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ライオット

 自分の妃がある書類を目にして青ざめたのを見て、自分もその書類に目を向けた。

 それはこの国を脅かしていた瘴気爆弾テロの報告書であり、最後になると思われていた瘴気結晶の浄化に失敗しただけでなく、実はテロリストが生きていて、さらなる国家の危機が訪れる危険性があることを示唆したものであった。内容が内容なだけに、恐怖心が煽られるのも理解はできるが、何か違う気がして、何か気になることがあるのか声をかけた。

 妃がハッとした顔をして、少しの躊躇いの後に声を出した。「ライオット様はこの方に見覚えはありませんか?」と。

 そう言われて、書類に添付された写真を見る。今回、瘴気結晶を埋め込まれ契約を交わした後に浄化の炎での処刑が確定した女性の写真。見覚えがあるか聞かれても、ぱっと想い浮かぶものはない。少し癖のあるハニーブロンドの髪は長く伸ばしており、丸みのある目尻の少し下がった目はぱっちりと大きく、髪と同じ色の睫毛がけぶるように影を落としていて、彩る瞳の色は若草色で柔らかい印象をより際立たせており、ふっくらとした淡い色合いの唇と相まって、可愛らしい印象の美人だ。これだけ目を引く容姿をしていれば、過去に会ったことがあるのなら、印象ぐらいは残っているだろう。だが、どれだけ写真を眺めても記憶に引っかかるものはなくて、答えを問うように妃に視線を向けた。

 「リフィア・ファーラント伯爵令嬢によく似ているように思うのです。」

 妃のその答えに、リフィア・ファーラント伯爵令嬢?と首をかしげる。ファーラント伯爵家には娘はいなかったように思う。跡継ぎである長男には娘がいるが、リフィアという名ではなかったように思うし、彼女はまだ幼く公式な行事への参加はしたことがないため顔を見る機会がなく、この女性と似ているかどうかも解らない。でも、こうしてファーラント伯爵家の面々を思い浮かべると、髪の色や少し癖のある毛質、瞳の色は、現ファーラント伯爵と同じだと思う。だが、珍しくもない色だし、それだけで関わりがあるように勘ぐるのはいきすぎだろう。

 わたしの疑問を察してか、妃が口を開く。

 「現在のファーラント伯爵家の令嬢のことではございません。私が王立魔術学園の高等部に在籍していた頃、現サンジェスト子爵であらせられるファリアス様の婚約者として、彼の傍に侍っていた、リフィア・ファーラント伯爵令嬢のことです。生まれは商家上がりの男爵家ですが、曾祖母は王族で、母方の本家であるファーラント伯爵家は建国より続く名家。血筋の証明のため、王家の血の証明の儀式を執り行い、王家の血を濃く引いていることを証明した上で、ファーラント伯爵家に養子入りし、サンジェスト公爵子息であったファリアス様の婚約者となった方で、ファリアス様より三つほど年下ではありましたが、特例で高等部に在籍し、いつもファリアス様の傍におられましたので、私も面識があるのでございます。ライオット様は王族特例で学園にはほとんどいらっしゃらなかったので、関わりがなかったかも知れませんが。」

 そう言われて、そういえばファリアスには学生時代に婚約者がいたなと思い出した。

 ファリアスの学生時代の婚約者のことは、いつもファリアスに怯え、俯いていた印象しかなく、正直、顔どころか姿形すらよく覚えていない。

 ファリアスは、サンジェスト公爵家という準王族の家柄であり、この国の貴族で一番の権力を持つ家に三男として生まれ、王位継承権も持っており、嫡男でないにもかかわらず何もせずとも公爵家の持っている爵位の一つを得られるような恵まれた環境にいたくせに、三男だというせいで公爵家の持つ爵位の中でも下位の爵位しか得られないことに不満を感じているような男だった。公爵家は長男か継ぐ、次男は伯爵の位と公爵領の一部を分け与えられる予定で、三男は子爵の地位と王都の邸宅、そして鉱山一つを与えられる予定だった。子爵と言っても、公爵家から分け与えられる財は通常の伯爵家以上。領地はないが、収入が得られる鉱山を所有できるのだから、下手に領地を持つより楽な暮らしができる、兄二人と少し年が離れて生まれた末っ子が何も苦労しなくても大丈夫なように甘やかしまくって采配された、誰もがうらやむ境遇だったのだが、ファリアスは納得がいかなかったようだ。そこには、三男でありながら次期国王候補筆頭だったわたしに対する対抗心のようなものもあったのだと思う。

