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6-P2

 その日の夜、暗くなってもメイが家に帰って来ないと、鬼気迫る表情で息も絶え絶えなメイの両親が私の家に駆け込んできた。いつも穏やかなメイのお母さんしか見たことがなかったので、あまりに人相が違いすぎて、一瞬、その人が誰だか分からなかった。


 すぐに、メイはまだあの公園で私を待っているのかもしれない。と思い至ったけれど、正直に告白してしまうと、私がメイを陥れたのだと怒られるのが怖くて「知らない。今日は遊ぶ約束をしていない」と咄嗟に嘘をついた。自分でも驚くくらいすんなりと嘘が口から出てきた。


 警察にも通報し、私の両親も一緒になって探しに出かけた。当事者である私はと言うとお父さんに「遅いからお前は家にいなさい」と言いつけられたこともあり、自分の部屋で布団にくるまっていた。メイはちゃんと見つかるだろうか、寒くて凍えていたりしないだろうか。死んじゃったりするんだろうか。と、眠れずにガタガタと震えていた。


 そして、明け方、あの公園で冷たくなっているメイが見つかった。犬の散歩をしていたおじさんが公園で雪に埋もれて倒れているメイを見つけたのだ、と後で聞かされた。


 聞かされた瞬間、私は喉がキュッと締まって、呼吸ができなくなってしまった。


 自分を守るためだけについた嘘のせいで発見が遅れて、メイが死んでしまったのかもしれない。私が正直にメイの居場所を教えていれば、メイは助かったかもしれない。そもそも、待ち合わせの約束なんてしなければ、メイは死ぬことはなかったかもしれない。


 メイを殺したのは私。


 違う、違う、違う。


 私じゃない。


 私のせいじゃない。

 

 あれは、ただのいたずら。口から出ちゃっただけ。からかっただけなんだよ。メイだって、寒かったら帰ればよかったじゃない。本当に私が来るなんて思ってた? 実は来ないかもしれないって疑ってたでしょ? 少しは疑いなさいよ。あんな寒くて一秒でも早く帰ってぬくぬくしたい場所、行くわけ無いじゃない。本当、間抜けなんだから。馬っ鹿みたい。


 ほら、私のせいじゃない。


 メイも悪い。


 私だけのせいじゃない。


 私じゃない、私じゃない。


 違う、違う、違う。


 自分のしでかした罪の意識から逃れるために、私は部屋の中で涙を流しながら何度も自分のせいじゃないと唱え続けた。でないと、心が押しつぶされそうだったから。

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