12話「まるで本物の刑事みたいに動いてみた結果めっちゃ上手くいった」
まず!ブックマーク3件!!評価2件ありがとうございます!!
そして!
ここまでお読み頂きありがとうございます!!とうとう11月に入りましたね!!
本格的な捜査を始めた正義はまるで本当の刑事になったような気持ちになります!!
さぁ立ち上がれ!正義!!
是非読んでいただけると嬉しいです!!
ブェルネンの周囲に浮かぶ赤い光は、まだ消えていなかった。
俺はブェルネンの言葉が終わるのを待ち、続けて口を開いた。
正義「実は、もうひとつお話ししたいことがあるんです」
ブェルネン「何だい?」
正義「カナさんの家で、紙が見つかったんです。数字がずらっと書かれていて、何の数字なのかはまだ分かりません」
ブェルネン「数字が?」
正義「はい。ジムさんの事故について、もう一度確かめたいことがあって。もしかしたら、その紙が重要な手がかりになるんじゃないかと思っています」
ブェルネンは俺の話を聞き、静かにうなずいた。表情に大きな変化はなかった。
ブェルネン「……そうか。俺には分からないなぁ…」
カナは驚いたように俺を見た。だが、何も聞かずにブェルネンへ向き直った。
正義「まだ、何なのかは分かりません。ただ、ジムさんが何かを書き写していたことと関係があるかもしれない。
内容が分かれば、カナさんが店を閉めずに済む方法も見つかるかもしれません」
カナ「本当にそうなったら……うれしいです」
カナの声には、期待と不安が混じっていた。ブェルネンは彼女を気遣うように目を細めた。
ブェルネン「そのジムが隠した紙って言うのは、どこにあったんだ?」
正義「ジムさんが隠していたものなら、相当大事なものだと思うので、今は俺が家で預かっています。
こっちでも少し、何の数字なのか調べてみるつもりです。2日後には憲兵に渡す予定です」
ブェルネン「そうか……それなら良かった。
もし、カナちゃんが事件に巻き込まれでもしたら大変だからね」
正義「気にかけてくれてありがとうございます。
何か分かったら、またお伝えします」
ブェルネン「うん。俺にできることがあれば、いつでも言ってくれ」
カナ「ありがとうございます、ブェルネンさん」
俺たちは礼を言って店を出た。ブェルネンは最後まで穏やかな表情を崩さず、店先でこちらを見送っていた。
*
店から少し離れたところで、カナが足を止めた。
カナ「正義くん。どうして、あのとき紙が見つかったって言ったの?」
正義「また警察のカンってやつだよ」
カナ「……警察の勘?」
正義「それに、やっぱり引っかかったんだ」
カナ「何が?」
正義「俺は、カナの家で数字の書かれた紙が見つかった、としか言ってない。
でもブェルネンさんは『ジムが隠した紙』って言っただろ」
カナ「……あ。本当だ。私たち、お父さんが隠したなんて話してない」
正義「そう。紙が見つかったことを聞いただけなら、誰が書いたのかも、どうしてそこにあったのかも分からないはずだ」
カナ「どうして、自分が預かってるって言ったの?」
正義「カナさんの家に紙があると思わせたままだと、もし取りに来られたときに危ないだろ。
俺の家にあるってことにすれば、カナさんの家に被害が及ぶ可能性は下がる。
狙いも俺に向くはずだ」
カナ「……ブェルネンさんが、もしかしたら関わってるかもしれないってこと?」
俺は一瞬だけ言葉に詰まった。
正義「……その可能性は、非常に高いと思う」
カナ「そんな……」
正義「ただ、関わっているとしても、どう関わっているのかまでは分からない。
ジムさんの事故に直接手を下したのか、誰かに協力したのか、それとも別の形なのか。今の段階じゃ決めつけられない」
カナ「でも、帳簿のことは……」
正義「少なくとも、帳簿に関係する何かを知っている可能性は高いと思う。
あの言い方は、偶然で片づけるには引っかかる」
カナはうつむいた。
信じていた人が父親の死に関係しているかもしれない。
その事実をすぐに受け入れられるはずがない。
それでも、カナはしばらく黙ったあと、顔を上げた。
カナ「……私は、真相を知りたい。お父さんに何があったのか、ちゃんと知りたい。それに、お店だって……まだ、諦めたくない」
正義「うん。分かった」
カナ「正義くんに危ないことをさせて、ごめんね。私の家のことなのに……」
正義「いや、魔物討伐の方がよっぽど危険だったよ」
カナ「それ、比べるものなの……?」
正義「いや、比べてみたら、こっちの方がまだマシかなって」
チャッピー「正義は危険の基準がちょっとおかしいにゃ」