 わたしが次期国王候補筆頭だったのは、同じ正妃腹の兄が病弱で、もう一人の兄はあまり後ろ盾の強くない側妃の子であり、三男ではあるが、正妃の子供で健康にも問題ないわたしが国王になるのに一番無難だろうと思われていただけだったのに。正直、物心ついたときから求められるものが高く、いつも次兄と比べられ、少しでも劣ったところがあると厳しい叱責を受けるようなことも日常で、次期国王としての正しさを強要される毎日が辛かった。子供の頃は病弱でも成長と共に健康になるものも多いと聞くから、長兄が健康になってくれないかと願ってばかりいたし、次兄に対しても、王になるつもりがないなら勉強も訓練もくそ真面目に頑張らずに手を抜いてくれればいいものをなんて思ってばかりいた。末っ子として甘やかされて、苦労をしなくても安定した未来が約束されているファリアスの方が、わたしには羨ましくて仕方がなかった。

 公爵家という家柄と従兄弟という関係から、ファリアスとわたしは幼い頃から顔を合わせる機会が多かった。年々、不遜な態度が増していき、無駄に絡んでくるのがうっとうしかった。わたしに婚約者ができると、わたしの婚約者に懸想している訳でもないくせにちょっかいを出し、わたしから強引にでも奪おうとするなど、度を超した行動も目立つようになってきて、いいかげんに何かしらの制裁を正式にしなければならないかとなったところで、サンジェスト公爵家がファリアスに婚約者をあてがったのだ。彼女は、サンジェスト公爵家がファリアスに与えた生け贄だと揶揄されていた。実際にそうなんだろうとも思っていた。可哀想な令嬢だとは思ったが、彼女がいることで自分や当時婚約者だった今の妃への被害が格段に減ったので、正しい采配なのだと思い、彼女自身へは興味すら抱かなかった。ファリアスが婚約者としてまともに紹介するわけもなく、サンジェスト公爵家のものが、彼女を三男の婚約者として周囲に紹介したりもしなかったあげく、ファーラント伯爵家もなにもしなかったので、彼女のことはサンジェスト公爵家が用意したファリアスの付き人なのだろうと思っている者が大半だっただろう。彼女は婚約者としての社交は全くせず、ファリアスにつきっきりで、何かしそうであれば気をそらしたり、身体を張って愚行を止めたりばかりしており、度々ファリアスに怒鳴られ、振り払われ、乱暴に腕をつかまれ引っ張って行かれたりと、そんな姿ばかりが見られていたのだから。正直自分も、婚約者と言うより従者という認識が強く、妃に言われるまで、あの令嬢がファリアスの婚約者だったということは頭から抜けていた。というのも、彼女の後に婚約したリリア殿には、ファリアスはちゃんと婚約者として正しい接し方をしており、その対応の差に、余計くだんの令嬢が婚約者だったという印象は消えてしまったのだ。以前の婚約者には乱暴な態度と酷い扱いしかしてこなかったファリアスが、少しぶっきらぼうでつっけんどんなところはあるが、ちゃんとエスコートし、気を遣い、労って。平民出の神託の聖女ということで、貴族とやりとりするにあたり足りないところばかりだったリリア殿をちゃんとフォローして、作法を教え、周囲の悪意からも盾になり護っていた。あいつもちゃんとできるのだと驚いたのは、わたしだけではなかったはずだ。そして、リリア殿と婚約してからは、以前までの度の過ぎた素行の悪さがすっかりなりを潜め、粗暴なところも傲慢で態度が悪いところも残ってはいるものの、身分の高さも相まって許される範囲内に収まるようになり、あの悪童も聖女に浄化されたのだとまことしやかに噂されるほどだった。だから、世間的にはファリアスはリリア殿が最初の婚約者で、運命の相手なのだと思われているし、多分、サンジェスト公爵家が主体としてその話しを盛り上げている。最初の婚約などはじめからなかったかのように、最初の婚約者など存在していなかったかのように、公爵家がリフィア・ファーラントという人物の痕跡を消したのだ。

