6話「みんなで魔物に勝ったぞ!!」
集落へ戻ると、アポカリたちはすぐに住民へ報告した。ロウは魔物の場所と動きを説明し、サナは足を取られた場所や根の届いた範囲を伝えた。アポカリは、自分が見た地面の違いと、岩場で魔物の動きが鈍ったことを話した。
ロウ「いい報告だ。見たことと、考えたことを分けて話せたな」
アポカリ「本当? ちゃんと伝わった?」
ロウ「伝わったとも。お前の話で、次に確認する場所も決めやすくなった。よく頑張ったな」
アポカリは嬉しくなった。サナは腕を組んだまま、すぐに釘を刺す。
サナ「ただし、次も同じように勝てると思わないこと。今日はロウがいたし、私もいたのよ」
アポカリ「分かってるよ。みんなで勝ったんだ」
サナ「そう。そこはよく分かっているじゃない」
そのあと、住民たちはしばらく危険な場所を避けることにした。採集路を変え、目印を残し、1人で様子を見に行かない。アポカリが見つけたことは、集落全体の役に立った。
昼過ぎ、アポカリは家の前で破れた服を繕っていた。灰ドゥルクに裂かれた袖は、サナに教わったとおりに縫ったつもりだったが、少し曲がっている。
サナ「うーん、惜しい」
アポカリ「えっ、だめ?」
サナ「だめじゃないわ。でも、ここを少し戻して縫い直せば、もっときれいになる」
アポカリ「じゃあ、やり直す」
サナ「その返事は偉い。最初から上手にできる人なんていないもの」
アポカリ「サナも褒めてくれるんだ」
サナ「私だって褒めるわよ。あなたが調子に乗らないように、注意もするけど」
アポカリ「そっちのほうが多いよ!」
サナは笑い、縫い直す場所を指で示した。
少し離れたところでは、ロウが住民たちと道具を整理していた。アポカリが顔を上げると、ロウも気づいて手を振った。
ロウ「アポカリ! 服の修理か? いいぞ、ちゃんと自分で直そうとしてるな!」
アポカリ「まだ曲がってるけどね」
ロウ「曲がっているのに気づいたら直せばいい。気づけたのも成長だ」
アポカリは笑った。ロウと話すと、できなかったことばかり数えなくていい気がした。ちゃんとできたことも、次に直せることも、両方見てくれる。
夕方、リリアと一緒に食事の準備をした。湯気の立つ鍋を前に、アポカリは今日のことを何度も話した。岩場で根潜りグラダの動きが止まったこと。サナが根の向きを教えてくれたこと。ロウが自分を引き戻してくれたこと。
リリア「みんなで力を合わせたのね」
アポカリ「うん。僕だけだったら、きっと倒せなかった」
リリア「それが分かったのなら、今日の経験は大切にできるわね」
アポカリ「でも、次はもっと上手くやりたいな」
リリア「その気持ちはいいこと。でも、上手くやるために、わざわざ危険を探しに行かないこと」
アポカリ「……はい」
リリアは笑って、彼の皿に煮込みをよそった。
食事のあと、アポカリは使った食器を片づけ、明日の作業に使う木桶を戸口へ寄せた。昼間は魔物と戦い、夕方は報告をして、今はいつもどおりの仕事に戻っている。
アポカリ「明日は、この桶もちゃんと仕上げよう」
リリア「その前に、ちゃんと寝ること」
アポカリ「分かってるよ。……たぶん」
リリア「最後の一言が余計」
アポカリは笑いながら寝床へ向かった。今日のことを思い返すと、怖かった場面も、失敗した瞬間も浮かぶ。それでも、最後には魔物を倒せた。サナとロウがいてくれたからこその勝利だ。
明日も森で暮らし、いつもの仕事をする。けれど、今日の経験はきっと、次に何かが起きたときの助けになる。
そう思いながら、アポカリは眠りに落ちた。




