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転移したら賢者、転生して魔王の息子になりました。  作者: 雪国竜
第1章

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第93話 オレバーツビムア攻略戦 前

 翌日。


 連合軍は各種族が協力し、首都城壁の周囲に張り巡らされた防塁の撤去と、魔王が展開した魔法の撃退に当たっていた。

 魔王の魔法は、倒しても倒してもどこからか再び現れる。観察の結果、常時発動型の魔法であると判明した。

 そのため、負担は想像以上に大きい。攻略の糸口が見えるまでは、波状攻撃に専念する方針が採られた。これは僕が事前に提案していた策だ。

 敵が籠城するなら、こちらは軍を分けて休む間もなく攻撃を続ければいい――そう会議で述べた時、各個撃破されて撤退を余儀なくされるのではないかと懸念された。しかし、僕は反論した。

 連合軍の各種族軍は最低でも一万の兵力を持つ。殲滅するにしても、一万から二万は必要だ。

 敵は籠城している以上、こちらより兵力は少ない。

 ならば、休みなく攻め続ければ敵を疲弊させられる。

 そう説明すると反論はなく、そのまま採用された。

 各種族軍は少なくとも一万。波状攻撃といっても、規模は相当なものになる。

 魔人族軍は防戦に徹すれば不利と判断したのか、こちらの隙を見ては兵を繰り出し、逆に攻撃してくる。さらに城門以外の場所から兵を出し、各軍へ奇襲を仕掛けてきた。

 これにはさすがに手を焼いた。

 そこでアウラ王女は、波状攻撃とは別に奇襲を防ぐための軍を一つ、さらに奇襲部隊がどこから出てくるのか探るための軍を一つ配置した。

 おかげで奇襲は防げているが、敵が出てくる場所は依然として不明のままだ。

 防塁の撤去も遅々として進まず、時間だけが過ぎていく。

(このままじゃ長期戦になる。どうにかしないと駄目だ)

 兵糧は問題ない。

 問題なのは兵の士気だ。長期戦で戦意が削がれつつある。

 このまま対陣が続けば士気は下がり、戦う前に軍が瓦解する可能性すらある。

 だからこそ、一刻も早く城壁を突破し、魔王を捕らえるか討ち取るしかない。

 だが、その手立てはまだ見つからない。

 途方に暮れていた時、事態は一転した。

「申し上げます! 敵の奇襲部隊が出撃する場所を発見しました!」

 獣人族軍の伝令の報告に、本陣の面々は皆、喜びの声を上げた。

「して、敵はどうやって奇襲していたのだ?」

「はっ。この本陣から東へ少し進んだ森に洞穴があり、そこから敵が出てくるのを確認しました。また、奇襲部隊がその洞穴へ戻っていくのも確認しております」

「そうか、ご苦労であった」

 王女様は労いの言葉を掛け、伝令を下がらせると、各種族軍の将へ本陣に集まるよう指示した。


 数十分後。

 本陣に各軍の将が揃った。

「時間が惜しいゆえ、直截に言う。敵奇襲部隊の出撃地点が判明した」

 ライオル陛下以外の将軍たちは歓声を上げた。

「では、そこに兵を回し、敵が出てきたところを叩きましょうぞ」

 だが、アウラ王女は首を横に振った。

「いや、もっと別の方法を使うつもりだ」

 将軍達は王女の言葉に耳を傾ける。

「城壁を攻撃する。敵の目を攻城に向けさせ、奇襲部隊が出撃した後、その洞穴から選抜した精鋭部隊を侵入させて城門を開けさせる」

「成程……素晴らしい策ですな」

「そこで各将軍には精鋭を千人ほど選抜し、本陣へ送ってもらいたい。全軍の選抜部隊が揃い次第、作戦を開始する」

 王女の言葉に将軍たちは一礼し、本陣を後にした。

 いよいよ、この戦いに終止符が打てるのか。

「総大将閣下。私もその選抜部隊に参加してもよろしいでしょうか」

「お前がか? ……ふむ、よかろう。見事武功をあげよ」

「はっ、ありがとうございます!」

 僕は準備のため本陣を出る。

 その時、アウラ王女が小さく「妹の婿になるのだ。これほどの武功があれば誰も文句は言うまい」と呟いた気がしたが……空耳だと思う。多分。

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