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「さて、今日も片付きました。我ながら仕事が早くていい子ですね♪」
まだ夜は明けてないし、今からなら海辺に間に合うかも。そう考えながらスキップで海辺へ向かい始めた時でした。
「お姉さんすごいねぇ」
誰かに呼び止められました。驚きのあまり固まってしまう私。
(ひ、人!?私に向かって喋っている…?そ、それは大変にマズイです、まさか見られてしまったのですか…!?)
私は声が聞こえた方へ勢いよく振り向きました。見たところ声を発した人は小学生ほどの少年です。
「あー!あれはなんでしょう!」
彼の後ろを指し気を逸らそうとしますが甲斐無く。…お互い硬直した変な時間が流れてしまいました。
「わかった、人に見られちゃいけないんだ」
「なぜ分かるのですか!」
素直が取り柄なもので…。
「っというかなぜこんな暗い時間にあなたみたいな少年が外出しているのですか!大変問題でしょう!ケーサツ呼びますよケーサツ!!」
ケーサツに見られてもダメなのですが、なんとか意識を逸らさないと…本当に人に見られちゃったんだ私…。
「…大丈夫さぁ、どんな理由があるか知らないけど誰にも言わないよ」
「うぅ、そういう問題じゃ…」
どうしましょう、人に見られたドリームキーパーは永遠にこの世界に降りて来れません。そんなことになれば二度とこの綺麗な星が見れなくなりますし、海辺にも行けません。どうしましょう…。
「なにか悩んでるみたいだけど、ホントに大丈夫だよ。僕は「人」に分類されない、言わば君と同じジャンルの生き物だからねぇ」
「どういうことですか…?私と、同じ…?なら君は一体なんなの?」
「僕は「迎人」、この世の人間があの世へ行けるよう迎えに来る役割だよぉ。有り体に言うなら、殺し屋とでも思ってくれ」
こ、殺し屋…!?私とは真逆の役割じゃないですか。どうしてそんな人がここに…。
「まぁ殺し屋とは言っても、迎人の概念が存在しないこの世界線では力を発揮できない。人間だけど人ではない、かといってこの世界線では人以外でもない。どうにも生きづらくなっちゃったよホントォに」
よく分かりませんが、人型の亜種みたいなものでしょうか。だから私のことを見ても、私に何も起こらないのですか。…見られても大丈夫だと言うのなら、一旦落ち着きましょうか…。
「世界線って言っていましたね。それは何のお話ですか?この世界とは他に世界がある、みたいなお話です?」
「まぁ合ってるっちゃ合ってるけどねぇ。僕のいた世界線ってのはこの世界と表裏一体なんだ。例えば今朝か今夜か、眠りから覚めた君ってのは、歯を磨く君と磨かない君の二通りいる。歯を磨いたらそこが磨いた世界線になり、磨かなければそこは磨かない世界線になる。君が磨いたと言うのなら、僕は磨かない世界線から来たって言う話、その逆も然り。わかったぁ?」
「んー、あまりよく分かりませんです。要するにこことは違う場所からいらっしゃったってことで大丈夫ですか?」
「それでいいよ。まぁ金輪際出会うこともないだろうから、僕のことなんて知ったってどうにもならないけどねぇ」
そう言うと少年は踵を返し立ち去ろうとした。
「だったら、なぜ私に声をかけたのですか?」
少年はもたつきながら最後にこう言った。
「…。歳で言ったらまだ小学生くらいなものでね。ひとりが寂しいとか、そう思ってた自分もどこかにいるのかもしれないねぇ。ま、お気遣いなく」
そんなことを言われたら放っておけないじゃないですか。少年の危険性も全くわからない現状、無闇に匿うべきではないのでしょうが…。
「待ってください」
「…?」
「これからどこへ行くのですか?」
「うんー、テキトーに散歩しながらウチへ帰るよぉ」
「そうですか。私、これから海辺へ行って星空を眺めようと思うんです。海は光がなくて星がよく見えるのですよ。一緒にどうですか?」
「…まぁ来て欲しいって言うなら、言ってあげないこともないけどねぇ」
「生意気ですね。仕方ないですが連れて行ってあげましょう。ところで、なんてお呼びすればいいです?」
「少年Aとかでいいよ、どうせ名前なんて意味が無い」
「意味分かりませんし、長いです。うーん、じゃあ髪が銀髪ですので、シルバーってお呼びします!」
「それはまた、安直だなぁ…」
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