小さなともだちは
さて、ミミック先輩との交流を終えて次は秘密の通路を教えてもらう事になっていたのだけど急遽キース様の予定変更となった。
さっきのミミック先輩が魔物から魔の者に変化していることが判明したかららしい。
私と交流が出来たから?判明したとかなんとかで、宝物庫を閉めた後走ってどこかに報告に行ってしまった。
秘密の通路はアリスと2人で探検してもいいらしい。
中断して明日でも、という話もあったけどアリスと2人で探検の方がワクワクするしね?
「ご主人様、この物置部屋の暖炉は、こっち側から裏に入れるのですよ」
一階大階段の裏側にある、使用人用扉の近くにあるいくつかの物置部屋のひとつ。
火の入っていない暖炉にアリスが入っていく。
魔法があるからか、メイドさん達の腕か使われていなさそうなこの部屋も埃が積もっているなんてこともなく、暖炉もとても綺麗だ。
村の私の家にあった古い暖炉はどんなに掃除をしても煤が取れなかったのに。さすがメイドさん。
アリスが消えていった暖炉の入口?は、暖炉の彫刻で影ができていて部屋の中からはそこに穴がある事は分からない。アリスを目で追っていたのに、スルリと消えてしまったから何か魔法がかかっているのかもしれない。
よっこらせ、と暖炉の柵を跨ぎアーチ状の天面を潜り抜けアリスの後を追う。
今日も綺麗にドレスを着せてもらっているのに、こんな事をしていていいのかな。いっか!キース様公認だし。もしメイド長のメアリーに怒られたりしたら、キース様のせいにしよう。そうしよう。
「ご主人様!ここの壁沿いには発光石があるのが見えますか?」
待っていてくれたアリスの片手にはいつの間にか淡い光を放つ桃色の鐘がある。アリスの鐘をランプ代わりにしているらしい。ほんわり桃色に光るのが可愛らしい。
アリスが指差す足元には薄らと弱い光を放つ小さな石がある。言われなければ気づかないくらい小さく弱い光だ。
発光石というのははじめて見たけれど、つるりとした石がランプの灯りを反射しているのかと思うくらいに僅かな光しか放っていない。
アリスがそっと私の片手を繋ぎ、見ててくださいね?と、手に持った鐘をどこかへ消す。
途端に真っ暗になった通路でさっきよりも鮮明に、発光石が光る。
「なるほど、灯りを持って入るとわからないのね?」
「そうなのです!これは緊急時には逃げ道の道標になります」
いってみましょう!というアリスに返事をし、考える。
暗闇に目も慣れてきたので、このまま灯りがなくても進めそうだね。
アリスと手を繋いだまま、真っ暗な道を発光石のあった壁に片手を添わせながら進む。
曲がり角や、分かれ道には必ず1箇所だけ壁の下の方に発光石が小さく紛れ込んでいるらしい。
「これは気付くと紛れ込んでいるんだね」
「そうですね!ご主人様の目なら絶対に見つけられますよ!!!」
対私全肯定幼女ことアリス。
今日も隙あらば私を褒めてくる。
実際、この僅かな明かりの発光石を緊急時の焦っている時に見つけられるかは運頼みなところもありそう。ただ、発光石さえ見つかればそこから出る道標があるというのは良いね。
「これはどこへ続いているの?」
「いろんなところへ、ですよご主人様」
ふふっと笑うアリスに首を傾げる。
「この発光石は1つの石を砕いて作っているようですから、それは全て繋がっているのです。ご主人様が行きたいところを伝えればきっとそこへ、導いてくれますよ」
「???」
その時になれば分かります!と、繋いだ手をぎゅっと握ったアリスに、そういうものか。と納得することにする。アリスも魔石の妖精だしきっと何か分かることがあるんだろう。
さて、真っ暗な道を進むことしばらく。
細い明かりが差す出口にたどり着いた。
「外ですよ!ご主人様!」
「ほんとだ。ここは……大聖堂?」
久々に感じる太陽の光に目がチカチカする。
振り返った出口は外から見ると生垣の中、蔦植物に覆われた1人が倒れる程度の岩の裂け目になっている。
そして随分歩いたと思ったら、昨日の大聖堂についた。
と、いっても聖堂の裏手になるここは小さな畑を挟んだ庭の奥。聖堂を行き交う人には気にされなければ気づかれない。
「じゃあお城に戻ろうか?」
「はい!今度は違う道から行ってみましょう」
こっちです!と、手を引くアリスに連れられて庭の中、というか木々の間を移動する。そして、下草に隠れるような用水路のお城側の排水口の脇からまた暗い隠し通路に入っていった。




