることかと思ったけれど、まったくと言っていいほどダメージがない。

「あれ、普通に立てるんだ。すごいね。手加減したとはいえ、ちゃんと当てたのに」

 言い終わると同時に、私も奴の目の前へ瞬時に飛び掛かる。

「くたばってッ、くださいッ!」

 急速に力を蓄え、奴の心臓を目掛けて杖を突き立てる。そのまま、莫大な魔力を放出。ダイレクトに受ければ奴でも致命傷でしょう。しかし吹き飛ばされる直前に、奴は守りの体制に入っていました。

「...ッ!いいねッ!」

 奴は衝撃を後方へ飛ぶことで緩和しましたが、私もそれに追いつきさらに追撃をかけます。割と頭は冷静なのです、力の込め具合は絶妙にいい感じです。飛ばしたい方向へ奴を飛ばせている。全ては、この一撃のために。

「シルバー!」

 奴を飛ばした私の合図に、シルバーはもたれ掛かった木から起き上がる。途端、目にも留まらぬ速さで木々をかき分け、距離を詰めた奴の首元まで手を伸ばす。

手刃(しゅじん)虚無の閃(きょむのせん)

「ばッかやろうッ!」

 奴は空中にいながらもその体を俊敏に動かし、シルバーの攻撃を躱した。いや、正確に言えば完全に躱せたわけではなく、首元はかなり出血している。

「ふぅ、一回タンマね。...いやぁ、たった二人を相手にここまで苦戦したのは生まれて初めてだよ。どうか誇りに思ってほしい、君たちは強い!」

 うるさい、御託を並べて時間を稼ごうとしたって無駄です。休ませまいと私たちが攻撃態勢に入った瞬間、奴は四股を踏むように地面を蹴った。地面がひび割れると同時に、周りにいた夢喰たちが奴の体に吸い込まれていく。

「さて、さてさて。ひとまず自己紹介といこうじゃないか。お察しの通り、私はドリームキラー。夢喰の根源、一夜にしてこの世界のあらゆる生命を亡くすことができる存在、次元の超越者。僕も強いけど、君たちも半端に相手できる感じでもないみたいだから、とりあえず二段階め、行こうか...!」

 更に早いっ!でも、まだ見える!シルバーは!?

「…。」

 奴の一撃を躱してシルバーへ目を向けると、呆然と立ち尽くす彼の姿が見えた。そして次第に、四肢が体から離れ、胸元から大量の血。

「あっ…シルバーっ…」

 ダメ、待って、シルバー。ショックで呼吸が浅くなりながらもシルバーへ近づく。もっと早く動け、私の体。彼へ辿り着き、頬に触れ涙を流す。彼は微かな笑みを浮かべ、何も言わずに息を引き取った。瞳からは、光が消えていた。

「うああ…」

 私のせいで、こんな幼い子を…。

「あれ、その子もう終わりかい?もっとイケると思ってワクワクしてたのに」

 こんな、ところで、挫けていられない。寂しい、悔しい、私のせいだ。舐めてた、こんなことになるなんて思っていなかった。いや、できる準備はしたつもりだったのに…。考えれば考えるほどに、体が動かなくなる。奴が、目の前にいるのに。

「…おーい、大丈夫ー?まぁいいか、そろそろ次始めるよー…」

 ――――ゴフッ!

 途端、奴は吐血し始めた。奴自身も驚いているようで、膝から崩れ落ちる。

「な、なんだ…!?まさか、まだできあがっていないのかッ!?」

 奴の戦力値がダダ漏れ状態だ。恐らく、完全復活を待たずに力を解放したことが仇となったのだろう。…チャンスです。私はショックでほとんど感覚がマヒしている体を無理やり動かし、奴に向け数発の魔弾を放ちながらその端で魔力を貯め始めました。

「くっそ、こんなショボイ魔力、問題ない!」

 優勢なのは私です。だって、奴が攻撃を全て振り払う頃には、準備が終わっていますから。

「くたばりやがれ、クソ化け物…!!」

 奴に向かって私史上最大出力の超強力魔法を放つ。技の名を。

「デディケィド・ディア・シルバー…」

 ――――――――――

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