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転移したら賢者、転生して魔王の息子になりました。  作者: 雪国竜
第1章

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第84話 第一目標 タカトーラル城。

 王都を出発した僕たち人間族・亜人連合軍は、十五日かけて人間族領の国境へと到達した。ここから先はいよいよ魔人族領への侵攻となる。

 国境を越えて魔人族領に入ったが、敵の抵抗はまったくなく、進軍は驚くほど順調だった。

 やがて日が暮れようとしていた頃、広々とした平原を見つけた。今日はそこで野営を行うことになった。

「……こうして何もやることがないと、暇だな」

 僕たちは身分が高いという理由で野営の準備を手伝うことができず、ただ兵士たちが設営する様子を眺めているしかなかった。

 ぼんやりと見ていると、一人の兵士が僕のもとへ駆け寄ってきた。

「男爵閣下、アウラ王女様がお呼びです。至急、大本営へお越しくださいとのことです」

「分かった。行こうか」

 僕はミルチャさんを伴い、兵士の案内で大本営へ向かった。

 次々とテントが張られていく中、ひときわ大きなテントが目に入る。そこが大本営らしい。

 兵士に促され、中へ入ると、アウラ王女、王女親衛隊、レオン騎士団長、カシュー戦士団長、エリザさん、そして他の軍団長たちが揃っていた。亜人族軍の将たちはまだ到着していないようだ。

「遅くなってすみません」

 どうやら僕が最後だったようで、軽く頭を下げる。

「気にするな。亜人族の将たちはまだ来ていない」

 アウラ王女は手を軽く振って応じた。

 僕はエリザさんの隣の席に腰を下ろす。

「さて、亜人族の将軍たちが来る前に、大まかな話をしておこう。斥候の報告によれば、この付近には小規模な城がいくつも点在しているらしい」

「これからは攻城戦が中心になるのですね」

「その通りだ。そして、それらの小城を落とした先に、この地域で最大の城――タカトーラル城がある」

「大きい城ですか。どんな造りなのです?」

「斥候の話では、長大な長塀に囲まれた城だという」

「それだけでは情報が足りませんな」

「うむ。詳しい話は亜人族の将軍たちが揃ってからにする。まずは小城をいくつか攻略し、その中で損害の少なかった城を本陣として使い、侵攻拠点とする」

「妥当な判断ですな」

「どう攻めるかは、後ほど話そう」

 アウラ王女はそれ以上は語らず、亜人族の将軍たちの到着を静かに待った。


 やがて亜人族の将軍たちが到着し、軍議が始まった。

「では、これより軍議を行う」

 アウラ王女が宣言すると、エルカス将軍が手を挙げた。

「総大将閣下に申し上げます。この周辺の地図を、我が軍の斥候と使い魔を用いて大まかではありますが作成いたしました。これを基に作戦を立ててはいかがでしょうか?」

「ほう、いつの間にそんなものを。……よい、見せてもらおう」

「承知しました」

 エルカス将軍が指を鳴らすと、テントの外に控えていた兵士たちが大きな地図を運び込んできた。

 広げられた地図を見ると、思った以上に詳細に描かれている。

(僕たちがいる場所がここで……タカトーラル城は、この位置か)

 地図の平原を確認し、そこから少し北側を見ると、川を挟んで「タカトーラル城」と記された城の図が描かれていた。

 こうして見ると、川を防壁として利用した城構えのようだ。

 川は西と南へ流れているため、攻められるのは北と東の二方面だけになる。

 ただし、城攻めの際は必ずどこかに逃げ道を残すのが常道だ。

 完全包囲すると敵が死に物狂いで抵抗し、こちらの損害が増える。

(北か東のどちらかを意図的に開けて攻めるか……どちらにしても時間はかかりそうだ)

 包囲すれば降伏する可能性もあるが、今はどう転ぶか分からない。

 そんなことを考えていると、アウラ王女とエルカス将軍が地図を前に議論を交わし始めた。

「第一目標はタカトーラル城ですが、周囲の小城も気になります。規模からして、千名を置くのがやっとの大きさでしょう」

「そうだな。まずはその小城を落とし、その中で損害の少なかった城を本陣として使うとしよう」

「よろしいのですか? 敵方の城ですが」

「罠があるかもしれんが、調べてみなければ分からん。罠の有無も不明なまま外で陣を張るより、念入りに調査して使ったほうが良い」

「かしこまりました」

「明朝、日が昇り次第、タカトーラル城近くの小城を攻略する。各将は今夜はゆっくり休み、明日に備えよ!」

「「「はっ!」」」

 アウラ王女が締めくくると、将軍たちは敬礼し、次々とテントを出ていった。

 僕もテントを出て、兵糧と武具の確認へ向かった。

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