正義「そうかな?」
チャッピー「そうにゃ」
カナは、少しだけ笑った。けれど、その表情はすぐに真剣なものへ戻った。
正義「カナさんには、引き続き帳簿を探してほしい。
今まで探したところも、もう一度だけ確認してみてくれ。
俺の方は、ブェルネンのことを調べてみる」
カナ「分かった。気をつけてね、正義くん」
正義「カナさんも。何か見つかっても、ひとりで動かないでくれよ」
カナ「うん。約束する」
カナと別れ、俺は自宅へ向かった。
*
家に帰ると、チャッピーが椅子の上へ飛び乗った。俺は荷物を置き、深く息を吐く。
チャッピー「ブラフは仕掛けたにゃ。
次は相手がどう動くかにゃ」
正義「早ければ明日中、遅くても明後日には、何か仕掛けてくると思う」
チャッピー「どうしてそう考えるにゃ?」
正義「俺たちが、あいつらのやったことを示す証拠を憲兵に渡したら終わりだからだよ。
紙が本当にあると思えば、渡される前に動こうとするはずだ」
チャッピー「でも、今日のうちに襲ってくる可能性もあるにゃ」
正義「ないとは言わない。でも、今日すぐに襲ってきたら、ブェルネンが自分で犯人だってばらしてるようなもんだろ。
俺たちが店を出たばかりで、紙の話を聞いた直後だからな。
少し時間を置く方が、向こうにとっても自然だと思う」
チャッピー「相手が正義の予想どおりに動くとは限らないにゃ」
正義「分かってよ、チャッピー。
だから油断はしない。」
胸の奥は落ち着かなかった。
自分から仕掛けた罠だ。けれど、相手が本当に動けば、今度は俺自身が危険にさらされる。
それでも、カナの家に危険を近づけるわけにはいかなかった。
正義「明日はロルフ先生と訓練をした後、聞き込みをする。
事故現場で当時のことをまだ覚えてる人がいるかもしれないからね。」
チャッピー「分かったにゃ。チャッピーも周りをよく見るにゃ」
*
翌朝も、ロルフとの特訓は容赦がなかった。
ロルフ「正義くん、相手が動いてから狙いを決めるんじゃ遅いよ! 足の向きと肩の動きを見て、先を読んで!」
正義「分かってます! 分かってますけど、先生の動きが速いんですよ!」
ロルフ「実戦の相手も待ってくれないからね!」
槍が風を切る。俺は身をひねってかわし、足を踏み替えながら空中へ術式を書いた。
ロルフの動きを視界の端で捉えたまま、狙いを定めて起動する。
火の弾が標的の中央へ当たった。
正義「よしっ!」
ロルフ「今のはよかった! 次は、避けてから反撃まで止まらずにやってみよう」
正義「今のを喜ぶ時間くらいください!」
ロルフ「喜びながら動けばいいよ!」
正義「そんな器用なことできます!?」
チャッピー「できるようになるための特訓にゃ」
特訓が終わる頃には、全身に汗をかいていた。
だが、昨日までなら間に合わなかった動きにも、少しずつ対応できるようになっている。
俺は息を整え、ロルフに礼を言って訓練場を後にした。
その日はカナの店へは向かわなかった。
代わりに、ジムが事故に遭った場所へ足を運んだ。
川沿いの道は、昼間でも人通りがまばらだった。
近くで荷を運んでいた人や、朝夕に通る商人たちに声をかけ、あの夜に何か見なかったかを聞いて回る。
正義「すみません。この辺りで、以前事故があったのを覚えていますか?
ジムという人が亡くなった件なんですけど」
通行人A「ごめんなぁ。覚えてないなぁ。」
正義「そうですか。
誰かが大声で話していたとか、馬車が止まっていたとか、何か気になったことはありませんでしたか?」
通行人A「うーん……悪いが、思い出せないな」
正義「いえ、ありがとうございます。」
別の人にも話を聞いたが、今のところ目撃情報は得られなかった。誰もが事故だと聞いているだけで、現場を見たわけではないらしい。
それでも、聞き込みを続けているうちに、俺は妙な高揚感を覚えていた。
正義「なんか……なんかほんとに警察官みたいだな! 俺!」
チャッピー「深緑のロングジャケット着れば完璧にゃ」
正義「『踊り狂え! 大捜査網!』か!! かっけぇよな!! 好きなんだ! 『虹色橋封鎖できません!!』とか、『事件は会議で解決するんじゃない!! 現場見て解決するんだ!!』とか! めっちゃ青川かっけぇ!!」
チャッピー「正義は警察の話と警察ドラマの話になると、ほんとに周りが見えなくなるにゃ……。すっごい変な目で見られてるにゃ」
正義「えっ? ああ!! 大きい声で喋りすぎた……! あれがこっちじゃ見られないとなると、かなりショックでかいなぁ……。見たいなぁ……」
