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祠は海辺の森の中にあるのですが、近づくにつれて奴の殺気が濃くなっています。もう、このレベルまで復活しているのですか...。

「だいぶ重たい空気だねぇ。これで森の入口って言うんだから、なかなか手強そうだ」

「でも、やるしかないです」

 そう自分に言い聞かせます。ですが、本当にできるでしょうか。今までにないくらい不安でいっぱいですが、ここまで来たらやれることをやり尽くすしかありません。覚悟を決めて歩みを進めていたところ、後ろから腑抜けた声が聞こえました。

「いてっ」

 どうやらシルバーが木の根っこに引っ掛かって転んだようです。反応できた私はシルバーを受け止めようと振り返って支えようとしましたが、割と勢いよく転んでいたようです、そのまま二人とも倒れてしまいました。本戦の前にこんなことじゃ、どうしようもないですよ…。

「大丈夫ですか?」

 私が下敷きになる形でシルバーを庇いました。シルバーは私の顔を挟むようにして手を突いており、お互いの目が良く見えます。…なんだか、近くで見ると綺麗な目をしているのですね。暗くてよく分からなかったシルバーの瞳には、僅かながらにも確かな光が見えます。

「綺麗な目をしてるんですねぇ」

 そう言ったのはシルバーからでした。奇しくも同じことを考えていた私たち、力を合わせて強敵を倒そうとしている渦中、心が通じ合っているのでしょうか。…二人で無事に帰れるといいな。

「って、早くどいてくださいよ。先へ進みましょう」

「失礼、君がずっと見てくるもんだから何かあったのかと思ってねぇ」

「…?声が少し震えていますよ。怪我をされたのですか?」

「いいや、大丈夫さぁ」

 するとシルバーは私の前を歩き始め、先程より早足で進んでいきます。…私の顔になにか付いていたのでしょうか。しかし顔を擦っても何も無かったので、疑問を残しつつもシルバーの後に続くのでした。

 先程から祠へ近づくにつれて夢喰の数が増えているのですが、そろそろ本陣が近い証拠でしょう、二人がかりでやっと捌ける程に増えてきました。単体の強さはありませんが、ここまで大量になるとさすがに骨が折れます。

「ラチがあかないねぇ…!」

「夢喰の気を引いてくれませんか!まとまったところを私が対軍魔法で一掃します!」

 シルバーが私と夢喰の間に入ることでヘイトを買って下さり、私は一歩後ろへ下がります。

「詠唱省略、ドリーミー・コンプレッション!」

 空中へ飛び上がり、力を溜めた杖を振りかざします。すると夢喰たちは一帯の地面に穴が開くほどの衝撃に押しつぶされ、森林もろともなぎ倒されました。…木々には申し訳ないですけれど、こうでもしないと。

 薄々気づいてはいましたが、ステッキの最終奥義を開放したことによって私自身も戦力値が大幅に上がっているようです。詠唱省略した魔法がここまでの強さなんて、普通では有り得ません。恐らく、今の私はこの世界線においてシルバーよりも強い。これならいけます…!

 地面に降り、私の攻撃を回避してくれたシルバーと合流、着々と祠への道を進んでいきます。

 ――――――――――

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