 妃に言われてよくよく思い出してようやく、その情報が思い出される程度の存在。それが、ファリアスの学生時代の婚約者だった。そんな人物の顔を、よく妃は覚えていたなと思うと同時に、わたしと違って学生時代に交流があったのであれば覚えていても不思議ではないかとも思った。だた、あの状態でよく、ファリアスの婚約者だと認識できていたものだと思い、また忘れていた記憶が甦ってきた。そうだった、サンジェスト公爵から、ファリアスの日頃の行いの謝罪を受けると共に、お目付役として婚約者をあてがい監視させ行動を諫めさせることにした旨の報告を受けたのだ。学園でも常に傍について行動を見張り婚約者という立場を使って愚行を止めるように言いつけてあるので、ファリアスへの苦情は婚約者となった令嬢に伝えてほしいと言われたのだ。そして、そのままわたしが妃に伝えた。だから妃は、ファリアスの傍に侍り面倒を見ている令嬢が、奴の婚約者だと認識しており、当時そのように扱って対応していたのだろう。

 そうか、この女性は、あの令嬢に似ているのか。そう思うと、なんとも奇妙な縁で繋がったものだと、苦々しいような思いがこみ上げてきた。

 「この女性がリフィア・ファーラント嬢に似ていたとして、それがどうかしたというのか?」

 わたしは妃に思ったままの疑問をぶつける。正直、あまり気分の良くない縁が繋がったとは思うが、顔を青ざめさせるほどの何かがあるようには思えなかったからだ。

 「噂があるのです。」

 「噂?」

 「学園にファリアス様によく似た子供が通っていると。ファリアス様の隠し子ではないかとの噂です。ファリアス様もサンジュスト公爵家もなにかと敵が多いので、ただの色味の似た子供を見て、誰かが噂を流しているだけだろうと思っていたのです。昔のファリアス様を知っている者ならばあり得るかもしれないと思うでしょうし、教会はそのような醜聞を嫌いますから、聖女様の伴侶にファリアス様をあてがって教会にまで影響力を伸ばそうとしているサンジェスト公爵家の勢いをそぐための策略なのだろうと。しかし、この方の写真を見て思ってしまったのです。その噂が事実であるなら?リフィア嬢によく似たこの方が、本人だとしたら?そしてその子息が真にファリアス様のお子だったとしたら?そんな考えが頭をよぎって、私は怖くなってしまったのです。私どもはとんでもない過ちを犯してしまったのではないかと。魔法契約が発動した以上、この方はお亡くなりになったのでしょう。ですが、復活した彼女が本人ではないと誰が証明できるのでしょう。テロが失敗し逃亡したその先でリフィア嬢を見つけ目を付けたテロリストが、彼女の憎悪を煽るために全てを計画していたとしたら?深い憎しみと絶望の末に死んだ彼女がテロリストの死霊術で復活をとげたのだとしたら?死霊術で復活した者は、生前の苦しみの深さに比例して力を増すと聞きますので、もしそうだとしたら、とても恐ろしい化け物が、テロリストの手駒になってしまったのではないか。そう思うと恐ろしくてたまらないのです。」

