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第17話白蘭の秘密

妖市の中心。瓦礫と煙の中で、三つの妖気がぶつかり合っていた。


レン。ヴァルガ。ディオル。


三人の王の力が渦を巻き、空気そのものが歪んでいる。


リンは瓦礫の陰にしゃがみ込みながら叫んだ。


「もうこれ以上街壊れないよね!?」


カイトは冷静に答える。


「もう壊れるものが残っていない」


ゼルが笑う。


「それもそうだ」


イリスも肩をすくめた。


「完全に戦場だね」


白蘭は黙ってレンを見ていた。その目は、いつもよりずっと深い。


まるで何かを決めたような目だった。


その頃、戦場の中央でレンは肩を回していた。


体から溢れる黒い妖気。さっきよりも濃い。


背後の妖王の影はさらに巨大になっていた。頭の奥で声が響く。


『抑えろ』


レンが言う。


「難しいな」


拳を握る。


「暴れたがってる」


影が低く笑う。


『それが王だ』


その瞬間ヴァルガが突っ込んできた。


ゴォォォォ!!


レンへ巨大な拳。レンも拳を振る。


ドォォォン!!


衝撃が爆発する。地面がさらに沈む。


ヴァルガの巨体が数メートル後ろへ滑る。ディオルが口笛を吹く。


「強くなってるな」


レンが笑う。


「そりゃどうも」


次の瞬間ディオルが背後から爪を振る。


レンが振り向く。腕で受ける。




 ドォン!!


衝撃でレンの体が数メートル滑る。だが倒れない。


ディオルが言う。


「いい王になれる」


レンが舌打ちする。


「その話もういい」


そのときだった。遠くで声が響いた。


「そこまでだ」


低く、静かな声が聞こえ三人の動きが一瞬止まる。視線が向く。


そこに立っていたのは――白蘭だった。リンが驚く。


「白蘭!?」


カイトも眉をひそめる。


「何をする気だ」


白蘭はゆっくり歩いてきた。戦場の中心へ。


レンとヴァルガとディオルの間へ。そして止まる。


レンが言う。


「危ないぞ」


白蘭は答えない。ただ空を見上げた。


その瞬間空気が変わった。リンが震える。


「……え?」


白蘭の体から光が溢れ始めた。柔らかい白い光。


だがその奥に恐ろしい力が潜んでいる。ゼルが目を細める。


「……なるほど」


イリスが驚く。


「そういうこと?」


カイトが低く言う。


「白蘭」


白蘭の背後に、光の影が広がる。


巨大な翼。光の王。ディオルが笑う。


「やっぱりな」


ヴァルガも低く唸る。


「……王」


レンが眉をひそめる。


「おい」


白蘭がゆっくり振り向く。その目。今までとは違う。


静かで冷たい。そして強い。白蘭が言う。


「隠していて悪かった」


リンが叫ぶ。


「どういうこと!?」


白蘭は答える。


「私は」


光がさらに強くなる。


「元・妖王だ」


沈黙。リンが口を開ける。


「え?」


ゼルが笑う。


「やっぱりな」


イリスも頷く。


「納得」


レンは少しだけ笑った。


「なるほど」


拳を握る。


「だから強かったのか」


白蘭がレンを見る。静かな声で言う。


「レン、お前は王になる」


その瞬間、遠くの空の黒い雲の奥で巨大な妖気が動いた。


低い声が響く。


「……白蘭」


玉座の影。真の王。その目がゆっくり開く。


「まだ生きていたか」


妖界の均衡が今崩れ始めていた


妖市の中心。瓦礫と煙の中で、白い光が静かに広がっていた。


その中心に立っているのは――白蘭。背後には巨大な光の影。


翼を広げた王の姿。リンは呆然と立ち尽くしていた。


「……え?」


口がうまく動かない。


「元……妖王?」


カイトは静かに息を吐いた。


「やはりそうか」


ゼルが笑う。


「ずっと隠してたわけだ」


イリスも腕を組む。


「でも納得」


視線は白蘭へ。


「普通の妖じゃなかったし」


一方戦場の中央。レンは少しだけ首を傾けていた。


「元・妖王ね」


白蘭を見る。


「なんで言わなかった」


白蘭は少しだけ目を閉じた。そして言う。


「言えば」


視線を上げる。


「戦いになった」


ディオルが笑う。


「正解だ」


ヴァルガも低く唸る。妖気がゆっくり膨れ上がる。


「王」


その目は白蘭を見ていた。白蘭は静かに答える。


「今は違う」


だが背後の光の影は明らかに王のそれだった。


ディオルが肩をすくめる。


「王は王だ」


レンが言う。


「つまり」


拳を握る。


「四人目か」


その瞬間空気がさらに重くなる。


四つの力。レン。ヴァルガ。ディオル。そして白蘭。


妖市が完全に沈黙する。リンが震える声で言う。


「……どうなるの」


カイトが低く答える。


「最悪」


そのとき白蘭が一歩前に出た。


「戦うつもりはない」


静かな声だった。だがその言葉でヴァルガが動く。


ゴォォォ!!


突進し白蘭へ巨大な拳をたたきつける。リンが叫ぶ。


「危ない!!」


白蘭は動かなかった。ただ指を一本上げる。


その瞬間光が弾けた。


ドォォォン!!


