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転移したら賢者、転生して魔王の息子になりました。  作者: 雪国竜
第1章

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????の報告

「……以上が、各戦線から送られた情報です」

『報告ごくろう』

 わたしは自分の上官に、王都にもたらされた報告を伝達している。

 今、手に持っている水晶に話しかけている。

 この水晶は魔石を特殊加工し、遠距離にいる者と会話できるようにした物だ。

 わたしはこの水晶を通して、自分の部族に多くの情報をもたらしてきた。

『鬼人族に当たった軍団が竜騎兵団である以上、負けるのは分かるが……まさか魔法師団が一兵も失うことなく獣人族に勝つとはな』

 わたしもその報告を聞いた時は驚いた。

 魔法師団の戦線には新兵器を投入すると聞いてはいたが、それでも少なくない損害を受けると思っていた。まさか一兵も失うことなく勝利するとは思わなかった。

『その新兵器とやらは、異世界から来た者達がもたらした技術だそうだな』

「はい。異世界人の一人がもたらした知識で作ったそうです」

『………………』

 上官が黙り込んだ。

 恐らく、わたしが報告した情報を頭の中でまとめているのだろう。

 わたしは、上官が思考の海から戻ってくるのを待った。

 もう少し時間がかかると思っていたが、上官はすぐに戻ってきた。

『軍には撤退するよう進言する』

「はい、そうした方が良いと思います」

 元々、今回の出兵は対外的な意味も含めて派兵したものだ。

 わたし達の部族は種族柄、獣人族とも交流がある。

 その縁で、獣人族が人間族の国を攻めると聞いたので、慌てて軍を出した。

 あくまで獣人族との友好のために派兵したので、人間達と争う気も領土を得るつもりもない。

 鬼人族はどうか分からないが、他の部族も同じような考えだろう。

『お前から見て、異世界人達はどう思う?』

「そうですね。下手に争うよりも、友好を結んで利益を得る方が良いかと思います」

『お前もそう思うか』

「も? ということは……」

『わたしは人間族と講和、または同盟を結ぶべきだと思っている』

「講和ですか。向こうが素直に応じるでしょうか?」

『そうならざるを得まい。何せ最終的な敵は我らではなく魔人族なのだからな。それに、人間達と我らが争えば、横合いから利を得る者も出るだろう』

「漁夫の利ですか……言われてみれば、その通りですね」

 そうなったら、我が部族の被害は甚大になるだろう。

『故に、今は講和を結ぶべきだ。そなたは引き続き情報収集に励め』

「分かりました」

『では、次の報告の日まで。それまで捕まるようなへまはするな。ミルチャ』

 上官がそう言うと、水晶の輝きが止んだ。

 わたし、ミルチャは水晶を懐にしまい、図書室を出る。

(鬼人族と獣人族が敗れた情報はすぐに、王都に潜入している亜人族と天人族の間者にも伝わるわね。二つの部族は、どう動くか見ものね)

 そう考えながら、わたしは仕事に励む。

 全ては竜人族の未来のために。

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