チャッピー「見たいのは分かったけど、チャッピーはもう変な目で見られないようにしてほしいにゃ……。でも、その中でも、もっと変な目で遠くから正義のことを見てる人がいるにゃ」
俺は言葉を止めた。
通りの向こう、店の軒先、川沿いの柱。そのどこかから、さっきから視線が向けられている。ひとつじゃない。
正義「うん、何となく気づいてた。2人……いや、3人かな。とうとう動き始めたね。今日はこのまま夕食を買わずに帰るよ」
チャッピー「なんでにゃ?」
正義「んー、袋を持ってない方がいいから? あ、ロープだけ買って帰ろう!」
チャッピー「夕食より先にロープを買うのは、普通の買い物じゃないにゃ」
正義「今日はちょっと特別な日になりそうだからな」
俺は周囲を気にしていないふりを続けながら、必要な店へ向かった。ロープを買い、他には何も買わず、帰り道へ入る。
*
しばらく歩いたあと、俺は細い路地へ続く角を曲がった。
足音が、少し遅れてついてくる。
ひとつ。ふたつ。みっつ。
俺は歩調を変えず、路地の先へ進んだ。角をもうひとつ曲がる。追ってくる足音も、同じように曲がった。
男A「……今だ」
男たちが角を曲がったとき、そこに俺の姿はなかった。
男A「!! いない!?」
正義「こんばんは。俺のこと、探してた?」
声は、男たちの背後から聞こえた。
男Aが振り向きざまに腕を振り上げた。拳が顔面めがけて飛んでくる。
俺は半歩だけ外へ踏み込み、前腕で軌道をそらしながら、男Aの手首をつかんだ。
男A「この野郎!」
男Aが腕を引き抜こうとする。
その力に逆らわず、俺は肩を回して男の身体を前へ引き出した。
背後から、もうひとりが飛び込んできた。
俺の腕を押さえ、動きを封じようと伸ばした手が、背中へ迫る。
チャッピー「後ろにいるにゃ!」
男B「うおっ!?」
チャッピーが男2の腕へ飛びつき、鋭い歯を立てた。
男B「いてぇぇぇ!! この猫、噛みやがった!」
正義「チャッピー、よくやった!」
チャッピー「あとで褒めるにゃ! 今は前を見るにゃ!」
横から、3人目の男が右拳を振り抜いてきた。
男C「この野郎!!」
俺はつかんでいた男Aの腕を、相手の身体ごと拳の進路へ押し出した。
男Cの右ストレートが、男Aの前腕へ鈍い音を立ててぶつかる。
男A「ぐっ!」
男C「なっ……!」
拳が止まった一瞬を逃さない。俺は男Aの腕を放し、踏み込んで男Cの腹へ短く拳を打ち込んだ。
男Cの息が詰まり、身体が前へ折れる。そこへ顎を狙ってもう一撃。
男Cの膝が崩れた。
俺は倒れかけた男Cの襟元をつかみ、腰を落として身体を回した。
勢いを殺さずに投げ飛ばす。
男Cは男Aへぶつかり、2人まとめて地面に転がった。
男Aが起き上がろうとする。
俺は間合いを詰め、立ち上がりかけた腕を押さえて地面へ戻した。
正義「動くな。まだ終わってない」
男A「くそっ……!」
背後では、男Bがチャッピーを振りほどこうと腕を振り回していた。
男B「離せ、このクソ猫!」
チャッピー「誰がクソ猫にゃ! 正義、こっちもそろそろ限界にゃ!」
正義「今行く!」
俺は男Aの腕をひねって動きを止め、すぐに男2へ向き直った。
男Bがチャッピーを引き剥がそうと顔を近づけた瞬間、俺は踏み込んで鼻頭へ拳を打ち込む。
男B「ぐあっ!」
男Bが顔を押さえて後ずさる。
俺はその足元へ踏み込み、軸足を払った。
身体の支えを失った男Bは、背中から地面へ倒れ込む。
男Bが起き上がる前に、俺は腕を押さえ、肩を地面へつけた。
正義「3人とも、もう抵抗するな。
これ以上やるなら、怪我が増えるだけだ」
男たちは息を荒げながら、俺をにらみつけた。
だが、先ほどまでの勢いは消えている。
俺はまず男Bを押さえたまま、チャッピーへ声をかけた。
正義「チャッピー、怪我は?」
チャッピー「大丈夫にゃ。ちょっと毛が乱れたくらいにゃ」
正義「よかった。さすがに3人相手は骨が折れるな。あんまり強くなくてよかった。」
チャッピー「十分強いと思うにゃ…正義の強さが異常な気もするにゃ…」
軽口を交わしながらも、俺は男たちから目を離さなかった。
そして、男たちの前に立ち、口を開く前に一度だけ息を整えた。
話を聞くのは、これからだ。
読んでくださりありがとうございました!!
早速ブェルネンが差し向けた刺客をボコボコにした正義はこの後どんな真実を聞かされるのでしょうか!!
期待して待っててください!!
そして次の更新も明日の24時に更新します!!
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ではまた!!