ヴァルガの拳が止まる。白蘭の前に、数センチの見えない壁。


光の障壁。ヴァルガの巨体が止まる。ゼルが口笛を吹く。


「本物だな」


イリスも笑う。


「王クラス」


ヴァルガがさらに力を込める。地面が砕ける。


だが動かない。白蘭が言う。


「今戦えば」


視線は三人。


「この街は完全に消える」


ディオルが笑う。


「もう消えてるようなものだ」


白蘭が答える。


「違う」


静かな目。


「境界が壊れる」


カイトが眉をひそめる。


「境界?」


白蘭が空を見る。雲の奥。わずかに揺れている。


「妖界と人間界」


リンが小さく言う。


「え」


白蘭が続ける。


「このまま戦えば壁が壊れる」


その言葉に全員が少しだけ黙る。ディオルが空を見る。


「……なるほど」


ヴァルガも動きを止める。レンが言う。


「つまり」


拳を肩に乗せる。


「世界が混ざる?」


白蘭が頷く。


「そうだ」


ゼルが笑う。


「面白そうじゃん」


イリスが呆れる。


「本気で言ってる?」


そのとき遠くの空の黒い雲の奥。巨大な城の玉座の影が笑った。


「……いい」


低い声。


「壊れろ」


その瞬間妖市の空に巨大な亀裂が走った。


バキィィィィ!!


空が割れるリンが叫ぶ。


「空が割れた!?」


白蘭の目が鋭くなる。


「遅かった」


レンが空を見る。裂け目の向こう。


そこに見えたのは――人間の街だった。


夜のネオン。ビル。車。完全に別の世界。


カイトが低く言う。


「……境界」


白蘭が静かに言う。


「始まった」


妖界と人間界。二つの世界が今繋がった


空が裂けていた。妖市の上空に走った巨大な亀裂。


その向こうに見えるのは、まったく別の景色だった。


高いビル。ネオンの光。走る車。人間の街。


リンが呆然と呟く。


「……え」


カイトの目が細くなる。


「境界が破れた」


ゼルが笑う。


「本当に繋がったな」


イリスも空を見上げる。


「人間界か」


白蘭は静かに目を閉じた。


「……遅かった」


その言葉にレンが聞く。


「何が」


白蘭は空を見上げる。


「妖界と人間界を隔てていた壁。それが今、壊れた」


リンが震える声で言う。


「じゃあ……」


白蘭が答える。


「妖は人間界へ行ける」


その瞬遠くの森から低い咆哮が聞こえた。


ゴォォォ……


妖の声。リンの顔が青くなる。


「うそでしょ……」


カイトが低く言う。


「もう始まっている」


ゼルが笑う。


「戦争だな」


イリスも頷く。


「完全に」


一方戦場の中心。ディオルが空を見上げていた。


裂けた空。その向こうの人間界。ディオルが小さく笑う。


「なるほど」


レンが言う。


「何が」


ディオルが答える。


「これが狙いか」


ヴァルガも空を見る。赤い目が光る。白蘭が低く言う。


「黒幕」


レンが眉をひそめる。


「誰だ」


白蘭が答える。


「妖界の頂点」


視線は空の奥。


「真の王」


その瞬間遠くの空の黒い雲の奥で、巨大な妖気が広がった。


ゴォォォォォ……


重い圧力。妖市全体が震える。リンが膝をつく。


「……なにこれ」


カイトの額にも汗が浮かぶ。


「桁が違う」


ゼルの笑みも少し消える。


「おいおい」


イリスも呟く。


「これが本物?」


白蘭が静かに言う。


「妖界の王」


そのとき、空の亀裂の奥で黒い影がゆっくり動いた。


巨大な城のその玉座、そこに座る影が立ち上がる。


そして声が響いた。


「……器」


低い声。世界そのものが震えるような声。レンの体が一瞬止まる。


その声は――頭の奥にも響いた。


レンが小さく呟く。


「……お前か」


頭の奥の影が低く笑う。


『そうだ』


レンの背後。妖王の影が大きく揺れる。


黒い妖気が溢れる空の向こう。玉座の影が続ける。


「よくここまで来た」


その目がレンを見ている。


「だが」


空気がさらに重くなる。


「王は一人だ」


その瞬間空の裂け目がさらに広がった。


バキィィィ!!


妖界と人間界の境界が崩れる。


リンが叫ぶ。


「広がってる!!」


白蘭が言う。


「止めなければ」


レンが拳を握る。


「どうなる」


白蘭が答える。


「二つの世界が混ざる」


ディオルが笑う。


「面白いじゃないか」


ヴァルガが唸る。


「戦」


レンは空を見上げた。裂けた空。向こうの人間界。


そしてその奥にいる真の王。レンが小さく笑う。


「いいな」


拳を鳴らす。


「ぶっ飛ばしに行くか」


白蘭がレンを見る。静かに言う。


「まだ早い」


レンが聞く。


「何が」


白蘭の目は真剣だった。


「お前はまだ器だ」


レンが笑う。


「だったら」


背後の妖王の影が揺れる。黒い妖気が広がる。


「王になればいい」


その瞬間遠くの空で真の王が笑った。


「……来い」


その声は妖界と人間界二つの世界に響いた。


そして――妖界戦争が本当に始まった。


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