↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転移したら賢者、転生して魔王の息子になりました。  作者: 雪国竜
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
120/146

第95話 魔王宮に侵入

「そこの角を右に曲がって、少し進んだところにある十字路を真っ直ぐ」

「分かった」

 先頭が天城君と西園寺君、真ん中に僕と斉藤君、最後尾に遠山君。

 僕が地図を見ながら指示を出し、首都内を駆けていく。

 今のところ敵兵には見つかっていないが、王宮に近付くほど危険は増す。

 だからこそ、慎重に、しかし急ぎながら進んでいた。

 僕達が王宮までの道を把握しているのは、事前に調べていたからだ。

 攻略戦が始まって数日後、西園寺君が言った。

「霧が晴れたんだ。敵の首都内部の様子が分かるはずだ。お前の肩の烏を使って偵察させろ」

 そう言われて、僕はバズヴに頼み込んだ。

 最初は渋っていたが、プリン十個を作ると約束したら、しぶしぶ了承してくれた。

 バズヴは首都上空を飛び、内部を細かく観察してくれた。

 戻ってくるなり、嘴でペンを咥えて首都の見取り図を描き始めた。

 烏が描いたとは思えないほど精巧な地図だった。

 ただ、その後が大変だった。

 プリンを作っていると甘い匂いにつられたのか、マイちゃん達が現れた。

 さらに、マイちゃんとセナさんはわんこそばのような勢いで食べ続けるので、二人のペースに合わせて作り続ける羽目に。

 極めつけは、マイちゃん達の食べっぷりを見た女性士官達が物欲しそうな目を向けてきたことだ。

 本陣詰めの士官五百人分のプリンを作ることになったのは完全に誤算だった。

 そんな苦労の末に手に入れた地図のおかげで、僕達は王宮まで迷わず進めている。

「すげえな、お前の肩の烏」

 斉藤君が感心すると、バズヴが念話で怒る。

『我は烏ではないわ、たわけ』

(まあまあ、落ち着いて)

 僕が宥めていると、王宮の前に到着した。

「すんなり着いたが……妙だな」

「何が妙なんだ、西園寺?」

「ここまで来る間、兵士に一度も会っていない」

「? 警備兵は城壁にいるんじゃないのか?」

「籠城戦でも治安維持の警備兵はいるはずだ。誰にも会わないなんてあり得ない」

「確かに、城壁に全員回すとは思えん」

「だとしたら、何でいないんだ?」

 王宮を前にして、僕達は不自然さを感じていた。

「……ここで考えても仕方ない。魔王に聞けば分かるだろう」

「そうだな」

 天城君の言葉に、西園寺君も剣を抜く。

 僕達もそれに合わせて武器を構えた。

「行くぞ!」

 号令とともに王宮へ駆け込む。


 王宮に入ると、広大なエントランスホールが迎えた。

 天井は高く、目を奪われる装飾がいくつも並んでいる。

「すげぇ……さすが魔王の宮殿だな」

「俺、もっとゲームみたいにおどろおどろしくて寒気がする内装かと思ってたぜ」

「魔王って言うくらいだから、そう思うよな」

 天城君も同じ印象だったようだ。

「話はそこまでだ。敵が来る」

 遠山君の声に注意を向けると、黒い霧が湧き上がり、人の形を取った。

 魔王が使っていた魔法――『魔王の軍勢』だ。

「ここで出るってことは、魔王はこの近くにいるな」

「急いで探すぞ」

 僕達は武器を構え、襲いかかる魔法兵を迎え撃った。

 遠山君の一撃で『魔王の軍勢』は紫の血を流して倒れ、黒い塵となって消える。

 西園寺君や天城君の斬撃、僕の魔法、斉藤君の矢――次々と敵を倒していくが、数は減らない。

 一階のほとんどを回ったが、魔王の姿はなかった。

 最後の部屋の前に立ち、互いに頷く。

 遠山君が扉を蹴破った。

 轟音とともに扉が吹き飛び、僕達は部屋へ踏み込む。

「ほう、ここまで来たか。思っていたより早かったな」

 声の主は、額に角を持つ優男風の魔人族。

 手には複数のチャクラムを持っていた。

「何者だ!」

 天城君が問うと、男は優雅にお辞儀した。

「わたしか? 四魔将の一人――『輪撃』のコゲンツナだ」

「四魔将……!」

「魔王が言っていた四天王みたいな奴か」

 西園寺君と天城君が構える。

 コゲンツナの後ろには階段がある。

 つまり、上に誰かが居るな。

 四魔将が此処に居るという事は、間違いなく。

「魔王はこの上か?」

「正確には四階だ」

「えっ、それ言っていいの?」

「……ふっ、構わん。どうせお前達はここで死ぬ」

 間があった。絶対言っちゃいけない情報だったな。

 長引けば首都防衛の兵士が来る。早く倒さないと。そう思った時、斉藤君が前に出た。

「ここは俺に任せな」

「斉藤君?」

「相手は飛び道具だ。弓の俺が一番相性いい」

「でも」

 僕が言いかけると、西園寺君が遮った。

「任せてもいいか、斉藤」

「任せろ」

 斉藤君はサムズアップした。

「よし、俺達は先に行く!」

 西園寺君が駆け出し、僕達も続く。

「行かせるか!」

「おっと、そうはいかねえぜっ」

 コゲンツナのチャクラムが飛ぶ。

 斉藤君が矢を放ち、チャクラムを砕いた。

 その隙に西園寺君が斬りかかるが、コゲンツナは軽やかに跳んで回避。

 僕達は階段を駆け上がった。

 階段を上がり、少し進んだところで足を止める。

「……ここまで来れば大丈夫だ」

「西園寺、どうして斉藤を残した!」

 天城君が襟首を掴む。

「簡単だ。ここで戦えば俺達は消耗する。少しでも温存するためだ」

「それで斉藤が死んだらどうする!」

「その時は、生きて帰って両親に誠心誠意謝罪する」

「お前!」

「そこまでだ」

 遠山君が止めた。

「天城も落ち着け。西園寺も好きでやったわけじゃない」

「……くっ」

 天城君は手を離した。

「西園寺、確認するが、四魔将はあと三人いる。順番を決めよう」

「遠山、お前……」

「次は俺が行く。次は猪田か、西園寺か、天城か。三人で決めてくれ」

「分かった」

「では、行くぞ」

 僕達は再び前へ進んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。