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第8話戦火の妖市

夜の妖市は完全な戦場になっていた。瓦礫に埋もれた通り。崩れた屋台。燃え上がる建物。炎の光が揺れ、煙が空へと昇る。逃げ惑う妖たち。倒れている者。叫び声。


その中心に六つの影が立っていた。


レン。白蘭。リン。長老。


そして人狩りの幹部。ゼル。イリス。カイト。


さらに。四足の巨大な妖獣、グラ。


ゼルが鎖を揺らした。


シャラララ……


黒い鎖が夜の光を反射する。


「いい夜だ」


レンが鼻で笑った。


「趣味悪いな」


イリスが炎を指先で回す。小さな火球が宙に浮かび、ゆっくり膨らむ。


「燃える街って綺麗」


リンが怒鳴る。


「最低!」


カイトは静かに刀を肩に乗せた。


「感情的だな」


白蘭が低く言う。


「お前も人間だろ」


カイトがわずかに笑う。


「だから何だ」


沈黙。火の粉が風に舞う。次の瞬間全員が動いた。ゼルの鎖が空を裂いた。


シャラララ!!


蛇のようにうねる黒鎖が白蘭を襲う。白蘭の刀が閃いた。


ザン!!


鎖が切れる。


だが次の瞬間には十本に増える。


二十本。三十本。


白蘭の周囲を完全に囲む。ゼルが楽しそうに笑った。


「さっきの続きだ」


白蘭は刀を下げない。


「望むところ」


同時に空が赤く染まった。イリスの炎。巨大な火球がいくつも生まれる。


リンが印を結んだ。


「狐火!」


青い炎が空に浮かぶ。青と赤の炎がぶつかる。


ドォン!!


爆発。火の粉が夜空に散る。イリスが目を細める。


「可愛い炎」


リンが歯を食いしばる。


「うるさい!」


そして地面が揺れた。


グラ。


巨大妖獣が突進する。


ドォォン!!


石畳が砕ける。長老が前へ出た。杖が振られる。風の衝撃。


ドォン!!


グラがよろめく。だが止まらない。巨大な牙が振り下ろされる。


その瞬間横から衝撃が来た。


ドゴォン!!


レンの拳だった。グラの頭が横へ吹き飛ぶ。瓦礫が飛び散る。


カイトがそれを見ていた。


「本当に面白いな」


刀を握り直す。


「お前」


レンが振り向く。


「さっきの続きだ」


二人が同時に走る。地面が砕ける。拳と刀がぶつかった。


キィン!!


衝撃波が広がる。周囲の瓦礫が吹き飛ぶ。カイトが笑う。


「いい」


レンも笑う。


「だろ」


戦場は完全に分かれた。白蘭 vs ゼル。リン vs イリス。長老+レン vs グラ。


そしてレン vs カイト。


妖市の中心で四つの戦いが同時に始まった。ゼルの鎖が嵐のように動く。


シャララララ!!


黒い鎖が白蘭の周囲を覆う。空。地面。全方位。逃げ場はない。白蘭の刀が閃く。


ザン!ザン!ザン!


鎖が切れる。だが次の瞬間には再生している。ゼルが言う。


「終わらない」


白蘭が静かに答える。


「なら」


刀を握り直す。


「全部斬る」


白蘭の足が動く。一瞬風のようにゼルの目の前へ。


斬撃。ゼルが鎖で受ける。


ガキィン!!


だが白蘭は止まらない。二撃。三撃。四撃。


鎖が弾かれる。ゼルの頬が切れた。血が流れる。ゼルが笑う。


「速い」


白蘭は何も言わない。ただ刀を構えた。一方炎が空を染めていた。


イリスの炎は巨大な火柱になり、街を照らしている。リンが飛び退く。


地面が溶ける。リンが息を切らす。


「強い……」


イリスが笑う。


「子狐」


指を鳴らす。炎の槍が飛ぶ。リンが狐火で弾く。


ドォン!!


爆発。煙が上がる。リンは震えていた。小さく呟く。


「怖い」


だが目が変わる。


「でも」


狐火が増える。


一つ。二つ。十。二十。青い炎の群れ。


「負けない!」


狐火が一斉に飛んだ。


________________________________________


レンとカイト。二人の戦いは激しくなっていた。


拳。刀。


キィン!!


