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魔力の超出力に耐えられなかった私は、少し気を失っていました。目が覚めるとすぐに飛び起き、当たりを見回します。あれだけ大量に湧いていた夢喰は全て消滅していました。奴も…ドリームキラーも、跡形もなく。そして。
「…シルバーっ…!」
先ほどの状態のまま地に伏せていた彼のもとへ、体が自由に動かせず転びそうになりながらも駆け寄りました。...後悔しかない。私が一緒に倒そうだなんて言わなければ、こんなことにはならなかった。悔やんでも悔やみきれない。でも、彼のおかげでドリームキラーを完全に倒せた。封印でもないから、復活もしない。もう、私の仕事もここまで。これで世界は平和に...。
「うぅ...うあぁ...」
そんな簡単に割り切れるわけがないです、彼のことは私が殺したようなもの。自責の念と後悔が渦巻きます。私はこれから、どうしたらいいのでしょうか。
...彼をもっと知りたかった。彼の世界線のこと、生活のこと、生業のこと。好きな食べ物は何だろう、よく行く場所とか、あったのかな。私も、一緒に行ってみたかったな。あぁ...ちょっとだけ、好きになっていたかもしれません。あの暗闇の中に光る一筋の希望のような瞳を持った、彼のことを。
その瞬間、杖が光り始め宙に浮かび上がりました。私が魔力を込めたわけではなのに、ひとりでに。
「おばあちゃん...?」
私は宙へ舞う杖を見守りながら、無意識にそう呟いていました。そうか、ご先祖様が見てくれていたのですね。杖は光を保ったままシルバーの胸元へ溶け込んでいきます。すると、まばゆい光に包まれ、光が消えると杖は無くなっていました。代わりに、シルバーの体には元のように手足が。
「っ!?シルバーっ!」
驚きと嬉しさと、希望と期待を抱えシルバーへ駆け寄ります。膝上にシルバーの頭を乗せ、きっと目覚めるはずと信じ、彼が目覚めるのを待っていました。
「...んぅ。お姉さん...ごめん、僕、やっぱり駄目だったよぉ...」
「そんなことない!!君のおかげで、私はここまで来られたんだよ...。君がいなくちゃ、これからどこへも行けないよ...」
「おもしろいこというなぁ...。僕のほうこそ、あなたがいなければここにいないじゃない...」
そして、お互い感情を隠さず抱き合いました。初めてシルバーのぬくもりを肌で感じる。体が小さい、まだ小学生くらいだものね。あぁ、生き返ってくれて本当に良かった...。ご先祖様、ありがとうございました。夜が明けるまで泣き続け、遠くの水平線には太陽が昇り始めていました。まるで、私たちの新たな門出を祝うように。
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「ケンちゃーん、アヤちゃーん、行きますよ~♪」
「はぁーい!リョウちゃーん!ほら、アヤちゃんも一緒に!」
「はぁーいままぁ!」
そのあと、私たちは結婚し、子供もできました。家族円満に、楽しく幸せに暮らしています。本当に、あの頃が噓のようです。
シルバーと付き合う中で様々なことをお話ししてくれました。元の世界線のお話や、家族のこと、自分のこと。本当の名前は新条賢治と言うのです。聞いたときは案外普通な名前だなぁとか思ってしまいました。ですが、そんな普通な人が、あんな過酷な運命を背負っていただなんて。思い出すだけでも苦しくなります。斯く言う私も、今や「元」ドリームキーパーな訳ですが、普通の人間と変わりなく生活ができています。ケンちゃんは自分の世界線に戻ることはせず、私たちのためこの世界線に残ってくれた。そのうえ、あの頃では考えられないほどの高テンション。彼なりに頑張ってくれているのです。私もこの家族のために、これからも毎日幸せを届けられるよう努めたいと思います。ドリームキーパーは夢だけを守る仕事ですが、今の私は家族3人の、夢も現実の生活も、どちらも充実させてみせます!なので、どうか見守っていてください、おばあちゃんたち。私たちはこれから、3人で幸せを創り上げていきます。
「だから、今日はおやすみ。いい夢を見てね、アヤちゃん」




