第89話 決戦会議
各方面から侵攻してきた軍勢は平原に集結し、総大将であるアウラ王女のいる本陣へ向かっていた。
僕が本陣に着くと、既に今回の侵攻軍の将軍たちが揃っていた。
「遅れて申し訳ありません」
一礼すると、ライオル陛下が軽く手を振った。
「構わん。まだ始まっておらん。早く席につけ」
「はっ」
僕は、明らかに空いているエリザさんの隣へ座る。
席に着くと、すぐに会議が始まった。
「まずは、敵首都へ向かった斥候の報告を聞こう」
アウラ王女の言葉に、エルカス将軍が立ち上がる。
「敵首都『オレバーツビムア』には幾重にも防塁が築かれ、堀も掘られています。また、空から偵察した者の報告では、首都上空に黒い霧が立ちこめており、中の様子は確認できなかったとのことです」
「では、敵の総兵力は分からぬままか」
「その通りです。内部に入った者は帰還していません」
「分かった。周辺状況の把握は続けろ。ただし、首都内部への侵入は禁ずる」
「承知しました」
エルカス将軍が席に戻ると、今度はバハクート将軍が立った。
「総大将閣下にお伺いしたい。敵首都の攻略は、どのように進めるおつもりなのか。ご方針をお聞かせ願いたい」
アウラ王女はバハクート将軍へ視線を向ける。
「ここまで来たのだ。後は力で攻めるだけだ」
その言葉に、将軍たちはざわついた。
無理もない。敵兵力が不明なまま力攻めなど、常道ではない。
兵法でも、城攻めは下策とされている。
「総大将、時間をかければ我らが不利になるのは理解しております。しかし、無理に攻めて兵を失うのは得策ではありません」
「左様。まずは首都の情報を集め、攻め時を見極めるべきかと」
反対意見が続く中、一人だけ賛成の声があった。
「我は賛成だ」
ライオル陛下の言葉に、皆の視線が集まる。
「首都を攻めるのに、最初から小細工を弄してどうする。まずは一当たりして敵の備えを確かめ、それから策を練ればよい」
陛下の言葉に、反対は出なかった。
「他に意見はあるか?」
誰も口を開かない。
「では、今日から三日間休息を取り、四日後に首都へ総攻撃を行う」
「それでは敵の攻勢を誘うようなものですぞ⁉」
「そうなれば迎え撃ち、決戦に持ち込むだけだ」
アウラ王女の言葉に、僕は納得した。
やがて将軍たちは本陣を退出していく。
僕は王女様に伝えたいことがあったので、その場に残った。
「総大将閣下」
「何だ、義弟殿」
「そう呼ぶのは、まだ早いと思いますが……それより四日後の総攻撃について、一計があります」
「ほう、どんな計だ」
「まずは」
僕はアウラ王女に策を伝えた。
その案が採用されることになり、僕は本陣を後にした。




