来る日も来る日も
さて、謁見の間からさらに1つ階が上がってここは4階。なぜか4階。階段2回しか上がってないのに。
玄関ホール(一階)
謁見の間(三階)
各種お仕事部屋(四階)
2階はいつのまにかすっ飛ばしていたらしい。
と、いうのも正面入口から大階段を登っていくと直接3階にたどり着く様になっており、2階に上がるにはまた別の階段があるんだって。
で、2階は宝物庫など荷物置き場になっていて敵が攻めて来たらホールから謁見の間に真っ直ぐ進ませている間に、貴重品は裏から持ち出し、火事場泥棒対策にもなっているのだとか。
万が一魔王様を倒せても、伝説の装備は手に入らない仕組みということだ。
なお、ハズレの宝箱などは残しておき油断したところを【ミミック】という宝箱に擬態した魔物が油断したところに襲い掛かるようになっているんだって。
これは普段は動かないため管理が楽で、魔人宅の防犯設備として人気ペットらしい。
私のライバル出現だ。
あとで先輩ペットにご挨拶とかした方がいいのかな。
「___…で、こちらは主に各領地の税収を管理する部門の部屋ですね。で、隣が兵達の統括をしている将軍の部屋になってます。…___」
キース様が各部屋の説明をしてくれているけれど、先輩ペットが気になって全然入ってこない。
「ご主人様?なにかありましたか?」
アリスに聞いてないことがバレたかな?
「んーん、いろんな人が働いているんだなだと思っただけだよ。お城を立ち入り禁止にしてて大丈夫だったのかな」
「問題ありませんよ、ここで仕事が出来ないタイミングは年に何度かあるので別棟の方にメイン拠点が設置されております。ここはあくまでも上官の執務室と会議部屋で、魔王様を招いての重要会議以外では人の出入りはほとんどありませんし」
「中から移動する手段もあるんだろう?」
「そうですね、魔法陣などを用いて必要な場所と繋がってもいますから。本棟の出入り口が封鎖されていても不便はありません」
「魔法陣?」
向こうの大陸では技術が失われたと言われているアレ?
「魔法陣はご利用になったことがありませんか?」
「ないです」
見たこともないです。
「ご主人様の魔力ではお一人では使えませんよ」
「そうなんだ、じゃあアリスと一階なら使える?」
「もちろんです!アリスはご主人様の魔石ですからね!」
魔石の妖精さんだもんね。
でもアリスがいれば使えるんだ。そのうち使ってみたいな。
*******
「こちらは魔王様の執務室ですね」
「魔王様ただいまです」
「うむ」
次の階はいつもの魔王様の執務室があるフロア5階。
ここから先はここ数日でなんとなく理解している。
魔王様の執務室と、小さめの書庫、あと食事部屋になってる地図のある円卓の部屋(作戦本部室)、他会議室たくさん。
で、上の階が魔王様の部屋と私のいる部屋、
「ライラ様、昼食後は先ほど行かなかった一階の奥と、二階を回りましょう」
「はい!よろしくお願いします!」
では、昼食へと魔王様のお仕事がひと段落つくのをまつ。
「……部屋を変えた」
「?」
立ち上がった魔王様がキース様に向かってつげた。
ペット部屋お引越し?ミミック先輩???
「あ!例の件ですね。かしこまりました」
キース様には通じたらしい。
「ライラ様、いつもの部屋はもともと作戦会議室となっています。ライラ様と魔王様が食事をするための部屋を整えておりましたが、やっと終わった様です。今日からは食事の際はそちらへ移動なさってくださいね」
たしかに、いつもご飯を食べている部屋を作戦会議室ですって紹介されて「????」ってなってたんだよね。
そうして案内されたのは執務室に近い、大きめな窓のある部屋。
大きな机が中央に置かれており、全体的に明るく、壁には花が飾ってあったりと私の部屋に少し似た雰囲気になっている。
いつの間にか背後にいた執事のセバスさんに椅子をひかれ、座った椅子は私サイズに整えてくれたのか足おきが丁度いい高さで、座りやすい。
メイドさん達が昼食を揃えてくれている間にも、魔王様がお向かいに座り、私の横にアリスが、魔王様の隣にキース様が座る。
「こんなに綺麗なお部屋を作り直したのですか?」
「?うむ」
?
「……魔王様は元々、食事を自室か執務室で適当に召し上がられていたので食事のための部屋がなかったのです。ですのでお披露目までは機密性の高い窓のないあの部屋を代理で使っておりました。ここは景色もいいですから会議室ではなく食事のための部屋に家具を入れ替えたのです」
「そうなのですか。ありがとうございます」
「うむ」
キース様は魔王様の短い言葉に慣れているからか、私の端的な質問と魔王様の回答に補足をいれるのがここ数日の頭の流れになっている。
アリスは魔王様との会話には興味が薄そうで、机の上の黄色いミニトマトに夢中な様子だ。
窓の外に視線を移すと、遠くの山と城の中庭、遠くには川や街並みが見えている。
中庭には昨日までは見かけなかった、働く人々の様子もあった。巡回中なのか何組かの兵や、庭師の様な人、書類を抱えた人や荷物を運ぶ人。随分賑やかな様子だ。
とはいえ中庭から真っ直ぐこちらへ進んでくる人はおらず、左右の棟へと分かれていく。
「……外にいきたいか?」
「え?んー……あんまりです。まだこのお城の探検が終わってないですし、先に宝物庫のミミック先輩と図書館が気になります」
「ミミックが欲しいのか?」
「食べられたくないので大丈夫です」
「?そうか」
魔王様は外の景色にはあまり興味がないらしく、一言返すとまた黙々と食事にもどった。
ミミック先輩をいただいても、私の部屋に宝箱は浮いちゃうと思う。あとミミックは雑食(人間を含む)って聞いたし。




