表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転移したら賢者、転生して魔王の息子になりました。  作者: 雪国竜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
63/64

第52話 戦争の準備

 王宮に着くと、僕たちはすぐに会議室へ案内された。

 中には既に各軍団の軍団長、王様、宰相、王女様、そして転移してきた戦争参加組の全員が揃っていた。

「遅れて申し訳ございません!」

 侯爵が深々と頭を下げる。

 王様は軽く手を振り、気にしていないという仕草を見せた。

「今始めるところだ。席に着くがよい」

 僕たちも席に着く。

 左隣の席を巡ってマイちゃん達がじゃんけんを始め、周囲の視線が痛い。

 軍団長や大臣たちの冷たい目線が突き刺さる。

(……なんて日だ)

 それでも平然とじゃんけんをする三人の図太さには、逆に感心する。

 ちなみに、勝ったのはユエ。

「ふっ、勝利のブイという奴だな」

「なんで、あたしはパーを出したんだろう・・・」

「わたしも」

 三人のやり取りが終わると、王様が咳ばらいをする。

「皆、揃ったようだな。これより軍議を始める」

 王様の声で空気が引き締まった。

「宰相、説明を」

「はっ、かしこまりました」

 宰相の合図で文官たちが大きな巻物を広げる。

 地図の上に、各種族の軍を示す駒が置かれていく。

 天人族五千、亜人族一万、竜人族一万、獣人族三万、鬼人族三万――

 総勢八万五千。

「総勢八万五千の軍が我が王国に侵攻してきた。各々の意見を聞きたい」

 その言葉を皮切りに、軍団長たちの議論が始まった。

「天人族には竜騎兵団を当てるべきだ!」

「いや、竜騎兵団は鬼人族か獣人族だろう!」

「他国に援軍を求めるべきだ!」

「愚策だ! 他国も防衛に回る!」

「では我が軍だけで耐えるしかないな!」

 議論は白熱し、次第に罵り合いへと変わっていく。

(このままじゃ何も決まらない……)

 どうすべきか考えていると――

 バンッ!

 天城君が立ち上がり、テーブルを叩いた。

「……あんた達は、国を救うつもりはあるのか?」

 その一言で軍団長たちが一斉に噛みついた。

 僕はその一言を聞いて、腹に手を当てた。

「何様だ。貴様!」

「異世界人風情が偉そうに!」

「軍事を知らぬ素人は黙っていろ!」

「各軍団が行きたいところに行けばいいだろ!」

「愚か者め!」

 軍議は完全に混乱した。

 その時――

「静かにせよ」

 王様の声が、部屋の空気を一瞬で凍らせた。

「そなたら、ここに来て醜い口喧嘩を儂に見せに来たのか? それとも国の防衛のために集まったのか?」

 罵り合っていた者たちは一斉に俯いた。

 王様は天城君へ視線を向ける。

「アマギ殿。己の意見を言うのは良いが、皆を刺激する発言は控えよ」

「ですが陛下! 僕たちが早く出れば、国境の被害を減らせます!」

「確かに一理ある。だが――」

 王様の声が低くなる。

「戦に際しては万全を期して臨まねばならぬ。古より百戦して百勝できる軍など存在しない。ゆえに事前の準備こそが最も重要なのだ」

 天城君は悔しそうに唇を噛む。

「アウラ」

「はっ、何でしょうか陛下」

「お主は異世界人の指導を担当していたな。アマギ殿の実力は?」

「現段階で言えば……総合力でゴブリン千匹分ほどでしょう」

 部屋がしーんと静まり返る。

 それは高いと取るべきか、低いと取るべきか。

 反応に困るな。

「ぷっ……ぷははははっ!」

 カシューさんが吹き出した。

「ゴブリン千匹程度で戦争が終わるなら、お前達をを呼ぶわけないだろう? そんなことも分からないのか。ああ、申し訳ない。分からないからそんな面白いことを言うのだな」

「なっ……なんだと!」

「わたしだけじゃない。ここにいる軍団長は皆それくらいできるわ。でなければ、軍団長になれるわけない」

 天城君は言い返せず、黙り込んだ。

 他の軍団長たちはニヤニヤと笑う。

 く、空気が重い。誰か、何か意見を言ってほしい。

「・・・・・・イノータ殿。何か意見がありますか?」

 そんな時に、エリザさんが尋ねてきた。

 その声が聞こえたのか、その場に居た人達が一斉に見てきた。

 いやいや、僕は素人なんだから、意見を求めないでほしい。

「何か考えがあるのであれば、申すがよい」

 王様に言うように促してきた。

 これは言わないと、不敬罪になりそうだな。

「は、はい……では僕の考えを言います。皆さん、どうかご清聴ください」

 冷や汗を流しながら立ち上がる。


 ――数十分後。


「成程、そのような考えがあるとは」

「言われてみれば筋が通っている」

「異世界人は軍事に疎いと思っていたが、見事な知略だ」

「そういえば、この者は職業で軍師を授かっていたな」

「はて? わたしが聞いたところでは賢者では?」

「その者はデュアルだ。職業が二つある」

「「「「おおおおおっ!」」」」

 皆の視線が一気に期待へと変わった。

「では、各方面に回す軍を決めよう」

 議論は進み、最終的にこう決まった。


 亜人族軍 → 騎士団

 天人族軍 → 戦士団

 竜人族軍 → 魔獣騎兵団

 鬼人族軍 → 竜騎兵団

 獣人族軍 → 魔法師団


 僕たち戦争参加組は二手に分かれることになった。

 鬼人族軍へ向かう竜騎兵団組と、

 獣人族軍へ向かう魔法師団組。

 僕はエリザさんの強い要望で魔法師団へ。

 マイちゃん達も「ノッ君と一緒じゃなきゃ嫌」と言ってついて来ることになった。

 天城君と西園寺君は竜騎兵団へ。

 亜竜を見たいらしい。

 少し羨ましいけど……今は戦の準備だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