 そんな妃の不安を、わたしはまさかそんなことがあるはずはないと思って否定した。

 当時リフィア嬢がサンジェスト公爵家に良いように使われていたことは確かであろう。実際、神託の聖女の出現と共に、お役御免となって切り捨てられたことも間違いないとは思う。しかし、あれだけ素行に問題があり、もう少しのところで何かしらの公的な罰を与えられるというギリギリのところにいたファリアスを、なんとか一線を越えさせず抑えていたのは彼女なのだ。それも学生時代から神託の聖女が現れるまでの数年間、決して短くない年月をずっと、それこそ身を削って尽くしていたのだ。切り捨てるにしても、今後ファリアスやサンジェスト公爵家に関わらない契約を交わした上で、それまでの働きに応じた報酬を渡し新しい名や身分を与え王都から離れた地方都市に移すとか、地方に使用人付きの家を用意して監視下に置いた上で生涯の生活の保障をするなどしているはずだ。なんといっても相手は王家の血の証明を行っている貴族。そこらの平民や普通の貴族とは違う。王家の血を持つ者の義務を担っている者の一人なのだから。準王族であり、同じく王家の血を持つ者の義務を担っているサンジェスト公爵家なら、その貴重さは解っているはずだ。解っていて、みすみすそれを失わせるようなことなどするはずはない。殺したり、自殺を選ばせるほど追い詰めることはしないだろうから、それ相応の対応はしているはずだ。いや、しないなんてあり得ない。していないはずがない。

 そう思うのに、あまりにも青ざめた顔をして怯える妃の様子に言い知れぬ不安感がわいてきて、リフィア嬢の消息を追うことを決めた。

 そこまで不安になるのなら調べてみよう、と。実際にリフィア嬢と別人だと証明されれば安心だろう、と。まるで不安がる妃のために仕方がないから調べてやろうというような調子で。実際に指示をするときも、あくまで妃の杞憂を晴らすために調べてやって欲しいという体をとって。本当は、自分自身がこの言い知れない不安感を解消したいが為に、妃を思いやる優しい夫の仮面を被りながら、徹底的に調べさせた。


 調査報告を受け取って、わたしは思わず天を仰いだ。

 信じたくない。認めたくない。そんなはずがあるわけがない。そう思うのに、何度確認しても報告書の内容が変わるわけはなく、報告書に記された事実は、ほぼ間違いなくあの女性がリフィア嬢本人であったことを示していた。ほぼというのは、リフィア・ファーラントが王都から姿を消した当時の関わりのある人物達から得た証言などから導き出された推察では間違いないと思われるが、貴族席からは離席届けが出されておりその後の行方は追えず、辺境での魔獣の大量発生時と彼女が平民になった時期が重なっており、平民の移住記録が追えず、明確に書類という形で確認が取れなかったこと。記録に残っていたリフィア・ファーラントの魔力と、処刑された彼女の魔力が一致しなかったこと。しかし、病気や損傷といった理由で体内の魔力核が機能しなくなった場合に、他者の魔力核や人工魔力核を移植するなどした場合に魔力の質が変わるケースもあるため、本人だとも確定できないが本人でないとも言い切れなかったためだ。