レンが蹴る。カイトが躱す。刀が閃く。レンの頬が切れる。血が流れる。


レンが笑う。


「いいな」


カイトが答える。


「同感だ」


カイトの動きが変わる。さらに速い。消えるような踏み込み。


レンの肩が斬られる。血が飛ぶ。リンが叫ぶ。


「レン!」


だがレンは笑っていた。


「いい剣」


カイトが言う。


「お前もな」


二人が再び激突する。夜の妖市。炎の中。戦いはさらに激しくなっていった。


レンとカイトの拳と刀が再びぶつかった。


キィン!!


金属の音が夜の通りに響く。衝撃波で瓦礫が転がる。レンが一歩踏み込む。


拳が振り抜かれる。


ドゴン!!


カイトが刀で受ける。だが衝撃で後ろへ滑る。石畳に靴が削れる音。


カイトが小さく笑う。


「いい力だ」


レンが肩を回す。


「そっちもな」


その瞬間カイトの姿が消えた。レンの目が動く。


次の瞬間背後刀が振り下ろされる。


キィン!!


レンの拳が間に入る。刃が止まる。カイトが少し驚く。


「反応が早い」


レンが答える。


「慣れた」


拳が振り上がる。カイトが跳ぶ。レンの拳が地面に落ちる。


ドォン!!


石畳が砕けた。瓦礫が舞う。


________________________________________


一方白蘭とゼルの戦いも激しくなっていた。


黒い鎖が空を覆う。


シャララララ!!


数十本の鎖が同時に襲う。白蘭の刀が閃く。


ザン!ザン!ザン!


鎖が斬れる。だが増える。ゼルが楽しそうに言う。


「終わらない」


白蘭が低く答える。


「なら」


刀が風を切る。


「終わらせる」


白蘭の足が動いた。一瞬で距離を詰める。ゼルの胸元へ。


斬撃。ゼルが鎖で受ける。


ガキィン!!


火花が散る。白蘭の二撃目。ゼルの肩が浅く切れる。


血が飛ぶ。ゼルが笑う。


「楽しい」


その頃。リンは炎の嵐の中にいた。イリスの炎が街を焼く。


巨大な火柱。爆発。リンが狐火を飛ばす。青い炎が赤い炎とぶつかる。


ドォン!!


煙が上がる。リンが息を整える。


「負けない……」


イリスが退屈そうに言う。


「まだ遊ぶ?」


指を振る。炎が渦を巻く。巨大な火球が生まれる。リンの目が見開かれる。


「大きすぎ……!」


そのとき。遠くで大きな音が響いた。


ドォォォォォン!!


地面が震える。全員が一瞬止まった。レンが振り向く。


「なんだ」


森の奥から音が続く。


ドォン。ドォン。ドォン。


木が倒れる音。地面が揺れる。ゼルが笑った。


「来た」


イリスも口元を歪める。


「やっと」


長老の顔が変わる。


「……まさか」


レンが聞く。


「何だよ」


森の奥。巨大な影が動く。木々が倒れる。土煙が上がる。


そして現れた山のような巨体。黒い皮膚。巨大な角。赤い目。


その姿は小さな城のようだった。リンが震える。


「……うそ」


ゼルが誇らしげに言う。


「紹介しよう」


巨大な影が咆哮する。


ゴォォォォォォォ!!


夜空が震えた。瓦礫が跳ねる。炎が揺れる。


「人狩りの切り札」


ゼルの声が響く。


「妖王級妖獣」


レンが呟く。


「は?」


ゼルが笑う。


「名は」


巨大な妖獣が一歩踏み出す。


ドォン!!


妖市の地面が割れる。


「ヴァルガ」


その巨体は街の通りを半分埋めていた。長老が低く言う。


「妖王級……」


白蘭も目を細める。


「まずい」


グラがその足元で吠える。小さく見えるほどの差。イリスが炎を揺らす。


「さあ」


ゼルが鎖を鳴らす。


シャラララ……


「ここからが本番だ」


レンは巨大な妖獣を見上げていた。しばらく黙っていた。そして笑った。


「いいじゃん」


リンが叫ぶ。


「よくない!!」


ヴァルガが頭を下げる。赤い目が光る。そして咆哮。


ゴォォォォォ!!


次の瞬間巨大な腕が振り下ろされた。


街が揺れる。瓦礫が吹き飛ぶ。妖市の戦いは完全に次の段階へ入った。

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