彼の女性がリフィア・ファーラント本人だった場合、最悪なことに、彼女は何の援助もなく辺境へ追い出されたことになる。住居は与えられていたが、それも瘴気汚染された農家の跡地で、人が住まなくなって久しくろくに管理もされていなかったボロ屋で、援助もない状態ではとても生活していける環境ではなかった。まさしく、自分たちの預かり知らないところで野垂れ死んでくれという事だったのだろう。何かのきっかけで彼女について言及されれば、ちゃんと住む家を用意して十分な金を渡して送り出したとでも言うつもりだったのだろう。土地建物の敷地面積だけ見れば立派だ。わざわざ辺境まで様子を見に行く者はいなし、いたとしても掘り下げてまで調べないだろうから、自分たちの手から離れた後で寂れたのだろう。一人にさせて欲しいと言っていたのでそっとしておいたのだがまさかこんな状態になっていたなんて。困れば便り位あるものだと思って、自分たちとは顔を合わせたくないだろうと気遣って、関わらないようにしていたことがこんな結果を招くことになるとは。などと、並べ立てて、のらりくらりと躱すつもりだったに違いない。当時公爵家で働いていた使用人の証言で得た情報なので、どこまでサンジェスト公爵の意向を正確に捉えているかは不明だが、大きくは外れていないだろう。きっと、彼女を切ると判断したのは、王家の血を持つ者の義務を担うものの数が減るよりも、せっかく繋がった教会とのパイプが、彼女が生きていることをきっかけに崩れてしまう可能性があることの方が、サンジェスト公爵家の利益を損なうことだと考えたからなのだろう。しかし、彼女は生きていた。サンジェスト公爵家はそれを把握していたのだろうか?把握していたのなら、このようなことにはなっていないと思うし、そもそも、死を確認せずに放置するなど、サンジェスト公爵家のやり方としてはぬるいと思う。あの狡猾な公爵家がそのようなぬるい手で終わらせるなどないと思うが、どういうことだろう。そこは理解できない。

 もしかしたら、よく似た別人という可能性もあるのではないかと期待したいが、しかし、彼女の息子は、どこからどう見ても確実にファリアスの子だ。出産の時期を見ても、彼女が妊娠したのはリフィア・ファーラントが王都にいた頃。王都にいた頃のリフィア嬢の交友関係、接触者、生活、それら全てを考慮したら、ファリアス以外にリフィア嬢の生んだ子供の父親になれる人物はいないだろうし、何より子供の見た目がファリアスと瓜二つなのだ、状況から考えて、彼の女性がリフィア嬢で、子供はファリアスとの間の子だと捉えるのが当前だろう。神託の聖女をファルアスの伴侶に迎え入れられたのに、婚外子が、しかも元婚約者との間にいるなど、あのサンジェスト公爵家や許すとは思えない。ファリアスはともかく、前公爵であるファリアスの父も、現公爵であるファリアスの長兄も、そして伯爵となったファリアスの次兄も、サンジェスト公爵家の不利益になることなど絶対に許さないだろう。狡猾で傲慢で、それでいて目敏く注意深いあの家が、そんな見落としをするとは思えない。つまり、サンジェスト公爵家は、リフィア嬢が死んだと思い込んでいたのではないだろうか。どうやって思い込ませたのかは解らないが、リフィア嬢は、何らかの方法で自分の死を確信させ、目を盗んで生きていたのではないだろうか。そうだとしたら、妃の妄想が、妄想ではなく現実にあり得ることのように思えてきて恐ろしい。

 散々利用され、酷い扱いを受けてきて、その上、不必要になったら、辺境の地で殺されかけたのだとしたら。そうして恨みを募らせて生きてきて、散々自分を痛めつけきた元婚約者に、何の罪もないのに乱暴な扱いを受けて容赦なく処刑場に送られたのだとしたら。そして、自分の死と共に護られるはずだった我が子を目の前で殺されそうになったのなら。誰の策略だとか、陰謀だとか、そんなことは関係ないだろう。死の間際にきっと彼女は、ファリアスやサンジェスト公爵家だけでなく、この国の権力者全てを呪ったことだろう。王都にいるときも誰も助けてくれなかった。そして、命をかけてこの国と交わした契約を反故されるところだったのだから。この国の全てが信じられなくなり、この国の全てが彼女から恨まれる対象となったことだろう。

 妃の言うとおり、逃げ延びたテロリストに彼女が利用され、死霊として復活を果たしたのだとしたら。今彼女は、この国を滅ぼすほどの呪いとなっていてもおかしくはないだろう。

 もしそれが事実だとしたら、早急に呪いを浄化しなくてはならない。この国が一人の人間の怨念で滅ぼされる前に、見つけ出し除霊、浄化をしなくては。

 確かな危機感を持って、わたしは消えたテロリスト達の行方を追うことを決意し、特務部隊に死霊の捜索、及び、発見次第速やかに除霊、浄化を行うように命を下した。

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